第3296回 ヨーロッパリーグ最終節(1) 初めて年を越えて欧州で戦うトゥールーズ

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■全6チームが年を越えて戦うフランス勢

 前回と前々回はチャンピオンズリーグに出場したフランス勢のRCランスとパリサンジェルマンの最終節の戦いを紹介した。RCランスは最終戦の直接対決で勝利し3位、パリサンジェルマンは引き分けに持ち込んで2位をキープ、RCランスはヨーロッパリーグ決勝トーナメントのプレーオフに、パリサンジェルマンはチャンピオンズリーグの決勝トーナメントに進出した。
 ヨーロッパリーグとヨーロッパカンファレンスリーグに出場しているフランス勢は第5節を終えた時点で少なくとも決勝トーナメントあるいはそのプレーオフの出場を確定している。最終節ではより良い条件で決勝トーナメントを戦うことが目的となる。

■2位をキープしたいトゥールーズ

 ヨーロッパリーグの最終節は12月14日の夜に行われた。フランス勢はトゥールーズの所属するグループEとレンヌの所属するグループFは18時45分にキックオフ、マルセイユの所属するグループBは21時キックオフとなった。
 グループEはイングランドのリバプールが別格の強さで1位を確定、トゥールーズはベルギーのサン・ジロワーズとの2位争いとなる。トゥールーズはサン・ジロワーズに勝ち点3の差をつけているが、最終戦で勝ち点で並ばれる可能性がある。勝ち点で並んだ場合は直接対決では2引き分けとなっており、総得失点差の争いとなり、この時点でトゥールーズが+10、サン・ジロワーズが+9であるため、サン・ジロワーズが上回ることになり2位となる。
 最終戦の組み合わせはサン・ジロワーズがホームにリバプールを迎え、トゥールーズはアウエーでオーストリアのLASKと対戦する。トゥールーズは引き分け以上で2位をキープできるが、すでに首位を確定したリバプールを迎えるサン・ジロワーズの戦いも気になる。また、LASKも最下位で最終節を迎えるが、ヨーロッパカンファレンスリーグの決勝トーナメントへの出場権のある3位浮上の可能性も残されている。

■前半は攻め込めないトゥールーズ、ライバルのサン・ジロワーズがリード

 オーストリアのリンツで行われた試合、3位を目指すLASKが守備を固め、なかなかトゥールーズは攻めることができず、シュートを放つことができない。トゥールーズが1本もシュートを放つことができない30分過ぎに、もう1つの試合ではサン・ジロワーズが先制する。ブリュッセルでの試合はスコアが動き、39分にはリバプールが追いつくが、43分には再びサン・ジロワーズがリードを奪って前半を終える。

■先制したトゥールーズ、追いつかれても決勝点を決め2位を確定

 後半に入って54分、トゥールーズはタイス・ダリンガが待望の先制点を奪う。ダリンガはホームのリバプール戦で活躍したが、今季のヨーロッパリーグで4得点目となる。ところがLASKも61分に追いつく。ブリュッセルではサン・ジロワーズが3点目を決めたというニュースも入ってきたが、ハンドで取り消され、トゥールーズのファンは安堵する。しかしトゥールーズはアウエーで敗れれば3位に後退、緊張感の中で試合は進む。80分を過ぎてトゥールーズハギアをあげ、LASKのゴール前に迫る。そして83分にガブリエル・スアソが勝ち越し点を入れる。
 試合はそのままトゥールーズが2-1で勝利する。トゥールーズは11月9日の第4節でリバプールに勝利して以来、国内外の試合では3分2敗と5試合連続で勝利がなかったが、久しぶりの勝利はクラブをヨーロッパリーグの決勝トーナメントのプレーオフに導くこととなったのである。
 トゥールーズが欧州カップのグループリーグを勝ち抜くのは3回目の挑戦でこれが初めてのこととなる。また、欧州カップがグループリーグを行った後に決勝トーナメントという現行のフォーマットになる以前のすべてノックアウトシステムの時代でも2回戦が最高の成績であった。ラグビーの都トゥールーズにおいてラグビーチームのスタッド・トゥールーザンは欧州チャンピオンズカップでは初夏の準決勝、決勝の常連であるが、サッカーのトゥールーズFCも初めて年を越えて欧州の舞台で戦い続けるのである。(続く)

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