第3543回 リヨン、準々決勝で敗退 (3) かつての栄光を取り戻したいリヨンとマンチェスター・ユナイテッド

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■20世紀初頭に素晴らしい成績を残した両チーム

 前回の本連載ではフランスのサッカーファンにとって忘れられない試合として1992-93シーズンのUEFAカップ準々決勝のパリサンジェルマン-レアル・マドリッド戦を紹介したが、それに勝るとも劣らない試合が誕生した。それが今季のヨーロッパリーグのリヨン-マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)戦である。
 リヨンは2000年代はフランスリーグで7連覇を果たしている。7連覇は欧州の5大リーグでは最多の連続優勝記録である。そして欧州カップでも1997-98シーズンから2019-20シーズンまで23季連続で出場している。
 一方のマンチェスター・ユナイテッドはイングランドのプレミアリーグ(前身のフットボールリーグを含む)でこれまで20回と最多の優勝回数を誇る(入稿時にリバプールがプレミアリーグで優勝を決め、マンチェスター・ユナイテッドと同じ20回目の優勝となった)。欧州の舞台でもチャンピオンズカップ1回、チャンピオンズリーグ2回の優勝経験がある。

■2010年代以降目立った成績を残せないオワコン同士の対戦

 そのように素晴らしい成績を残している両チームであるが、リヨンは最後のリーグ優勝は2007-08シーズン、その後のタイトルはフランスカップで1回優勝しただけである。欧州カップも連続出場記録が途絶えた後は5シーズン中2シーズンしか出場していない。そして赤い悪魔も同様、最後のリーグ優勝は2012-13シーズンである。チャンピオンズリーグでも1996-97シーズンから2013-14シーズンまで17シーズン連続出場し、その間優勝と準優勝がそれぞれ2回ずつ、グループリーグ敗退はわずか2回という素晴らしい成績を残してきたが、昨季はリーグ8位とプレミアリーグ発足以降最低の成績に終わったが、FAカップで優勝したため、ヨーロッパリーグの出場権をかろうじて獲得したのである。
 いわばオワコン同士の対戦となったが、名門チーム同士の対戦として試合前から注目を集めた。両チームとも国内ではリーグ戦では優勝は不可能であり、カップ戦では敗退してしまっている。今季残された唯一のタイトルがこのヨーロッパリーグである。

■リーグフェーズで上位、決勝トーナメントにストレートインした両チーム

 リヨンについては本連載で紹介をしてきた通り、リーグフェーズでは6位となり、決勝トーナメントにストレートインとなり、決勝トーナメント1回戦ではルーマニアのFCSBに連勝して準々決勝に進出した。
 一方、2シーズンぶりのヨーロッパリーグ出場となったマンチェスター・ユナイテッドはリーグフェーズでは中盤から勝ち点を積み重ねて3位となり、こちらも決勝トーナメントにストレートイン、さらにリーグフェーズの成績も上位であったため、有利な立場で決勝トーナメント1回戦に臨む。対戦相手はリーグフェーズ13位のスペインのレアル・ソシエダ、第1戦はサンセバスチャンのアノエタ競技場で行われ、マンチェスター・ユナイテッドは先制したが、PKで追いつかれてドローとなる。オールドトラフォードで3月13日に行われた第2戦は今度はレアル・ソシエダが10分にPKで先制するが、マンチェスター・ユナイテッドも16分にブルーノ・フェルナンデスのPKで追いつく。前半はタイスコアのままで折り返したが、後半に入って50分にブルーノ・フェルナンデスのPKで勝ち越し、試合の終盤にはブルーノ・フェルナンデスがハットトリック達成となる3点目を決め、さらに後半アディショナルタイムにはディオゴ・ダロトがゴール、ポルトガル代表選手の活躍で準々決勝進出を決めた。

■ヨーロッパリーグでも安定して好成績を残してきたマンチェスター・ユナイテッド

 チャンピオンズリーグを主戦場としてきたマンチェスター・ユナイテッドはヨーロッパリーグとなってからはこれまでに6回の出場経験があるが、そのうち3回はチャンピオンズリーグのグループリーグで3位に終わって転戦してきたものである。これまで6回の出場のうち、優勝1回、準優勝1回を含み、必ず準々決勝以上に進出しており、欧州カップでは常に上位進出する力を持っているのである。(続く)

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