第717回 2006-07フランスカップ・ファイナル(4) ソショー、70年ぶりの優勝

■前座試合でガンバルデラ・カップを獲得したソショー

 ジャック・シラク大統領にとって最後のフランスカップとなる今年の決勝、試合前には2つのイベントがあった。まずガンバルデラ・カップの決勝戦が前座試合として行われた。この大会はフランスジュニア選手権と言う18歳以下のクラブ選手権が前身であり、1949年から1953年までフランスサッカー協会の会長であったエマニュエル・ガンバルデラの名前をとってガンバルデラ・カップとして1954-55シーズンに始まり、現在に至っている。前年の12月から始まるこの大会の決勝戦はフランスカップの前座として行われるようになり、フランスのサッカー少年の甲子園である。今年の大会の決勝にはソショーとオセールが勝ち残り、延長戦を終えた段階でも2-2と同点で、PK戦でソショーが5-4と制し、1983年以来24年ぶり2回目の優勝を飾っている。
 また、前々回の本連載でも紹介したとおり、準決勝でソショーに敗れたCFAのモンソーレミンがベストアマチュアチームとして表彰をされている。

■前評判はマルセイユが優勢、先手を取る

 マルセイユとソショーの今季の対戦はまず昨年12月3日にソショーで行われた試合ではソショーが1-0で勝利した。マルセイユでの試合はこの決勝の2週間前の4月29日に行われている。リーグカップに続き、フランスカップでも決勝進出チーム同士が準決勝と決勝の間にリーグ戦で対戦することになり、注目を集めた。この試合ではマルセイユが4-2と完勝している。両チームともほぼベストメンバーがそろい、前評判では、リーグ戦で徐々に順位を上げてきた上げ潮のマルセイユを押す声が若手の成長が著しいソショーを上回った。
 その前評判どおり、先手を取ったのはマルセイユであった。準決勝で活躍し、復調したジブリル・シセをトップに起用、試合開始早々サミール・ナスリからのセンタリングをヘッドでシセが決めて先制点、試合はマルセイユのペースで始まった。その後もマルセイユが試合を押し気味に進め、前半を1-0とリードして折り返す。後半に入って65分にマルセイユはショートコーナーから得点機をつかむがカナのボレーシュートは枠を外れる。その直後、守勢だったソショーがチャンスをつかんだ。66分、ムムニ・ダガノがルロワからのパスをヘッドで同点ゴールを決めて試合は振り出しに戻る。その直後にマルセイユもチャンスをつかむがソショーのGKテディ・リシェールが好セーブを見せる。
 試合はその後も一進一退の展開となり、前後半15分ずつの延長戦に突入する。延長戦に入るとそれまで優勢だったマルセイユに代わってソショーがリズムをつかむ。ところが、延長戦でも先行したのはマルセイユだった。98分にマウリダからのパスを再びシセがヘッドであわせる。好セーブを見せてきたリシェールも届かず、勝ち越しを許す。

■延長後半に再び追いついたソショー、PK戦を制し、70年ぶりの優勝

 延長後半になりサイドが代わってもスコアは動かない。しかし残り時間わずかとなった116分、アントニー・ルタレックが同点ゴールを決めてソショーは2-2のタイスコアに追いつく。
 フランスカップの行方はPK戦に委ねられることになった。このPK戦ではソショーのGKリシェールの活躍だけが目立った。PK戦は6人目までもつれ込んだが、リシェールはマルセイユのPKを2本ストップし、ソショーが5-4でマルセイユを下した。70年ぶりの優勝を決めた。3年前のリーグカップ決勝もPK戦に突入し、リシェールの活躍でナントを5-4という同じスコアで下している。ソショーの70年ぶりの優勝はもちろん新記録である。今後この記録を破る可能性があるのは1932年に優勝し、現在3部に相当するナショナルリーグに所属するカンヌくらいであろう。

■兄弟優勝は37年ぶり2回目の快挙

 ソショーが決勝戦で記録した延長戦を終えて2-2、PK戦で5-4と言うスコアは、この試合の前座として行われたガンバルデラ・カップ決勝でソショーがオセールを下したのと全く同じである。そして年齢制限のないフランスカップと18歳以下のガンバルデラ・カップの二冠を獲得したのは1970年のサンテエチエンヌ以来2回目という輝かしい記録も残したのである。
 シラク大統領最後のフランスカップはジェレミー・ブレッシェ主将に授与された。ブレッシェはちょうど10年前にリヨンのメンバーとしてガンバルデラ・カップを獲得、その後リーグカップも獲得しており、三冠を獲得したのである。(この項、終わり)

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