第800回 新春告げるフランスカップ(1) 好調な2部勢、先陣切ったニオールがランスを下す

 おかげさまで第800回の連載を迎えることになりました。連載開始以来6年4か月で800回もの連載を続けてくることができたのは読者の皆様のおかげです。読者の皆様に改めて感謝するとともに、引き続きのご愛読をよろしくお願いいたします。

■カレンダーイヤーの変わり目が転換点

 シーズン中にカレンダーイヤーが変わる欧州のサッカー界、このカレンダーイヤーの変わり目が転換点となる。欧州カップに関しては、グループリーグから決勝トーナメントへの変わり目であり、国内リーグに関しては前半戦と後半戦の折り返し点になる。
 そして欧州カップの決勝トーナメントやリーグ戦の後半戦よりも早く始まるのが今回から紹介するフランスカップである。フランスカップは新年になると1部勢が参戦し、ベスト32決定戦が新年早々行われる。例年、本連載でこのベスト32決定戦を紹介しているが、ジャイアントキリングが続出するとともに、今年1年のフランスサッカーを占う意味でも興味深い戦いである。
 今年のベスト32決定戦は年明け早々の最初の週末にフランス国内各地で行われた。このベスト32決定戦は9回戦に相当し、6回戦までは地域ごとに分かれて行われ、11月下旬に行われる7回戦から2部リーグのチームが参戦、12月中旬の8回戦を経て、ようやく越年、そして1部勢との戦いとなる。

■7回戦と8回戦では好調な2部勢

 注目の出場チームであるが、1部リーグ20チームに加え、2部リーグ15チーム、ナショナルリーグ8チーム、CFA(フランスアマチュア選手権)から11チーム、CFA2部から6チーム、DH(ディビジョン・オヌール)から4チーム、と1部リーグから6部リーグに相当するDHまでが参戦している。
 2部リーグのチームは7回戦、8回戦と2回の勝ち抜きが必要であるが、20チーム中15チームが勝ち抜いてきた。7回戦では2部勢の20チームは勝ちあがってきた下位リーグのチームと対戦し、1試合も取りこぼすことなく、20チーム全てが8回戦に進出している。そして8回戦では2部勢同士の戦いが3試合あり、グルノーブル、クレルモン、シャトールーの3チームが姿を消している。それ以外の14チームは下位チームに敗れたのはナショナルリーグのロモランタンに敗れたリブルン・サンスーランとCFAのマリニャンに敗れたアジャクシオの2チームだけである。リブルン・サンスーランは本連載第659回で紹介したとおり、フランスカップのスペシャリストとしてしばしば上位のチームを破り、昨年もベスト16に進出しているが、今年はリーグでも折り返し時点で最下位であり、フランスカップでも下位チームに敗れてしまった。しかしながら、全般的には2部リーグのチームの出足はよく、1部勢への挑戦が楽しみである。ベスト32決定戦で1部勢に挑戦する2部のチームはニオール、ルアーブル、スダン、ランス(Reims)、ブレストの5チームである。

■リーグ優勝10周年のシーズンは不振のランス

 フランス国内のトップレベルで2008年最初の試合は、その2部勢の1部勢への挑戦となった。1部のランス(Lens)が2部のニオールと対戦する。例外的に上位リーグのチームの本拠地であるランスのフェリックス・ボラールで2008年の幕開けの試合は行われた。ランスがこれまでに唯一のリーグ優勝を果たしたのは今から10年前の1997-98シーズンのことである。それ以来、ランスはリーグでは上位を保ってきたが、今季は不振である。インタートトを勝ちあがってUEFAカップに出場したが、1回戦で敗れてグループリーグにたどり着けなかった。国内のリーグ戦でも名将ギ・ルーが采配を振るったが、開幕5試合で勝ち星はなく、ジャン・ピエール・パパンに監督の座を交代する。しかしながら上位は遠く、12月1日に勝利して以来、勝ち星から見放され、1試合消化試合が少ないとはいえ、前半戦を終了した段階で降格圏内の18位である。

■2部ニオール、ランスを敵地で下す

 リーグ優勝から10周年と言う記念すべきシーズンで、国内リーグでは降格圏内、欧州カップでは早期敗退、となると、国内の2つのカップ戦にかけるしかない。リーグカップでは北部のライバルであるリールをベスト16決定戦で下し、ベスト8決定戦ではモナコを退けており、フランスカップでもその勢いを見せたいところである。
 しかし、ランスがフランスカップで勝利したのは10月のことである。2部のニオール相手に0-1で敗れてしまい、今年もフランスカップは波乱の幕開け、そして2部勢の好調さを印象付けることになったのである。(続く)

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