第850回 2007-08フランスカップ・ファイナル(1) ベスト16の半数を占めた1部勢

■5部に相当するCFA2部のルポワレシュールビとカルクフ

 最終節まで優勝争いがもつれ込んだフランスリーグはリヨンの7連覇で幕を閉じ、フランス国内のシーズンはフランスカップの決勝を残すのみとなった。
 今季のフランスカップについては1部リーグのチームが参戦したベスト32決定戦の模様を本連載第800回から第803回で紹介した。ベスト32決定戦における1部リーグの戦績は2部以下のチームとの対戦では13勝3敗、そして1部勢同士の戦いが2試合あり、結局15チームがベスト16決定戦に進出している。
 そしてベスト16決定戦は2月1日から3日にかけて行われた。この段階で一番下位のリーグは5部に相当するCFA2部リーグのチームであり、ルポワレシュールビはパリサンジェルマンと、カルクフはナンシーと対戦した。

■カルクフ、前半戦の主役のナンシーを下し16強入り

 ルポワレシュールビはナントのボージョワールを借りてのホームゲームで、2万5000人の大観衆が集まった。相手のパリサンジェルマンは降格線上と言う不振であり、前半を終わって両チーム無得点である。52分にパリサンジェルマンがベルナール・メンディのゴールで先制しても、ルポワレシュールビはその2分後に追いつくという健闘を見せたが、74分、76分にパリサンジェルマンはアマラ・ディアネの2ゴールで勝ち越し、ルポワレシュールビの夢は崩れたのである。
 もう1つのCFA2部勢のカルクフの相手は今季の前半戦の主役であったナンシーである。この試合も前半は両チーム無得点、そして規定の90分になっても得点をあげることができず、延長戦に突入する。延長前半の110分にカルクフが先制するが、延長前半の終了間際の104分にナンシーは追いつく。そしてPK戦に突入かと思われた117分にカルクフは主将でナントでのプレーの経験もある33歳のベテランのセバスチャン・ルペが決勝点を決めてCFA2部勢として唯一のベスト16入りを決めたのである。

■モナコを下した昨年準優勝のマルセイユ

 下部チームの動向ばかりに注目が集まりがちであるが、このベスト16決定戦での1部リーグ同士の対戦は興味深いカードがそろった。下位で低迷するストラスブールとメッスの戦いは最下位のメッスが勝利、リーグで上位のボルドーとルマンはボルドーが勝利する。そしてマルセイユとモナコと言う1991年の決勝カードの再現が最大の注目となり、ベスト16決定戦の最後の試合として行われたが、マルセイユが3-1で勝利する。
 ベスト16のうち1部勢は半数の8チーム(マルセイユ、リヨン、ボルドー、ロリアン、パリサンジェルマン、リール、ソショー、メッス)を占め、2部勢は5チーム、3部の相当するナショナルリーグから2チーム、そして5部に相当するCFA2部リーグから1チームと言う顔ぶれになったのである。

■アフリカ選手権が影響したベスト32決定戦とベスト16決定戦

 さて、2得点をあげて不振のパリサンジェルマンの救世主となったディアネはコートジボワール代表である。同時期に行われていたアフリカ選手権には出場せず、所属チームのパリサンジェルマンでの試合を選択した。本連載第809回から第816回で紹介したとおり、今回も多くのフランスのクラブに所属する選手がアフリカ選手権に出場している。主力選手にアフリカの代表選手がいるチームはアフリカ選手権が行われた1月中旬から2月初めにかけて大幅な戦力ダウンを余儀なくされた。
 しかし、ディアネのようにアフリカ選手権ではなく所属のクラブの活動を選択する選手も少なくはない。ちなみに日本の読者の皆様もすでにご存知であろうが、コートジボワール代表はアフリカのチームとして初めてキリンカップに出場している。しかし、チャンピオンズリーグの決勝に進出したチェルシー(イングランド)のディディエ・ドログバだけではなく、ディアネも所属チームでの日程を優先させたために日本行きのメンバーには入っていないのである。
 例年、フランスカップのベスト32決定戦は1部のチームが姿を消すジャイアントキリングが多発するが、今年はさらにアフリカの有力選手のアフリカ選手権出場のための欠場と言う要素も加わった。さらにこのアフリカあの有力選手の欠場は2月初めのベスト16決定戦にまで影響を及ぼしたのである。(続く)

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