第853回 2007-08フランスカップ・ファイナル(4) リヨン、ついに二冠を獲得

■リーグ最終節で優勝を決めたリヨン、1部残留を決めたパリサンジェルマン

 今年で90回目となる伝統のフランスカップの決勝はリヨンとパリサンジェルマンという顔合わせになった。前回の本連載では準決勝の模様を紹介したが、優勝目前で足踏みのリヨン、2部降格の危機に瀕するパリサンジェルマンはそれぞれ2部のチームを下した。心理的にプレッシャーのかかる状態での決勝進出であり、優勝決定、1部残留は最終節までもつれ込んだが、最終節でリヨンは優勝を決め、パリサンジェルマンは1部残留を決めている。

■カップ戦の苦手なリヨン、得意なパリサンジェルマンの二冠争い

 両チームとも目標を達成して今季最後のタイトルであるフランスカップの決勝に挑む。リーグ優勝のリヨン、かろうじて1部残留のパリサンジェルマンと今季のリーグ戦での成績は対照的であったが、カップ戦の戦績となるとカップ戦のスペシャリストと呼ばれるパリサンジェルマンの実績は十分である。これまでにフランスカップについては優勝7回、今世紀に入ってからも2004年と2006年に優勝、2003年に準優勝をしている。10年強の歴史しかないリーグカップでも優勝3回(1995年、1998年、2008年)、準優勝1回(2000年)という戦績を残している。
 そして一方のリヨンは国内でのタイトルは7連覇と無類の強さを誇るが、この7年間にフランスカップ、リーグカップと言う国内のカップ戦では苦手あり、最後のカップ戦のタイトルはリーグ初優勝の前年の2001年のリーグカップである。そして7連覇中には国内のカップ戦では上位進出もままならず、昨年のリーグカップが唯一の決勝進出であるが、準優勝に終わっている。
 このように今季のリーグ戦の戦績、そしてカップ戦における歴史では対照的な両チームであるが、共通点がある。それはまず両チームがフランスを代表するビッグクラブであるということ、そしてリヨンがフランスリーグ、パリサンジェルマンがリーグカップとすでに今季のタイトルを獲得しており、いずれのチームも二冠を狙っているという点である。

■両チーム拮抗した戦いで試合は延長戦へ

 このような黄金カードとあって、スタッド・ド・フランスには79,204人という大観衆が詰め掛けた。もちろんニコラ・サルコジ大統領も大統領として初めてのフランスカップの決勝戦に列席することになる。昨年は大統領選挙で勝利していたが、就任前と言うことで列席を見送っている。リーグカップでの横断幕事件を起こしたパリサンジェルマンにとって地元選出の大統領の列席はなんとも心強いことであろう。
 両チームのチームカラーは奇しくも赤と青、満員のスタンドはこの2色に染まった。リーグ1位のリヨン、16位のパリサンジェルマンと実力の差は明白で、ボール支配率はリヨンが優勢であったが、パリサンジェルマンは効果的な攻撃を仕掛ける。攻めながらもチャンスを作ることができないリヨンであるが、カリム・ベンゼマ、ジュニーニョという得点力のあるメンバーは脅威である。一方のパリサンジェルマンも、カップ戦には滅法強く、この試合がパリサンジェルマンでの最後の試合であろうポルトガル代表のパウレタ、そしてキリンカップ出場を辞退してこのタイトルにかけるコートジボワール代表のアマラ・ディアネと攻撃陣の勝利にかける思いは強い。
 試合は両チーム互角の展開で前半は無得点、そして後半に入ってもパリサンジェルマンは何度か好機をつかむが得点にはいたらず、試合は延長戦へともつれ込んだ。

■決勝点はシドニー・ゴブー、2年連続優勝監督となったアラン・ペラン

 延長前半の終盤の102分、ベンゼマのクロスに反応したのはシドニー・ゴブーであった。リヨンの7連覇全て経験しているフランス人選手はGKのグレゴリー・クーペとこのゴブーだけである。この栄光を知るゴブーが長い沈黙を破るゴールを決める。このゴブーのゴールが120分間で唯一のゴールとなり、リヨンが1-0で勝利する。
 リヨンのフランスカップ獲得は1973年以来のことであり、二冠も初めてのことである。7連覇目にして初めてリーグチャンピオンのリヨンはリーグ戦以外のタイトルを獲得した。そしてフランスリーグとフランスカップとの二冠は1996年のオセール以来の快挙となったのである。
 また監督のアラン・ペランは、昨年はソショーの監督であり、2年連続の優勝監督となった。チームを移籍してのフランスカップを連覇した監督は、2001年にストラスブールを率い、2002年にロリアンの監督として優勝したイボン・プーリカン以来のことであり、史上2人目の快挙である。(続く)

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