第967回 国内カップ、フィナーレ(3) レンヌとギャンガンが決勝に進出

■フランスカップ以外のタイトルの行方

 3月17日と18日に行われた準々決勝でフランスカップの四強が出揃った。1部のトゥールーズ、グルノーブル、レンヌの3チームに加え、2部からギャンガンが残っている。準決勝は準々決勝からほぼ1月後の4月21日と22日に行われた。すでにフランス勢は欧州の舞台から姿を消し、国内の三タイトルだけがファンの関心事である。
 この段階のフランスカップ以外のタイトル争いを見ると、リーグ戦では第32節を終了した段階であり、首位マルセイユ、勝ち点2差の2位にボルドー、さらに勝ち点2差に3位リヨンと言う状況である。また、リーグカップは決勝戦が4月25日に予定され、1部のボルドーと2部のバンヌが対戦する。
 フランスカップ準決勝を戦うチームのリーグでの成績は、トゥールーズが5位、レンヌが7位、グルノーブルが13位、ギャンガンが2部11位である。準決勝の組み合わせは、21日にグルノーブルがレンヌを迎え、22日にトゥールーズがギャンガンを迎え撃つ。

■試合前は2試合ともホームチーム有利の予想

 グルノーブルのアルプス競技場では初めてのフランスカップ準決勝となる。今季1部に昇格して残留をほぼ確定しているグルノーブルは、フランスカップでは相手に恵まれたこともあり、準決勝に進出した。ここまでの足取りで1部税との対戦は準々決勝のモナコ戦だけであったが、この難敵を2-0と下している。一方のレンヌは、ベスト32決定戦から3試合連続して1部勢と対戦すると言うタフな組み合わせになった。ベスト32決定戦でソショー、ベスト16決定戦でサンテエチエンヌ、ベスト8決定戦でロリアンを下してきた。そして準々決勝では3部に相当するナショナルリーグのロデスの挑戦を退け、準決勝に進出した。このように準決勝までの対戦相手が対照的な両チームであるが、今季のリーグ戦では1勝1敗でスコアも同じと言う拮抗した結果を残している。
 3日前のリーグ戦でグルノーブルはこの競技場でトゥールーズを1-0と下しており、その言いリズムを継続してこの準決勝に挑む。一方のレンヌはアウエーでモナコに1-3と敗れている。直前の試合結果からホームのグルノーブルが有利ではないかとの前評判であった。
 翌日に行われるもう1つの準決勝のトゥールーズ-ギャンガン戦もホームのトゥールーズが有利との予想であった。前回の本連載で紹介したとおり、トゥールーズはリーグ後半戦は好調である。また、今季のホームのリーグ戦で敗れたのはわずか1回である。しかも相手は2部の中位のチームであり、自力の差は歴然としている。

■レンヌ、1点を守りきり、決勝進出

 このように準決勝2試合はいずれもホームチームが勝利するとの大方の予想であったが、その予想は覆されたのである。
 まず、4月21日に行われたグルノーブル-レンヌ戦では、前半21分にレンヌがセンタリングでゴール前にボールを供給する。このゴール前の混戦から最後はムッサ・ソーがゴールに叩き込む。このソーのゴールによる1点をレンヌは守りきり、決勝に進出する。

■1人少ないアウエーのギャンガン、試合終了間際に決勝点

 そして、その翌日にトゥールーズで行われたトゥールーズ-ギャンガン戦には3万人以上のファンが集まった。ラグビーではフランスきっての強豪であり、欧州のトップクラスにあるトゥールーズであり、サッカーファンは肩身の狭い思いをしてきた。ラグビーの都のサッカーファンにとっては待望の準決勝である。1957年以来52年ぶりの決勝進出への期待も高い。
 しかし、試合は29分にギャンガンがドス・サントス・エデュアルドのゴールで先制する。ギャンガンはこの時点で2部リーグで失点が最も少なく、早くも逃げ込みに入り、前半を1-0とリードして折り返す。ところが52分、2回目の警告を受けて1人少なくなってしまう。トゥールーズにはチャンス到来である。トゥールーズの3万人のファンの期待はリトアニア戦で代表にデビューしたアンドレ・ピエール・ギニャックのゴールである。そのギニャックが期待に応え、74分にトゥールーズは同点に追いつく。1人多いホームのトゥールーズが圧倒的に有利かと思われたが、なんと90分に劣勢のギャンガンがバドラ・センの勝ち越し点で決勝進出を決めたのである。
 試合前の予想は、アルプスの麓にもピレネーの麓にも風が吹いて覆されたのである。(続く)

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