第1097回 パリサンジェルマン、フランスカップを獲得 (3) パリサンジェルマン、モナコ、ランスも4強に

■1部勢同士の戦いとなった残り3試合の準々決勝

 前回の本連載では準々決勝の最初の試合でクビリーが4部リーグに相当するCFAから史上3チーム目の準決勝進出を決めたことを紹介した。
 準々決勝に進出したのはクビリー以外はすべて1部勢であり、モナコ、ランス、サンテエチエンヌ、オセール、パリサンジェルマン、ソショー、ブローニュという顔ぶれである。準々決勝の残り3試合は1部勢同士の戦いである。

■カップ戦巧者同士の戦いを制したパリサンジェルマン

 3月23日にはクビリーが準決勝進出を決めた後、オセール-パリサンジェルマン戦が行われた。かつては欧州カップの常連であり、たくさんのタレントを輩出してきたオセールも近年はリーグ中位が定位置である。しかし、今季は昨年11月にはリーグ首位に立ったこともあり、上位につけており、チャンピオンズリーグ出場圏内外の成績である。フランスカップもこれまでに4回優勝、今世紀に入ってから2度優勝している。また1996年にはリーグとカップの二冠を達成、黄金期のリヨンですらリーグ優勝の最終シーズンとなった2008年にしか達成したことがない。
 かたやパリサンジェルマン、今季もリーグ中位であり、リーグ優勝は無理である。1994年の優勝以来、リーグ優勝から見放されているが、カップ戦には滅法強い。フランスカップは過去7回優勝、そしてリーグカップは3回優勝、また1996年には欧州カップでもカップウィナーズカップを獲得している。特筆すべきはリーグ優勝の空白期間である過去15シーズンでこれらのカップを8回も獲得しているのである。
 リーグ戦での成績には開きがあるが、今世紀になってからそれぞれ2回のフランスカップ優勝を誇る両チームの試合は均衡したものとなった。規定の90分を終わったところで両チーム無得点、延長前後半の120分を終えてもノーゴール、決定的なチャンスはパリサンジェルマンの方が多かったが、準決勝進出をかけてPK戦が行われた。このPK戦でも両チーム譲らず、5人ずつ全員が成功させた。オセールの6人目は失敗したが、パリサンジェルマンの6人目はクロード・マケレレ、この超ベテランがゴールネットを揺らし、パリサンジェルマンが準決勝に進出したのである。

■2年連続8強のモナコが4強入り

 翌24日にはまずソショー-モナコ戦が行われた。ソショーは2007年のフランスカップ優勝チーム、かたやモナコは1999-2000シーズンにリーグを圧倒的な強さで制しながら、その後優勝から見放されている。また、フランスカップも1991年にマルセイユを破って以来、優勝から遠ざかっている。しかしながら、2年連続して準々決勝に進出したのはこのモナコだけである。
 モナコのルイ2世競技場はこの日も5000人強の観衆とさびしい。そして29分にソショーに先制を許すが、34分に同点、38分に逆転し、1点リードでハーフタイムを迎える。しかし、後半開始早々の48分にソショーが追いつき、71分に今度はソショーが逆転ゴールを決める。ソショーが3-2とリードして試合はロスタイムを迎える。ロスタイムの表示は3分、ところが3分たっても試合終了のホイッスルは吹かれない。そして94分、モナコのコロンビア代表のファン・パブロ・ピノが起死回生の同点ゴールを決めて試合は延長戦に入る。延長戦に入ってからはモナコペースとなる。95分にニジェール代表のムッサ・マズーが決勝ゴールをあげて、モナコは5季ぶりの準決勝進出を決めたのである。

■1部復帰のランスが鮮やかに逆転勝ち

 準々決勝最後の試合はランスとサンテエチエンヌである。今季は両チームとも二桁順位である。特にサンテエチエンヌは2部陥落の恐れもある苦しい戦いである。ランスのフェリックス・ボラール競技場は準々決勝で最も多い2万2000人の観衆が集まった。サンテエチエンヌは開始1分で先制ゴールを奪うが、ランスはじっくりと得点を重ねる。36分にドス・サントス・エドゥアルドが同点ゴール、75分にはアラジン・ヤイアが逆転ゴール、そして89分にはセバスチャン・ルーデがダメ押しゴールを決め、3-1と鮮やかに逆転勝利を収めたのである。(続く)

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