第1345回 1部勢が参戦、新春のフランスカップ(4) 敵地の大観衆の前で存在感を見せた人気チーム

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■リヨン・ダービー、リヨン・デュシェールとオランピック・リヨネが対戦

 1月6日に始まったフランスカップのベスト32決定戦、金曜、土曜と2日間で1部勢は15チームが登場し、1部勢同士の戦いで敗れた2チームを含め、6チームが姿を消している。8日の日曜日には5チームが参戦、前日のマルセイユに続き、リヨン、パリサンジェルマンという人気チームが登場する。リヨンの相手はCFAに所属しているリヨン・デュシェールである。リヨン・デュシェールはリヨンにあるアマチュアチームであるが、リヨンでは本連載ではリヨンと表記しているオランピック・リヨネに次ぎナンバー2の位置にある。リヨンにあるチームということで両チームはつながりがあり、オランピック・リヨネの下部組織で育成されながらプロ契約に至らず、アマチュアのリヨン・デュシェールに所属している選手も多い。逆に現在はスペインのバルセロナに所属しているがリヨンの黄金期を支えたエリック・アビダルのようにリヨン・デュシェール出身でオランピック・リヨネとプロ契約した選手もいる。4部に相当するCFAで現在リヨン・デュシェールは現在2位、1位はオランピック・リヨネのアマチュアチームであり、リーグ戦のライバルの兄貴分とカップ戦で対戦するという願ってもないダービーマッチとなった。リヨン・デュシェールは6年前のフランスカップではバスト32決定戦でトゥールーズを破った実績もある。リヨン・デュシェールのホームゲームであるが、舞台はオランピック・リヨネの本拠地であるジェルラン競技場である。
 このダービーマッチ、主役はオランピック・リヨネのリサンドロ・ロペスであり、開始早々の4分に先制点を入れると29分、37分と連続して得点をあげ、ハットトリック。対するリヨン・デュシェールの反撃を1点におさえ、3-1と勝利してベスト16に進出した。

■南米勢がパリサンジェルマンのカルロ・アンチェロッティ新監督を救う

 パリサンジェルマンは、アントワン・コンブアレ監督に代わり、カルロ・アンチェロッティ新監督を迎えて、2012年が始まった。アンチェロッティ新監督の初陣は5部に相当するCFA2部のロクミネとの対戦である。人気チームとの対戦とあって、人口4,000人のロクミネは近隣のロリアンの本拠地イブ・アランマ競技場を借用する。ロリアンは前回の本連載で紹介しているように前日に2部のルアーブルに敗れている。すなわち、この競技場で今季フランスカップで本来の主の姿を見ることはもうないわけである。イブ・アランマ競技場は今季最多の1万8000人を超える観衆が集まった。
 パリサンジェルマンはリヨンのように楽な試合展開ではなかった。前半は両チーム無得点、立錐の余地もない超満員の観衆はジャイアントキリングを期待する。パリサンジェルマンの窮地を救ったのもリヨンのリサンドロ・ロペス同様アルゼンチン人であった。53分にハビエル・パストーレが均衡を破る先制点、しかし72分にはシソッコがペナルティエリア内でファウルを犯し、PKを決められて同点になる。そして延長戦かと思われた93分、ウルグアイ代表のディエゴ・ルガーノが値千金の勝ち越しゴールを決める。

■ナショナルリーグ勢以上には負け越した1部勢

 これ以外の1部勢はエビアンが2部のメッスにPKで勝利し、モンペリエは6部に相当するDHのプリ・レ・メジエールに4-0と勝利する。しかしながらトゥールーズはナショナルリーグのGFCOアジャクシオに敗れてしまう。結局下位リーグのチームと対戦した1部勢の戦績は11勝5敗である。さらに言うならば2部勢相手の場合は2勝3敗と負け越し、ナショナルリーグ勢との対戦は2勝2敗であり、3部リーグ以上のチームとの対戦では負け越しているのである。

■2部降格の名門モナコも姿を消す

 さて、64チームの最後に登場したのが2部のモナコとアンジェである。本連載第1338回で紹介している通り、数々の栄光を持つモナコは2部でも下位低迷している。しかし、フランスカップだけでは勝ち残っている。この日もアンジェうに先制を許すが、主将の元フランス代表で主将のルドビック・ジュリの2得点で2たび追いつき、延長戦へ持ち込むかと思われたが、後半終了間際にPKで勝ち越しを許し、3-4と敗れてしまい、他の2部の名門同様姿を消したのである。(この項、終わり)

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