第1542回 フランスカップ準決勝への道 (4) 三大タイトルで2013年は無敗のサンテチエンヌ

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■1部勢の下位チームが勢ぞろいしたベスト16

 前回の本連載ではフランスカップのベスト8決定戦でリーグ首位のパリサンジェルマンがライバルのマルセイユと対戦し、2-0と勝利したことを紹介した。この試合はライバルとの今季4回目の対戦というだけではなく、ロサンジェルス・ギャラクシー(米国)から移籍してきたデビッド・ベッカムが初先発するとあって注目を集める1戦となった。
 今回はそれ以外のベスト8決定戦7試合を紹介しよう。ベスト8決定戦に進出した16チームのうち、1部勢は11チーム、1部勢は3チームは下部のリーグに所属するチームと対戦したが、残る8チームはパリサンジェルマン-マルセイユ戦を含む1部勢同士での対戦となった。1部勢同士の対戦はソショー(リーグ15位)-トロワ(19位)、サンテチエンヌ(5位)-リール(8位)、ロリアン(9位)-ブレスト(14位)の3試合である。カッコ内のリーグでの順位を見てお分かりのとおり、上位のチーム同士の対戦はなく、辛うじてサンテチエンヌがリーグ戦の成績で来季のヨーロッパリーグを狙うことのできる位置にいるくらいである。そればかりかそれ以外の1部勢も2部のルアーブルと対戦するエビアンは18位、CFAのラオン・レタップと対戦するボルドーは10位、CFA2部のミニュエット・ベニシューと対戦するナンシーは最下位、という状況であり、1ケタ順位のチームはパリサンジェルマン、マルセイユ、サンテチエンヌ、リール、ロリアンの5チーム、14位以下の7チーム中5チームがベスト16に残り、2部降格圏内の18位以下のチームは3チームとも名を連ねている。

■リーグ戦再開後5勝2分と好調なサンテチエンヌ

 このようにリーグ戦で不振の1部勢が戦っているフランスカップであるが、例外は前回の本連載で紹介したパリサンジェルマンとマルセイユ、そしてリーグ5位のサンテチエンヌである。サンテチエンヌの栄光も30年以上前のことになり、長らくタイトルから遠ざかっている。このところリーグ戦でも上位に進出し、今季も折り返し時点は10位、ところが年が変わってからはリーグ以外のタイトルも含めて公式戦では無敗である。再開以降のリーグ戦の成績は5勝2分で順位を5位まで上昇させ、フランスカップではベスト32決定戦で2部上位のカーンを破り、ベスト16決定戦ではDHリーグのモーを破っている。そしてリーグカップは1月15日に行われた準決勝でリールを破り決勝に進出している。このように国内三大タイトルで2013年になってからの戦績は8勝2分と破竹の勢い、サンテチエンヌはリーグカップ準決勝と同じカードを今度は地元で迎える。

■リーグカップ準決勝で下したリールを連破

 2年前の二冠チームとしてその後は国内外で不本意な成績の続くリールはサンテチエンヌに1シーズンで2回負けるわけにはいかないが、リオ・マブーバなどを負傷で欠く厳しい布陣である。サンテチエンヌの本拠地のジェフロワ・ギシャール競技場はチームが好調なこともあり、平日の夜ではあるが1万5000人とまずまずの数の観客が集まった。リールが33分に先制したが、前半終了間際にオウンゴールで同点になったところでハーフタイムとなる。後半立ち上がりにサンテチエンヌが逆転、追加点も挙げてリールの反撃を1点に抑えて3-2と勝利する。

■1部勢順当勝ち、唯一の2部勢はRCランス

 これ以外の1部勢対決はトロワがソショーを2-1と下し、ロリアンはジェレミー・アリアディエールの2ゴールなどにより3-0とブレストを下し、ブルターニュ対決を制する。
 また、下部のリーグのチームと対戦した1部勢はエビアンは2部のルアーブルを3-1と一蹴したが、アマチュアチームと対戦したボルドー、ナンシーはともに苦戦し、ボルドーはPK戦で勝利、ナンシーも延長戦でベスト8の座をつかんだ。
 そして唯一の下部リーグ勢同士の対戦となったRCランス(2部)とエピナル(ナショナルリーグ)はRCランスが2-0と勝利、今回のフランスカップでは元気のない2部勢で唯一準々決勝に進出したのである。(続く)

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