第1957回 新春の訪れ、フランスカップ(2) トゥールを振り切ったロリアン、新監督で大勝したリヨン

 5年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■1部勢6チームが同時にキックオフした日曜日の14時15分

 前回からフランスカップのベスト32決定戦について紹介しているが、初日の1月2日は1部勢が7チーム出場し、スタッド・ド・ランス以外の6チームは下位のチームを破ってベスト16決定戦に進出した。また、延長戦で勝利したトロワ以外は大勝で年明けのフランスカップの初戦らしからぬ穏やかな結果となった。
 2日目の1月3日は前日とはかなり違う展開となった。この日に出場した1部勢は11チーム、そのうち9チームは下位のリーグ勢の挑戦を受ける。
 日曜日であるため、午後から試合が予定され、14時15分から試合が始まる。この時間に1部勢は6チームが出場する。

■ホームで戦ったロリアン、マルコ・シモーネ監督率いるトゥールを下す

 その中で唯一ホームで試合を行ったのがロリアンである。ロリアンは2002年にフランスカップを獲得したことがあるが、昨年は初戦のベスト32決定戦で敗れている。リーグ戦は前半戦を終えたところで勝ち点26の8位、ヨーロッパリーグ出場を十分に狙えるポジションである。
 ロリアンが迎え撃つのは2部のトゥールである。2部のトゥールはこれと言って目立った成績を残していないが、監督のマルコ・シモーネに注目すべきであろう。イタリア代表として活躍し、全盛期のACミランの攻撃陣を支え、パリサンジェルマン、モナコ、ニースというフランスのクラブにも所属したシモーネは現役引退後、テレビ解説者を経て2部に降格したモナコの監督に就任する。ところがモナコは2部で8位に終わり、1部に復帰することができず、モナコの監督を更迭される、その後スイスのローザンヌを経て、今季からトゥールの監督になった。監督としてはいい印象のないフランスで名誉挽回したいところである。
 先制点を奪ったのはホームの1部のロリアンであった。26分にファウルで得たPKを決める。前半はロリアンが1点をリードして折り返し、後半も最初のチャンスはロリアンに訪れるが、51分にトゥールが同点に追いつく。ロリアンは57分に勝ち越し点を奪うが、トゥールも64分に追いつき、試合は90分では決着がつかず、延長戦に突入する。延長前半の100分にトゥールはベンジャマン・ジャンノが得点を決め、3-2と振り切ったのである。

■新監督の初陣を大勝で飾ったリヨン

 ロリアンの試合と同時にキックオフを迎えた1部勢はパリサンジェルマン、サンテチエンヌ、リヨン、ボルドー、モンペリエと豪華な顔ぶれがそろう。いずれも相手は3部以下のチーム、アウエーで小さな競技場に満員の観衆が集まった環境の中での試合となる。
 この中で楽に勝つことができたのは5部に相当するCFA2部のリモージュと対戦したリヨンだけであった。本連載で紹介した通り、新年に新競技場に移転するリヨンであるが、ヨーロッパリーグではグループリーグで敗退、そしてリーグ戦でも9位と不本意な成績で2016年を迎えた。リヨンは監督のウベール・フルニエを更迭し、ブルーノ・ジェネジオを新監督に起用する。新監督の初陣となるこの試合、リヨンは3分にマクスウェル・コロネが先制点をあげ、その後もゴールラッシュで7-0と大勝する。格下の相手であったがリヨンは大勝して新スタジアムでの後半戦開幕を迎えることになったのである。

■パリサンジェルマンを迎えるワスカル

 リヨン以外の各チームは苦戦した。リーグ首位のパリサンジェルマンはワスカルと対戦する。北部にあるワスカルは4部に相当するCFAの北部リーグの首位である。相手がパリサンジェルマンということで、ビルヌーブダスクの北競技場を使用する。この北競技場は昨年までリールの本拠地であった。ワスカルはかつては2部にも所属した強豪チームであり、2004年まではプロチームであり、当時はこの北競技場を使用してきた。現在バスケアルが使用している競技場は収容人員わずか500人であるが、北競技場には1万1000人のファンが集まったのである。(続く)

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