第1984回 4強が決まったフランスカップ (1) ロリアン完勝、ソショーは逆転勝ち

 5年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■パリサンジェルマンのタイトル独占を阻止したいサンテチエンヌとマルセイユ

 前回までの本連載ではヨーロッパリーグの決勝トーナメント1回戦でフランスから勝ち残っていたサンテチエンヌとマルセイユがともに接戦の末敗れたことを紹介した。一方、チャンピオンズリーグの決勝トーナメントに勝ち進んだパリサンジェルマンは1回戦の第1戦でチェルシー(イングランド)に2-1と先勝している。
 サンテチエンヌとマルセイユのファンにとっては国内リーグ戦で独走するパリサンジェルマンが欧州の戦いでも他のフランス勢を寄せ付けない力を誇っていることを改めて認識したわけだが、パリサンジェルマンを倒すチャンスはまだ残っている。
 それがフランスカップである。フランスカップは本連載第1975回から第1977回にかけて紹介した通りベスト8が決まったが、準々決勝は3月2日と3日に行われた。パリサンジェルマンに加え、サンテチエンヌ、マルセイユも勝ち残っている。

■過密スケジュールとの戦いとなる欧州組

 準々決勝の組み合わせは2日の19時からロリアン-GFCアジャクシオ戦とソショー-ナント戦、21時5分からサンテチエンヌ-パリサンジェルマン戦、3日の21時からグランビル-マルセイユ戦となっている。パリサンジェルマンにとってはチェルシーとの第2戦の前週、サンテチエンヌとマルセイユにとってはヨーロッパリーグに続きて3週連続で週の半ばの戦いが続くことになる。しかし、サンテチエンヌにとってはパリサンジェルマンのタイトル獲得を阻止する今季最後のチャンスであろうし、マルセイユも勝ち進んで宿敵パリサンジェルマンを倒す挑戦権を得たいところである。
 注目はこのヨーロッパカップの決勝トーナメントに出場した3チームの試合であるが、まずは2日の19時にキックオフされた2試合を紹介しよう。

■ロリアン、後半戦で不振のGFCアジャクシオに完勝

 1部勢同士の戦いとなったロリアンとGFCアジャクシオ、リーグ戦の順位はロリアンが10位、GFCアジャクシオは18位である。今季1部に初昇格したGFCアジャクシオは健闘していたが、後半戦に入ってから4分4敗と勝ち星がなく、18位と降格圏内に入ってしまった。GFCアジャクシオにとってはリーグの残留が優先度の高いテーマであるが、このフランスカップもあと3勝でタイトルに手が届く。一方のロリアンもリーグ戦ではチャンピオンズリーグの出場の可能性がある3位までの勝ち点の差はわずかに5であるが、フランスカップにかける思いは同じであり、2002年以来14年ぶりのタイトルを狙う。
 GFCアジャクシオは5バックという守備的な布陣でアウエーの戦いに臨むが、守備の破たんが致命傷となった。9分に夏の欧州選手権でのフランス代表入りの可能性もあるロリアンのケビン・ガメイロからのパスがGFCアジャクシオの守備陣の混乱を誘い、ロマン・フィリッポトーのシュートで先制する。さらに43分にはマキシム・バルテメレが追加点、そして前半終了間際にはGFCアジャクシオのロデリック・フィリッピが2枚目のイエローカードで退場、2点リードされ、数的不利になったGFCアジャクシオに勝機はなくなった。終了間際にパプ・ペイエがゴールを決めたロリアンが3-0と完勝する。

■後半終了間際に追いついたソショー、好調ナントに延長戦で勝利

 親会社PSAプジョーシトロエンの経営不振により中国資本となったソショーはリーグ戦では不調であり、2部で18位と低迷している。ファンの希望はこのフランスカップである。一方のナントは昨年11月下旬から公式戦16戦負け知らずである。ナントは立ち上がりの5分にギヨーム・ジレが先制点、そしてこの無敗記録を支えている守備陣がソショーの攻撃を押さえ、勝利目前であった。
 しかし、守勢一方のソショーは87分にムッサ・サオが25メートルのミドルシュートを決めて、試合を延長戦に突入させる。勢いづいたソショーは延長前半の98分にセク・シセが勝ち越し点、さらに延長後半が始まったばかりの106分にサオがダメ押し点をあげる。ナントは116分にアドリアンが1点返すが、追いつくことができず、ナショナルリーグ降格圏内のソショーがフランスカップで4強に入ったのである。(続く)

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