第2147回 8強の決まったフランスカップ (3) 8強入りしたフレジュス・サンラファエルとアブランシュ

 6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ベスト16の半数は2部以下のチーム

 フランスカップのベスト8決定戦は2月28日、3月1日と2日に行われた。年明けから参戦してきた1部勢にとっては3戦目となる。この段階になっても下部リーグから勝ち残っているチームは全体の半数であり、2部リーグ3チーム、ナショナルリーグ3チーム、CFA2チームとなっている。
 これらの下位リーグから勝ち残ったチームのうち1部勢を破って勝ち上がってきたのは2部のオセール、ナショナルリーグのCAバスティアの2チームだけである。くじ運のおかげでここまで残っているチームもある。4部に相当するCFAから勝ち残ったチームはフレジュス・サンラファエルとベルジュラックであるが、フレジュス・サンラファエルは年が明けてからの2試合はいずれも同格か格下のリーグのチームと対戦してきた。ベルジュラックはベスト16決定戦では2部のRCランスを下している。

■名選手の名を冠した本拠地でオセールを破ったフレジュス・サンラファエル

 ベスト8決定戦でフレジュス・サンラファエルは2部のオセールと対戦する。オセールはベスト16決定戦では1部のサンテチエンヌを下している。フレジュス・サンラファエルはその名前からわかるとおりフレジュスにあるチームとサンラファエルのチームが合併して誕生したが、本拠地はサンラファエルのルイ・オン競技場である。ルイ・オンとはサンラファエル出身のサッカー選手の名前で、レイモン・コパに先駆けること6年、フランス人として初めてスペインのレアル・マドリッドでプレーし、フランス代表としても活躍している。この競技場はトゥーロン国際大会でも使用されることから、ご存じの方もいらっしゃるだろうが、収容人員はわずか3000人である。トゥーロンの競技場を使用することも想定されたが、フレジュス・サンラファエルは慣れ親しんでいるホームでオセールを迎えた。観衆はわずか1000人強であったが、前半に2点を奪い、ベスト8入りを決めたのである。

■ラグビースタジアムでリールに敗れたベルジュラック

 もう1つのCFA勢のベルジュラックは1部のリールとの対戦、こちらはスタジアムを変える。ラグビーの盛んな南西部にあるベルジュラックは、ラグビーチームが使用しているスタジアムを使用し、5500人の観客とともにトップリーグのチームと戦った。前半は両チーム無得点、後半に入って70分にリールが先制する。これで勝負あったか、と思われたが、通常の倍以上の観客の声援にベルジュラックのイレブンは応えた。アディショナルタイムの92分に起死回生の同点ゴール、試合は振り出しに戻ったかに見えた。しかしリールはその2分後の94分、リールはポルトガル代表のエデルが決勝点を入れ、ベルジュラックの夢は3月の初めに消えたのである。

■ナショナルリーグから唯一勝ち残ったアブランシュ

 ナショナルリーグ勢は3チームが残ったが、いずれも格上のリーグのチームとの対戦となった。ベスト16決定戦で1部のナンシーを下したCAバスティアは引き続き1部のアンジェと対戦、前半に奪った1点をアンジェは堅い試合運びで守り抜く。これでコルシカのチームはフランスカップから姿を消した。
 2010年にはベスト4、2012年には準優勝という成績を残し、フランスカップのスペシャリストともいうべきクビリー・ルーアンはここまで同格以下のチームとの対戦を勝ち抜いてきたが、初めて格上のチーム、1部のギャンガンと対戦する。昨年の10月以来、リーグ戦、カップ戦では負けなしというクビリー・ルーアンは9000人のファンの声援もむなしく、後半半ばに2失点、アディショナルタイムに1点を返すにとどまり、今年はベスト8入りできなかった。
 ナショナルリーグ勢で唯一ベスト8に残ったのがアブランシュである。エンブレムにモンサンミッシェルを抱く伝統チームもまた、ここまでドローに恵まれ、格下のチームとしか対戦していない。2部のストラスブールが初めての格上チームとの対戦である。先制したのはアブランシュ、48分に1点を奪い、このまま逃げ切るかと思われた、アディショナルタイムの92分にストラスブールが追い付く。試合は延長戦でも雌雄を決することはなく、PK戦になる。5人ずつ蹴ったところでも4-4のタイスコア、7人目で明暗が分かれ、アブランシュが勝ち抜き、ナショナルリーグから唯一ベスト8入りしたのである。(続く)

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