第2278回 新春を飾るフランスカップ (2) 上位を破った下位リーグ勢

 7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■2年前に5部に相当するCFA2部時代に八強入りしたグランビル

 前回のフランスカップは6部から8部に相当する地域リーグから勝ち残った4チームのベスト32決定戦の模様を紹介した。4チームとも敗れてしまったが、3部から5部に相当するナショナルリーグについては今年もベスト32決定戦を勝ち抜いたチームがある。ベスト32決定戦を戦う64チームのうち、半数近い28チームはナショナルリーグのチームである。
 これら28チームのうち、1部勢と対戦したのは6チームである。この6チームのうち1チームが1部勢を破った。それはボルドーと対戦したN2のグランビルである。ブルターニュのあるこのクラブ、本連載ではしばしば登場している。昨年もベスト32決定戦に残し、アンジェに逆転負け、一昨年は5部に相当するCFA2部に所属していたが、ベスト32決定戦で2部のラバルに勝利、ベスト16決定戦では同じCFA2部のサレグミンと対戦して勝利、ベスト8決定戦では2部のブールアンブレス・ペロナに勝利して、八強入りする。準々決勝ではマルセイユに0-1と敗れるが、CFA2部のチームの八強入りは歴史的な快挙であった。

■ボルドーに逆転勝利したグランビル

 このグランビルはボルドーと対戦する。ボルドーは9月末にパリサンジェルマンに2-6と大敗してから調子を落とし、それ以降勝利したのは1試合だけ、リーグ戦の前半戦を終えたところで15位まで順位を落としている。さらにリーグカップでも早々と敗退しており、フランスカップだけが獲得可能なタイトルと言える。グランビルのホームには3000人のファンが集まったが、試合はボルドーが格の違いを見せて支配する。37分にはユヌス・サンクアレがヘディングで先制点を奪う。ボルドーはしばしば追加点のチャンスを逃したが、この1点をボルドーが守りきると思われる展開だった。しかし、試合は荒れ気味となり、イエローカードが舞う。そして87分、ボルドーのユスフ・サバリが2枚目のイエローカードで退場となる。そして4分間のアディショナルタイム、残り10秒のところでグランビルがスリバン・マルティネのゴールで追い付く。
 最後の最後で追いつかれたボルドーの選手は我を忘れてしまう。延長前半の102分にはペナルティエリア内でファウルを犯したトマ・カリックが退場、このPKをグランビルは決めて、逆転する。さらにボルドーは延長後半の110分にジャロスラフ・プラシルが審判に暴言を吐き、レッドカード、8人となったボルドーに勝機はなく、グランビルが逆転勝ちした。チーム史上初めて1部勢に勝利し、32強入りしたのである。

■モンペリエにPK戦で敗れたポンタルリエ

 そして勝つことはできなかったが1部のモンペリエを冷やりとさせたのが、N3のポンタルリエである。スイス国境にあるポンタルリエ、パリからジュネーブに向かうTGVの停車駅である。ポンタルリエに乗り込んだモンペリエは39分に先制するが、ポンタルリエも後半に追いつく。試合はこのまま延長戦に入っても両チーム得点なく、PK戦となる。PK戦でモンペリエが4-2と競り勝ち、モンペリエが辛勝した。
 これ以外にナショナルリーグ勢と対戦した1部勢はリール、モナコ、ナント、メッスが勝利してベスト32に入った。

■上位のリーグのチームに勝利したグルノーブル、ロリアン、ソショー

 ナショナルリーグ勢で2部以上のチームに勝利したのはN1のグルノーブルが2部のGFCアジャクシオに勝利しただけで、ナショナルリーグ勢同士の戦いで勝利した6チームと前回の本連載で紹介した地域リーグ勢を破った2チームがベスト32入りしている。
 2部勢はベスト32決定戦に12チームが残った。この中で1部勢を倒したのが2チームある。前半戦で2部7位のロリアンが1部で19位のアンジェに2-0で勝利した。また2部8位のソショーは1部13位のアミアンと対戦、何とソショーは6点をあげ、6-0と大勝した。
 これ以外に1部勢と対戦した2部勢はニオールがギャンガンに、ナンシーがリヨンに、ニームがサンテチエンヌに、バランシエンヌがマルセイユに敗れている。2部勢同士の対戦はなく、ナショナルリーグ以下のチームに勝利した5チームを加えた7チームがベスト16決定戦に残ったのである。(続く)

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