第2493回 レンヌ、フランスカップを制す(1) 決勝はパリサンジェルマン-レンヌ

 8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■リーグ戦優勝決定の翌週にフランスカップ決勝を戦うパリサンジェルマン

 前回までの本連載ではパリサンジェルマンが難産の末に優勝したことを紹介した。4月7日のストラスブール戦から始まってようやく4試合目の21日のモナコ戦の前に行われた試合でリールが引き分けたことから優勝を決めた。パリサンジェルマンの4月の戦績であるが、3日のフランスカップの準決勝でナントに勝利してからはリーグ戦で3試合勝ちがなく、モナコ戦が4月に入って初めてのリーグ戦の勝利となった。リーグチャンピオンとなったパリサンジェルマンは苦戦した4月は残り2試合、4月27日にフランスカップ決勝、30日にリーグ戦のモンペリエ戦が控える。

■悲劇的な敗戦を重ねてきた今季のパリサンジェルマン

 フランスカップは4連覇中であり、カップ戦のスペシャリストとしての地位を保っている。今季のパリサンジェルマンはリーグ戦では開幕14連勝という驚異的なスタートダッシュをしながら、優勝を前に足踏みを続け、リーグカップでは準々決勝で当時リーグ最下位だったギャンガンに本拠地のパルク・デ・プランスで敗れている。そして最大の目標であるチャンピオンズリーグでは決勝トーナメント1回戦でアウエーの第1戦でマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)に2-0と先勝しながら、ホームの第2戦では試合を一方的に支配しながら終了間際にPKを決められ、1-3と敗れ、アウエーゴールの差で大逆転負けを喫する。悲劇的な敗戦を重ねてきたイメージが強いシーズンとなった。
 そのパリサンジェルマンが安定して勝ち進んできたのがフランスカップである。ベスト8決定戦こそ3部に相当するナショナルリーグのビルフランシュ相手に延長戦での決着となったが、1部勢と3回対戦し、ストラスブール、ディジョン、ナントを相手にいずれも複数得点を奪い、完封勝ちを続けてきた。世界チャンピオンとなった国をリードするクラブとして得意のフランスカップは有終の美を飾りたいところである。

■今季のフランスサッカー界の希望となったレンヌ

 そのパリサンジェルマンの決勝の相手はレンヌである。今季のフランスサッカー界において最も驚きを与えたチームであることに間違いはない。リーグ順位こそ中位であるが、ヨーロッパリーグにおける活躍はフランスのサッカーファンの期待を集めた。終わってみれば、フランス勢の中で最も長く欧州の舞台で戦い続けたチームとなった。クラブ史上初めて年が変わってからも欧州カップで戦い続けたが、決勝トーナメント1回戦ではスペインのベティス相手にホームで引き分けたが、アウエーの第2戦には3000人のファンが押し寄せ、3-1と勝利する。そして2回戦ではアーセナル(イングランド)と対戦し、結果的には敗退してしまったもののアウエーゲームには5,000人のファンがエミレーツ競技場に詰めかけた。昨年の12月までの国外でのアウエーゲームでは400人しかファンが応援に行かなかったことを考えれば、いかにこのチームに対するファンの評価が変わってきたかを理解することができる。
 今回のフランスカップの決勝にもレンヌはファンがスタッド・ド・フランスに大挙して押し寄せる。レンヌには北側のゴール裏の座席が割り当てられたが、これだけで2万人強、主にレンヌのシーズンチケットホルダーの座席となったが、それ以外の座席もレンヌのファンがチケットを確保し、レンヌを応援するファンの数は3万とも言われている。これはレンヌの本拠地のロアゾン競技場の収容人員とほぼ同じである。

■5年ぶりに決勝に進出、48年ぶりの優勝を目指すレンヌ

 レンヌはフランスカップではこのところ5年おきに決勝に進出している。2009年はギャンガンとのブルターニュ決戦となったが、1-2と逆転負けを喫している。そして2014年も決勝の相手はギャンガンであった。この時も0-2と敗れてしまい。決勝では連敗中である。レンヌがフランスカップで優勝したのは1971年のこと、アンドレ・ギのPKでリヨンを1-0と下してから48年ぶりの優勝を目指すのである。(続く)

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