第2630回 四強が決まったフランスカップ(8) パリサンジェルマン、リヨンも準決勝に進出

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、昨年の台風15号、19号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■国内外で勝ち続けるパリサンジェルマンを最後に倒したディジョン

 前回の本連載ではナショナル2部リーグのベルフォールとエピナルがフランスカップの準々決勝で1部勢に挑戦したが、夢破れたことを紹介した。今回は準々決勝の残りの2試合、1部勢対決を紹介しよう。
 前回の本連載の最後でチャンピオンズリーグの決勝トーナメントに臨むパリサンジェルマンとリヨンを紹介したが、両チームは準々決勝では顔を合わせず、パリサンジェルマンはディジョンとアウエーで、リヨンはホームでマルセイユと対戦することになった。 フランスカップ、リーグカップ、チャンピオンズリーグで勝ち進んでいるパリサンジェルマンは国内リーグでも独走態勢で第24節終了時点で2位のマルセイユに勝ち点12の差をつけている。これらの公式戦で21試合連続負けなし(20勝1分)であり、パリサンジェルマンが最後に負けたのが昨年11月1日のリーグ戦でのディジョン戦である。

■パブロ・サラビアの2ゴールなどで大勝したパリサンジェルマン

 チャンピオンズリーグ決勝トーナメント前最後のリーグ戦以外の試合ということでどのような攻撃陣で戦うのかが注目されたが、2トップはキリアン・ムバッペとエディンソン・カバーニ、右サイドにはユルゲン・ドラクスラー、左サイドにはパブロ・サラビアを起用した。右サイドはアンヘル・ディマリア、左サイドはネイマールの起用も考えられたが、ネイマールは不確定要素が多くメンバー外、ディマリアはドラクスラーのテストを兼ねて、ベンチスタートとなった。
 ディジョンのガストン・ジェラール競技場には1万4000人を超えるファンが集まった。また、正GKのアルフレッド・ゴミスの負傷により、ディジョンのゴールはアイスランド代表のルナル・アレックス・ルナルソンが守る。しかし、開始わずか1分、ディジョンはオウンゴールで出ばなをくじかれる。12分にディジョンは追いついたものの、前半終了間際にパリサンジェルマンはムバッペがドリブルで相手を抜き去り、最後はGKのルナルソンと一対一となり、勝ち越しゴールを決める。後半に入ると試合は一方的な展開となり、チアゴ・シウバが1点、サラビアが2点、オウンゴールで1点と、最終スコアは6-1という大差がついた。ネイマールの代役のサラビアが2ゴールと結果を残し、ディマリア、マウロ・イカルディをピッチに立たせることなく、ボルシア・ドルトムント(ドイツ)を迎えることになった。

■ホームでマルセイユに対して相性のいいリヨン

 パリサンジェルマンのライバル、リヨンはリーグ戦の順位は9位と振るわないが、2位のマルセイユに対してホームでの対戦は非常に相性がいい。通算成績は55戦してリヨンが26勝22分7敗と大きく勝ち越しており、2007年11月に敗れてからは13試合無敗である。実はホームでマルセイユに対して13戦無敗というのはパリサンジェルマンも同じであるが、なんとボルドーはマルセイユに対して1978年以来37戦無敗という成績を誇る。
 一方、リーグ戦の順位を象徴するのが年が明けてからの両チームの失点数である。リヨンは10試合で14失点を喫しているのに対し、マルセイユは8試合で2失点しかしていない。

■ムーサ・ダンベレがPKを失敗したものの、フッセム・アウアの決勝点でリヨン勝利

 試合は無得点のまま、後半に入る。しかし、67分、マルセイユの左サイドDFの酒井宏樹がペナルティエリア内でハンドの反則、リヨンにPKのチャンスが与えられた。マルセイユのGKはスティーブ・マンダンダではなくヨアン・ペレ、ムーサ・ダンベレが蹴ったPKをストップし、マルセイユの望みをつなぐ。ダンベレは今季PKを三度失敗したが、リヨンは3万6000人の地元ファンの期待にこたえたい。81分にベルナール・トラオレからのパスを受けたフッセム・アウアがアルバロ・ゴンザレスのタックルをかわして右足でシュート、これが決まって決勝点となる。アウアはリーグカップの準決勝でもゴールをあげており、カップ戦の殊勲者となった。リヨンもパリサンジェルマンに続いて準決勝に進出いたのである。(この項、終わり)

このページのTOPへ