第2939回 ベスト16が決定したフランスカップ(1) アマチュアチームに敗れたメッスとアンジェ

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■年の変わり目が節目だったフランスサッカーのカレンダー

 例年は1年の最初に行われるのがフランスカップのベスト32決定戦である。フランスのサッカーカレンダーは年末年始の小休止を迎える前にリーグ戦の前半戦が終わり、この時点での首位が秋の王者と称される。欧州カップも12月までにグループリーグが終了し、年が明けてからは決勝トーナメントが始まる。秋春制で行われているフランスのサッカーであるが年の変わり目は大きな意味を持つ。そして年の変わり目が他のトーナメント以上に大きな意味を持つのがフランスカップである。フランスカップは年明けから1部勢が参戦してベスト32決定戦が行われてきた。さらにそのベスト32決定戦は最初の週末に行われ、各チームにとっては年が始まって最初の試合であった。

■2022年最初の試合はフランスカップのベスト16決定戦

 2022年も最初の試合はフランスカップであった。ただし、従来のベスト32決定戦ではなく、ベスト16決定戦が主に1月2日に行われた。1部リーグ20チームが参戦するベスト32決定戦は年末の12月中旬に行われた。この理由としては年明け、特に1月から2月にかけての過密日程を避けること、そして昨季はアマチュア側の日程の遅れが新型コロナウイルスの感染拡大によって生じたため、新型コロナウイルスの感染拡大の対応のために日程を早期消化しておきたいとの考えがある。

■12月中旬に行われたベスト32決定戦で姿を消した地域2部リーグ勢、海外県勢

 ベスト32決定戦は12月16日の木曜日から19日の日曜日にかけて行われ、フランスリーグの前半戦の最後の19節は平日の21日に行われることになった。 フランスカップのベスト32決定戦の見どころは予期せぬチームが勝ちあがってくること、そしてジャイアントキリングである。今年のベスト32決定戦の出場チームは1部20チーム、2部12チーム、3部に相当するナショナルリーグ4チーム、4部に相当するナショナル2部リーグ9チーム、5部に相当するナショナル3部リーグ12チーム、6部に相当する地域1部リーグ2チーム、7部に相当する地域2部リーグ3チーム、海外県・海外領土2チームである。
 最も低いレベルの地域2部リーグからチャレンジした3チームはナショナル3部リーグ、ナショナル2部リーグ、そして1部リーグのクレルモンに挑戦したが、いずれも敗れている。
 また、新型コロナウイルスの感染拡大という中で海外県・海外領土のチームは本土に遠征した。2チームともアフリカ大陸南東の島のチームであり、レユニオンのサンドニとマヨットのジュモー・ド・エンズージアである。サンドニはナショナル2部のジュラシュッドと対戦するため、ブルゴーニュ・フランシュ・コンテ地方まで移動したが、2-5で敗れてしまった。ジュモー・ド・エンズージアは1部のボルドーと対戦した。近代的な大スタジアムでマヨットのチームとファンは心躍らせたが、0-10と大量点を取られ、夢の冒険は終わった。

■ジャイアントキリングにあったメッスとアンジェ

 ベスト32決定戦ではジャイアントキリングというにふさわしい試合が2つあった。まず、ナショナル2部リーグのベルジュラック・ペリゴールが1部のメッスを破った。ベルジュラックにこの時点でリーグ18位のメッスを招き、90分終えたところで両チーム無得点。新型コロナウイルスの感染対応ということで延長戦はなく、そのままPK戦となった。PK戦ではベルジュラック・ペリゴールは5人全員が成功させ、1人が失敗したメッスを下し、32強に進出した。
 もう1つのジャイアントキリングはナショナル3部リーグのリナス・モンレリーが1部で9位のアンジェを破ったことである。リナス・モンレリーはパリ近郊のエッソンヌ圏にあるクラブで2季前もベスト32決定戦に進出している。この時はパリサンジェルマンと対戦、本連載第2611回で紹介したが、0-6で敗れた。そして2年ぶりの1部勢へのチャレンジは開始早々の2分に先制点、これを守り切って、アンジェを倒し、ベスト32に進出したのである。(続く)

このページのTOPへ