第2941回 ベスト16が決定したフランスカップ (3) 1部勢を破った2部のSCバスティアとナンシー

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■ベスト16決定戦が不戦勝となったニース

 例年とは異なったスケジュールで12月中に行われたフランスカップベスト32決定戦、2つのアマチュアチームが1部勢を下すというジャイアントキリングもあったが、残念なのはファン同士のトラブルでパリFCとリヨンの試合が途中で打ち切りとなり、両チームが失格となったことである。
 ベスト16決定戦は1月最初の週末に行われた。ベスト16決定戦に出場したチームは1部15チーム、2部5チーム、ナショナルリーグ1チーム、ナショナル2部5チーム、ナショナル3部5チームである。これらのチーム数を足しても32にならないのはパリFCとリヨンの両チームが失格になったためである。
 ベスト16決定戦の抽選組み合わせはベスト32決定戦のパリサンジェルマンの試合前に行われ、テレビ中継された。すなわち、この時点ではパリFCとリヨンの失格は決定しておらず、この試合の勝者と対戦するチームのベスト16決定戦は不戦勝となった。その不戦勝という幸運に恵まれたのがニースである。古豪ニースはリーグ戦では前半戦を修了した時点でパリサンジェルマン、マルセイユに次ぐ3位である。リーグ戦では一桁順位を連続して記録しているがカップ戦は苦手のようで、昨年はベスト16決定戦、一昨年はベスト8決定戦で敗れ、その前は5季連続して初戦のベスト32決定戦で姿を消している。ベスト8の壁を越えれば、11季ぶりとなる。

■アマチュアチーム相手に順当に勝利した1部勢の5チーム

 15試合のうち、1部勢同士の対戦は3試合だけとなり、8チームは下部のリーグのクラブの挑戦を受けることとなった。8チーム中5チームはアマチュアのチームと対戦し、順当に退けた。昨季優勝で今季もリーグトップを走るパリサンジェルマンはナショナル2部のバンヌを4-0と下す。リーグで2位のマルセイユもナショナル3部のショービニを3-0と一蹴する。それ以外にスタッド・ド・ランス、ナント、サンテチエンヌもナショナル2部以下のチームに勝利し、ベスト16入りした。

■監督交代のモナコ、難敵を下してベスト16入り

 1部勢と2部勢の対戦は2部勢が意地を見せた。昨季準優勝のモナコはクビリー・ルーアンと対戦した。クビリー・ルーアンは今季2部に復帰したばかりであるが、クビリー時代からフランスカップでは好成績を残し、ナショナルリーグ時代の2012年には準優勝を果たし、それ以降も2回ベスト8決定戦に進出している。2部リーグでも中位につけている。モナコは新型コロナウイルスの陽性者がチームにおり、濃厚接触者がメンバーから外れる。リーグは前半戦6位、そしてヨーロッパリーグではグループリーグを首位で突破したが、ニコ・コバチ監督が主力選手との関係が悪化したため、年末にコバチ監督が解任となった。後任はベルギーのクラブ・ブルージュからフィリップ・クレマンが予定されているが、この試合には間に合わず、Bチームのコーチのステファン・ナドが指揮を執る。そのような危険な状態での試合となったが、モナコは主将のウィッサム・ベン・イェデルがPKで先制点を奪う。その後もケビン・フォランドが追加点をあげる。クビリー・ルーアンが1点を返すが、モナコは後半に入って1点を追加し、今年最初の試合で勝利した。新監督を迎えた巻き返しへの期待が膨らむ。

■2部勢に敗れたクレルモンとレンヌ

 一方、それ以外の2チームは2部勢に敗れた。今季1部に初昇格したクレルモンはリーグで16位、2部のSCバスティアと対戦した。SCバスティアは2016-17シーズンまで1部に所属していたが、財政不正問題もあり、5部に相当するナショナル3部に降格した。そこから昇格を重ね、今季は2部に復帰したが、18位と苦戦している。クレルモン同様昇格後に苦戦しているが、SCバスティアはクレルモンに押されながらも前後半1点ずつ奪って格上のチームを破った。
 そしてベスト32決定戦で最大の驚きは2部で最下位のナンシーが1部4位でヨーロッパカンファレンスリーグでも決勝トーナメントに進出したレンヌを破ったことであろう。レンヌは先制点をあげたが、追いつかれ、PK戦となる。PK戦では先蹴のレンヌは最初のガエタン・ラボルドが失敗、結局3-4と競り負けたのである。(続く)

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