第2954回 フランスカップベスト8決定戦(2) ニース、PK戦でパリサンジェルマンを下す

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■7割のボール支配をするもシュートの打てないパリサンジェルマン

 フランスカップベスト8決定戦で一番の注目を集めたリーグ首位のパリサンジェルマンと2位のニースの対戦、新型コロナウイルスの感染拡大もあり、パルク・デ・プランスに観衆を5000人におさえて行われた。
 白いユニフォームのニースのキックオフで試合は始まった。フランスカップは先発メンバーが1番から11番をつけることもあり、リオネル・メッシは久しぶりの背番号10となった。試合はパリサンジェルマンが優位に進め、前半20分過ぎまでのボール支配率は7割を記録する。しかし、パリサンジェルマンがこの試合で初めてのシュートを記録したのは22分まで待たなくてはならなかった。メッシの放ったシュートはゴールポストの左を通過する。一方のニースもようやく25分にFKからアミン・グイリが直接ゴールを狙うが、ジャンルイジ・ドンナルンマがブロックする。パリサンジェルマンで孤軍奮闘したのはメッシであり、45分にはゴールを狙うが、ニースのGKのマルシン・ブルカが落ち着いて処理をし、ハーフタイムを迎える。

■12月のリーグ戦に続いてスコアレス、PK戦でニースが11年ぶりのベスト8へ

 後半に入って最初の得点機は48分、ニースのジュスティン・クライファートが左足で強いシュートを放つが、ドンナルンマが止める。パリサンジェルマンでブレーキとなったのがCFで先発したマウロ・イカルディである。全くシュートを放つことができず、64分にはキリアン・ムバッペと代えられてしまう。残り25分余りでのムバッペのゴールに期待したファンであったが、ニースは守備を固めてパリサンジェルマンにシュートさせない。結局、スコアレスドローに持ち込んだ昨年12月のリーグ戦と同じ展開となった。
 試合は90分で終了の笛が吹かれたが、リーグ戦と異なり、ドローで終えるわけにはいかない。PK戦が行われ、先蹴はニースである。トップは元フランス代表のモルガン・シュナイデルラン、きっちりと決める。両チームとも2人目まで成功、3人目はニースは成功させたが、パリサンジェルマンのレアンドロ・パレデス、ニースの4人目のアンディ・デュロールと立て続けにGKに阻まれてしまう。その後パリサンジェルマンの4人目、両チームの5人目が成功させて、5人目を終えたところで4-4、サドンデスとなる。6人目は2人とも成功、明暗が分かれたのは7人目であった。ニースはダンテがパネンカで決めるが、パリサンジェルマンは18歳のシャビ・シモンズが蹴ったボールがGKに跳ね返され、ニースの勝ち抜きが決まった。ニースのベスト8進出は実に11年ぶりとなり、パリサンジェルマンが8強に入れなかったのは8年ぶりである。

■東西冷戦終結後初の優勝を狙うマルセイユもPK戦で8強入り

 これ以外に注目のカードとなったのはマルセイユ-モンペリエ戦である。マルセイユは年末から好調で、リーグ戦でも3位まで順位を上げた。フランスカップで最後に優勝したのは1989年、東西冷戦終結前の平成元年のことである。一方のモンペリエも6位と上位にいるが、試合はマルセイユが一方的に支配した。しかしながら、積極的にシュートを放つものの、マルセイユはゴールをあげることができない。ようやくマルセイユが先制をしたのは74分、アルカディウシュ・ミリクが右足でゴール前からシュートを決めた。これで勝負あったか、と思われたが、劣勢のモンペリエは80分に19歳のコンゴ代表、ベニ・マクアナのゴールで追いつく。結局シュート数のみを比較するならば、28本を放ったマルセイユと3本に過ぎなかったモンペリエの試合は1-1となり、PK戦に突入する。
 先蹴のモンペリエは最初の元フランス代表のママドゥ・サコが決めたが、2人目のポー・ロペスが失敗する。モンペリエは3人目以降5人目まで成功させたものの、マルセイユは5人全員成功させ、ベスト8入りを決めた。

■ジャイアントキリングが多発、8強のうち1部勢は4チームだけ

 このベスト8決定戦ではジャイアントキリングが多く、所属リーグの違う3試合はいずれも下位リーグ所属チームが勝利した。ナショナル2部のベルジュラックが1部最下位のサンテチエンヌ、同じくナショナル2部のベルサイユが2部のトゥールーズ、2部のSCバスティアが1部のスタッド・ド・ランスを下した。
 1部勢対決はモナコがRCランス、ナントがブレストをそれぞれ下し、2部勢対決はアミアンがナンシーを下した。結局ベスト8の半数は2部以下のチームとなったのである。(この項、終わり)

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