第2953回 フランスカップベスト8決定戦(1) リーグ首位のパリサンジェルマンと2位のニースが対戦

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■過密日程を解消した1月のフランスのサッカーカレンダー

 前回までの本連載ではアフリカ選手権のグループリーグの模様を紹介してきた。一時期はワールドカップや欧州選手権のように欧州のリーグのシーズンオフに開催したこともあったが、気候の問題で再び1月から2月にかけて行われている。そうなると影響を受けるのが欧州のクラブであり、今回もフランスから1部だけで50人以上の選手がエントリーしている。そのようなこともあり、フランスリーグの1月は3試合しか行わない。また、従来年初に行われていたフランスカップのベスト32決定戦は前年の暮れに行われ、リーグカップも廃止された。したがって、リーグ戦以外の試合はフランスカップのベスト16決定戦とベスト8決定戦である。延期などによるイレギュラーな日程追加を除くと1月は最多で5試合、最低で3試合となる。従来の1月は、クラブも代表も国際試合がない代わりに、リーグ、カップ、リーグカップと過密なスケジュールであったが、それが解消したといえるであろう。

■リーグ首位のパリサンジェルマンと2位のニースがパルク・デ・プランスで対戦

 フランスカップのベスト8決定戦は1月最後の週末に行われた。年初に行われたベスト16決定戦の模様は本連載の第2940回から第2942回で紹介したとおり、リーグ首位のパリサンジェルマン、2位のニースなど1部の上位勢が勝ち進んだ。
 そのリーグ1位のパリサンジェルマンと2位のニースは順位をそのままキープし、あろうことか、ベスト8決定戦で対戦することとなり、この試合はパルク・デ・プランスで行われる。黄金カードということでベスト8決定戦の最後の試合として1月31日21時15分にキックオフされ、テレビ中継もされる。そしてこの試合のキックオフ前には準々決勝の組み合わせ抽選が行われ、これもまたテレビで中継される。この時点で残りの準々決勝進出7チームは決まっており、組み合わせ抽選の結果、パリサンジェルマン-ニース戦の勝者がリーグ戦3位のマルセイユと対戦することとなった。偶然とはいえ、ベスト8決定戦、準々決勝とあまりにも出来すぎた組み合あわせとなった。

■今季のパリサンジェルマンがパルク・デ・プランスで唯一勝利できなかったニース戦

 パリサンジェルマンはフランスのナンバーワンチームであるが、カップ戦のスペシャリストと言えよう。これまでにフランスカップでは14回と最多優勝を誇る。現在2連覇中、2019年にはレンヌに決勝で敗れたが、その前は4連覇し、カップ戦44戦無敗という記録を立てており、過去7シーズン中6シーズンは戴冠している。
 一方のニースもこれまでにフランスカップで3回優勝しているが、1997年に最後のパルク・デ・プランスでの優勝チームとなってから優勝から遠ざかっている。決勝の舞台がスタッド・ド・フランスとなってからは決勝に進出したこともない。しかし、ニースは昨年12月1日のリーグ戦ではパルク・デ・プランスでパリサンジェルマンと0-0で引き分けている。パリサンジェルマンはホームではチャンピオンズリーグも含めてこれ以外の試合は全て勝利しており、今季ここまでのパルク・デ・プランスでの戦績は13勝1分、その唯一の引き分けを記録したのがニースである。

■アフリカ選手権、ワールドカップでメンバーを欠く両チーム

 アフリカ選手権の影響としてパリサンジェルマンはアクラフ・ハキム(モロッコ)、アブドゥ・ディアロ、イドリッサ・グイエ(以上セネガル)、ニースはマリオ・レミナ(ガボン)、ユセフ・アタル(アルジェリア)を欠く。またパリサンジェルマンはワールドカップ予選にケイロル・ナバス(コスタリカ)、アンヘル・ディマリア(アルゼンチン)、マルキーニョス(ブラジル)も派遣しているほかにネイマール、セルヒオ・ラモスなどが負傷している。
 パリサンジェルマンのマウリシオ・ポチェッティーノ監督はキリアン・ムバッペを先発メンバーから外し、ベンチに置き、マウロ・イカルディを中心に右にリオネル・メッシ、左にユルゲン・ドラクスラーという布陣で臨むのである。(続く)

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