第3191回 フランスカップ、トゥールーズ優勝(4) ナントの決勝の相手はトゥールーズ

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■トゥールーズを支える5人のオランダ出身者

 フランスカップ準決勝、4月5日に行われたナント-リヨン戦は昨季優勝チームと人気チームの対戦ということで注目を集めたが、6日のアヌシー-トゥールーズ戦はやや地味なカードとなった。アヌシーは2部、トゥールーズは昨年までは2部ということで前日のカードに比べれば、格落ちの感は否めない。しかし、どんなチームにもチャンスと夢があるのがカップ戦の魅力である。
 トゥールーズは2年間の2部生活から1部に復帰してきたが、現在のリーグ順位は13位、健闘していると言ってよいであろう。この活躍を支えているのが5人のオランダ出身者である。このうち1人はモロッコ代表となっているザカリア・アブクラルであるが、それ以外のブランコ・バンデンブーメン、スティン・スピエリングス、タイス・ダリンガ、サイード・ハムリッチはオランダ代表の経験はないが、トゥールーズを支えている。

■ラグビーの都、トゥールーズのサッカーチーム

 トゥールーズは1970年創立であるが、同名のクラブが1937年から1967年に存在していたが、財政問題によりレッドスターに買収されている。現在のクラブはタイトルを獲得していないが、1967年まで存在していたクラブは1957年にフランスカップで優勝している。ラグビーのスタッド・トゥールーザンは数々のタイトルを獲得しているが、サッカーではこれが唯一のタイトルである。ラグビーに負けじと熱心なサポーターがアヌシーに駆け付けた。

■オート・サボワ県のアヌシーとエビアン・トノン・ガイヤール

 アヌシーはオート・サボワ県の県庁所在地であるが、県内にあるエビアン・トノン・ガイヤールはかつてはアヌシーよりも実力が上で、1部の経験もあり、2013年にはフランスカップの決勝に進んでいる。その時にアヌシーは7部に相当する地域2部リーグで戦っていた。エビアン・トノン・ガイヤールがフランスカップで準優勝した時、準々決勝ではパリサンジェルマン、準決勝ではロリアンを下しているが、これらの試合で使用したのがアヌシーの本拠地のスポーツ公園である。
 その後、両チームは対照的な道のりを歩む。エビアン・トノン・ガイヤールは財政的な問題から7部相当からリスタートし、現在4部に相当するナショナル2部にいる。アヌシーは、その後、昇格を続け、今季2部に加わった。県内のライバルチームが10年前に戦ったスタッド・ド・フランスまであと1勝、スポーツ公園にトゥールーズを迎える。

■終盤に勝ち越し点を決めたトゥールーズが決勝進出

 アヌシーのスポーツ公園での試合は前売りで完売、1万3000人の観衆で満員となった。アヌシーが勝利すれば、2部勢としては2015年のオセール以来8年ぶりの決勝進出となる。両チームはフランスカップで1度だけ対戦経験があり、80年以上前の1942年の対戦ではトゥールーズが勝利している。
 前日に試合を行ったナントとリヨン同様、トゥールーズも準々決勝以降の戦績は思わしくなく、1勝3敗、直近の2試合はリールとブレストに連敗している。トゥールーズのチーム状態は思わしくなく、なかなか攻撃を組み立てられない。この試合最初のシュートは18分、アヌシーがFKを直接ゴールに狙ったが、トゥールーズのGKヒエティル・ハウグが防ぐ。トゥールーズのエンジンがかかったのは25分過ぎ、しかしアヌシーのGKがセーブを連発する。この試合で最初の得点はワールドカップでも活躍したトゥールーズのアブクラル、36分に同じオランダ出身のバンデンブーメンのクロスをヘディングで決める。この1点を守って後半に入りたいトゥールーズであったが、前半アディショナルタイムにペナルティエリア内でファウルがあり、PKを与える。このPKをアレクシ・ボゼッティが決めて同点となる。
 トゥールーズはパスをつないでボールを支配し続けるがシュートに至らない。PK戦に突入かと思われた85分、アヌシーのDFがGKにボールを戻そうとしていたボールをトゥールーズのファレ・シャイビが決めて、決勝点となる。
 66年ぶりに準決勝に勝利したトゥールーズが、ナントとの決勝に臨むのである。(続く)

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