第3558回 2024-25フランスサッカー、フィナーレ (6) パリサンジェルマン、好調ダンケルクに逆転勝利
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■準決勝はダンケルク-パリサンジェルマン戦とカンヌ-スタッド・ド・ランス戦
3位でプレーオフを勝ち抜いたメッスと戦うスタッド・ランス、ホームアンドアウエー方式の第1戦と第2戦の間にフランスカップ決勝を戦う。
前回の本連載で紹介した通り、メッスで5月20日に行われた入替戦第1戦は2部のメッスが先行したものの、1部のスタッド・ド・ランスが追いついて1-1のドローとなった。
スタッド・ド・ランスは29日に行われる第2戦の前に、24日にフランスカップの決勝を戦う。
フランスカップに関しては本連載ではベスト4が決定した時点まで紹介したので、今回から準決勝と決勝の模様を紹介しよう。
ベスト4は1部からパリサンジェルマンとスタッド・ド・ランス、2部のダンケルク、4部に相当するナショナル2部のカンヌが残った。準々決勝の翌日に準決勝の組み合わせ抽選が行われ、4月1日にダンケルク-パリサンジェルマン、2日にカンヌ-スタッド・ド・ランスといずれも下位のリーグのチームの本拠地で試合が行われることになった。
■リールの本拠地ピエール・モーロワ競技場に集まった4万5000の大観衆
ダンケルクはベスト32決定戦ではオセール、ベスト8決定戦ではリール、準々決勝ではブレストと1部勢3チームを下してきた。しかもこの中でリールとブレストはチャンピオンズリーグではリーグフェーズを勝ち抜いている。ダンケルクのホームゲームであるが、本拠地のマルセル・トリビュ競技場は5000人も収容できないため、ベスト8決定戦で下したリールのピエール・モーロワ競技場でパリサンジェルマンを迎える。
国内の二大タイトルであるリーグでもカップでもクラブ史上最高の成績を残すことになるダンケルクに対するファンの期待は大きく、4万5000人がリールに駆け付けた。2月4日に本来の持ち主のリールがダンケルクを迎えた試合には3万3000人しか集まらなかったことを考えると、いかにファンが期待しているかがわかる。
そしてこれだけの大観衆が集まったのは、対戦相手がパリサンジェルマンだからである。本連載第3555回で紹介した通り、パリサンジェルマンはこの試合の4日後の4月5日にアンジェに勝利し、リーグ優勝を果たすことになり、絶対的な強さを誇る。強いパリサンジェルマンを見たいというファンもいれば、その王者パリサンジェルマンが敗れる瞬間を見たいというファンも存在し、その結果がこの観客数となったのである。
■パリサンジェルマン相手に2点を先行したダンケルク
そして試合は意外な展開を見せる。パリサンジェルマンは正GKのジャンルイジ・ドンナルンマではなくマトベイ・サフォノフを起用したが、フィールドプレーヤーはほぼレギュラークラスの選手である。パリサンジェルマンは試合前から優勢が予想され、開始5分にはヌーノ・メンデスがクロスをあげ、これをデジレ・ドゥエが右足でシュート、これは惜しくも外れる。ところが、その直後にダンケルクが攻めあがり、これをアクラフ・ハキミがファウルで止める。ダンケルクはFKを好位置で獲得する。ゴール前に上がったボールをダンケルクはヘディングでつなぎ、ファーポストに流れたところで、パリサンジェルマンのマークが外れていたバンサン・サッソが先制点をあげる。
さらに27分、ダンケルクは後方からロングパス、これをマルキーニョスが競り合いに負け、ルーカス・ベラウドとヌーノ・メンデスの対応が遅れたところをダンケルクのムハンマド・アルサードがハーフボレーで決めて2点をリードする。
■着々と得点を積み重ね、逆転勝利したパリサンジェルマンが決勝に進出
まさかの展開となったパリサンジェルマンであるが、前半終了間際にウスマン・デンベレが1点を返し、1点差でハーフタイムを迎える。
後半に入って48分、守備でミスをした主将マルキーニョスのゴールでパリサンジェルマンが追いついた。こうなるとパリサンジェルマンのゲームである。勝ち越し点は62分にドゥエが決める。後半アディショナルタイムにはファビアン・ルイスのゴールが決まったかに見えたが、VARでデンベレのオフサイドが確認されノーゴールとなる。しかし、その直後にデンベレが得点を決め、4-2と逆転勝ちして決勝進出を決めたのである。(続く)