第3666回 1部勢が参戦したフランスカップ(4) マルセイユもナントもナショナル1部勢を下す
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■フランスカップで好成績を残しているブール・カン・ブレス
前回までの本連載では4部に相当するナショナル2部以下のリーグのチームと戦った1部勢のチームについて紹介してきたが、3部に相当するナショナル1部と対戦したチームから紹介していこう。
ナショナル1部のチームと対戦した1部勢はマルセイユとナントである。丸栄湯が対戦したのはブール・カン・ブレス、リヨン近郊のクラブである。長らくアマチュアチームとして活動してきたが、2015年に2部に昇格、2部には3季在籍し、ナショナル1部(当時のナショナルリーグ)に降格しても2季、プロのステータスで活動した。2部では一桁順位を記録することはできなかったが、フランスカップでは健闘し、ベスト16に2回残っている。2部在籍期間以外もフランスカップでは何度も越年し、本連載にもしばしば登場している。今年も5回戦から参戦し、4試合勝ち抜いてベスト32決定戦に勝ち進んできた。このようにナショナル1部となるとプロに近いレベルのチームが存在し、油断できない。
■好調マルセイユ、圧巻の6ゴールで完勝
この試合の主審は女性のステファニー・フラッパール氏、人気チームとの対戦とあってブール・カン・ブレスの本拠地、マルセル・ベルシェール競技場は5600人の観衆で満員となる。リーグ戦で3位と好調なマルセイユは下部のチーム相手にも気を抜くことなくゴールを量産した。8分には主将のレオナルド・バレルディがCKからの攻撃をヘディングで仕留め、先制点となる。バレルディは今季初ゴールとなった。マルセイユが試合を支配したが、前半はこの1点どまりであった。
後半に入るとマルセイユの攻撃陣のエンジンが全開となる。59分にメイソン・グリーンウッドが追加点を決めると、次々とゴールが決まり、最終スコアは6-0となった。6点目を決めたのはタジディーヌ・エムマディ、マルセイユ生まれの18歳で、今季プロ契約をしたばかり、プロ初ゴールとなった。サッカーどころのマルセイユ出身の若者の今後の活躍が楽しみである。
■リーグ戦17位で降格圏内のナント、得点力不足が課題
ナショナル1部勢との対戦はもう1試合、コンカルノー-ナント戦である。ナントはリーグ戦では現在17位、下から2番目でありこのままだと自動降格となる。その原因は16試合で14得点という得点力不足にあることは明らかである。
コンカルノーは2023-24シーズンだけ2部に在籍している。まだ、ナショナル1部に陥落して2季目なので、クラブのステータスはプロである。フランスカップでは2015年に準々決勝まで進出したこともある。ナントもコンカルノーも西部のクラブであり、2009-10シーズンには当時2部に所属していたナントはコンカルノーと7回戦で対戦し、その時はナントが3-0と勝利している。コンカルノーの本拠地には3000人近くの観衆が16年前のリベンジとジャイアントキリングを期待して集まった。
■得点を重ねたナントがコンカルノーを下す
そのファンの期待に応え、2分にコンカルノーがシュート、ポストに当たり、コンカルノーは先制点を決められなかった。低めに陣地を取り、ボールを支配するという先述のナントは15分に先制点を奪う。バーメド・デューフがヘディングでゴールネットを揺らした。ただ、その直後の18分、コンカルノーはナントのファウルにより、好位置でFKのチャンスをつかむ。ゴール前でヘディングでクリアしようとしたナントのニコラ・コザが痛恨のオウンゴールで、コンカルノーは追いついた。
しかし、ナントは23分に組織的プレーでコンカルノーの守備陣を崩し、最後はユセフ・エルアラビが無人のゴールにボールを押し込んで勝ち越した。さらに38分にはファビアン・サントンズが25メートルにミドルシュートを放って追加点を決め、2点差とした。しかし、前半終了間際にまた守備のミスが出る。ペナルティエリア内のファウルでPKを献上、1点差に詰め寄られてハーフタイムを迎える。
後半にナントは2点を追加、コンカルノーの反撃を1点に押さえ、リーグ戦での得点力不足を感じさせないゴールラッシュで勝利したのである。(続く)
