第225回 2003-04シーズン開幕(1) 今年も初戦を飾れなかったリヨン

■シーズン前の優勝予想はマルセイユとリヨン

 8月の到来と共にファン待望の2003-04のフランスリーグが開幕した。
 シーズン直前にレキップ紙が1部リーグの監督と選手を対象に優勝予想を行っている。この予想結果のトップはマルセイユで全体の27.75%の得票を集め、僅差で続くのが2連覇中のリヨンで23.42%、この2チームで全得票の過半数を占めている。それに続く3位はパリサンジェルマンの13.61%、4位はモナコの7.05%、5位はオセールの5.43%となっている。久しぶりに連覇を果たしたリヨンと5連覇以来栄光から遠ざかっているマルセイユの2チームが圧倒的な支持を集めており、このところ混戦が続いていたフランスリーグに2強時代の到来を予感させる。

■開幕戦を苦手とする2連覇中のリヨン

 さて、20チームで争われるフランスリーグであるが、テレビ中継の関係で10試合中1試合だけが他のチームより1日早い8月1日に行われ、栄えある開幕戦を戦うことになった。この一足日早い開幕戦はリールで行われたリール-リヨン戦であり、ディフェンディングチャンピオンのリヨンの戦いぶりに注目が集まった。
 優勝予想ではマルセイユに首位を譲っているものの、シーズン開幕直前に前年のリーグチャンピオンとカップウィナーの間で行われたチャンピオンズトロフィーではオセールを2-1と下し、チームの仕上がり状況は上々である。また、フランスリーグの中で年間予算が7000万ユーロと最多であり、チームもクラブもビッグとなった。
 しかし、そのリヨンにも死角はある。実はリヨンは伝統的に第1節の試合が苦手なのである。本連載の読者の皆様ならば、昨年のリーグ開幕戦のことをよくご記憶であろう。昨シーズンもリヨンはディフェンディングチャンピオンとして他のチームより一足早く開幕戦を迎え、ガンガンと対戦している。本連載第98回でご紹介したとおりであるが、リヨンが2点先行しながらも終盤に追いつかれて3-3のドローとなり、勝ち星を逃している。リヨンは1989年に1部に復帰して以来、第1節の成績は7分7敗と苦手にしており、2連覇を果たしたばかりの今年こそ、苦手の第1節で勝利をおさめ、リヨン黄金時代となる3連覇を果たしたいところである。

■フラット3のリールが完封勝ち

 一方のリールは、かつてインタートトカップで中田英寿の率いるパルマを下し、大番狂わせを演じたことから日本の皆様もよくご存知であるが、今年のチームはそれとは違った意味で日本の皆様が注目しているであろう。それはフランスリーグで唯一3バックシステムを採用してチームであるという点である。代表チームをはじめ、フランスのチームは4バック、しかもその4人はフラットに並び、スイーパーを置かないフラット4というシステムを採用している。1部リーグでもリール以外の19チームはこのフラット4システムで守っている。その中で、リールだけは3バックシステムを採用しており、フィリップ・トルシエがアフリカや日本で成功をおさめたシステムがフランスに逆輸入されたと言えよう。
 2003年8月1日20時45分。夜のゴールデンタイムのニュースが終わるとともに、キックオフ。キックオフの笛を吹いたのは昨年のワールドカップで日本の皆さんもおなじみのジル・ベエイシエール氏である。1万6000人の観衆を集めた試合は、両チームの緊張が取れないままに進む。そして今シーズン初ゴールを記録したのはホームチームのリールのジャン・マクーンであった、12分にブノワ・シェルーからのパスをゴールに叩き込み、これがこの試合唯一のゴールとなり、リールは幸先良い初勝利を上げる。昨シーズンのリールは開幕戦をホームで戦い、ボルドーの前に0-3と沈黙、その後も第5節まで勝ち星を挙げることができず、スタートでの失敗が最後まで尾をひく形となったが、今年は優勝すれば実に50年ぶり3度目となる。先述の優勝予想アンケートでは13位にとどまっているが、フラット3が機能し、リヨンの誇る攻撃陣を沈黙させた守備陣は要注目である。

■豪華な控えメンバーの投入も及ばず、勝ち星を逃したリヨン

 一方のディフェンディングチャンピオンのリヨンは今年も初戦を飾ることができなかった。シドニー・ゴブーを負傷で欠く布陣とは言えエリック・カリエール、ビカッシュ・ドラッソーという元フランス代表選手が控えに回る豪華な陣容。後半にはカリエール、ドラッソーを投入するが今年も初戦の壁は厚く、20年以上勝ち星から見放されている。
 過去10年間で前年度優勝チームが第1節で勝利をあげたのはわずか3回であるが、リールでの敗戦は3連覇を目指すリヨンにとって大きな精神的負担となり、翌日に行われたマルセイユなどライバルの試合の結果が早くも気になったのである。(続く)

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