第361回 2004-05フランスリーグ開幕

■インタートトカップ敗退を糧に王者リヨンに挑戦するニース

 8月になって最初の週末、いよいよフランスリーグが開幕した。通常のリーグ戦は土曜日に行われ、第1節の試合は基本的には7日の土曜日に行われるが、1試合だけ特別に金曜日に試合が組まれた。
 今シーズンのリーグ初戦となったのは古豪ニースが3連覇中のリヨンを迎える一戦である。ニースは本連載第357回で紹介したとおり、昨年の成績はリーグ11位であったが、出場辞退続出によりインタートトカップに参戦している。7月上旬の初戦で早々に姿を消してしまったが、他のチームではようやくメンバーが集合し始める頃に国外の相手と公式試合を戦ったと言うことは貴重な経験である。その経験を生かして王者リヨンを迎える初戦で勝利を狙いたい。

■戦力ダウンのリヨン、23年ぶりに苦手の第1節で勝利

 一方のリヨンはフランスリーグについては本連載で今まで何度も取り上げているとおり3連覇、そしてシーズン開幕直前のチャンピオンズトロフィーも前回の本連載で取り上げたとおり3年連続出場し、3年連続で栄冠を獲得している。ホームゲームとはいえ、ニースに勝機はないように思われるかもしれない。しかし、今季のリヨンは明らかに戦力ダウンをしている。3月にフランス代表入りしたペギー・リュインデュラ、国際試合男エリック・カリエール、アトランタオリンピックのヒーローであるビカッシュ・ドラッソー、ベルギー代表のエリック・デフランドル、ブラジル代表のエジミウソンと大量にレギュラー級の選手が流出してしまった。その反面、新加入のレギュラー級はFWのピエール・アラン・フローとストッパーのエリック・アビダルくらいであり、戦力ダウンは否めない。
 さらにリヨンには天敵がある。実はリヨンは初優勝を遂げて以来、3年連続で他のチームに先駆けてシーズンの初戦を戦うことになる。本連載でも紹介しているが、2002年はガンガンと点の取り合いとなって3-3の引き分け、2003年はリールに0-1と敗れ、リーグチャンピオンらしからぬ初戦でシーズンをスタートしている。実はリヨンはリーグ初戦が大の苦手であり、1981年にナンシーに2-0で勝って以来、第1節で勝ったことがないという記録を更新中である。2部に降格していた期間を除くとこの間の第1節の試合は8分7敗という成績である。リーグ3連覇、開幕直前のチャンピオンズトロフィー3連覇と言う栄光も第1節の魔力の前では勝てないのではないかと期待して、ニースの本拠地には多くのファンが集まった。初戦からイエローカードの飛び交う厳しい試合となったが、唯一のゴールを決めたのはリヨンのブラジル人選手、エウベルであった。77分のエウベルのゴールによって実にリヨンは23年ぶりの第1節での勝利を収めたのである。

■1部復帰の人気のサンテエチエンヌを下した昨年の主役モナコ

 7日の土曜日にはそれ以外の9試合が行われた。Canal+で中継が行われるため、1試合だけ夕方の試合となるが、ここは1部復帰した人気チームのサンテエチエンヌが登場する。急勾配のジョフロワ・ギシャールに前年リーグを終盤まで独走し、欧州の舞台でもチャンピオンズリーグの決勝に残った昨年の主役モナコを迎える。サンテエチエンヌもチャンピオンズリーグの前身のチャンピオンズカップで準優勝したことがあり、新旧の欧州準王者が対決したが、アウエーのモナコは開始早々の2分にウルグアイ代表の新加入のエルネスト・ハビエル・チェバントンがあげたゴールを守りきり、1-0で勝利を収め、サンテエチエンヌは復帰初戦を飾ることができなかった。チェバントンは昨年の訪日時には多くのファンに囲まれ、フランスリーグに久しぶりに日本でも有名なスター選手が加わった。その日本での人気にふさわしい活躍を早速示したのである。

■かつての宿敵に移籍したビシャンテ・リザラズの出場はお預け

 また第1節の最大の注目カードはマルセイユ-ボルドー戦であろう。10数年前のマルセイユ全盛期の黄金カードであるが、現在でもリーグ上位の力を両チームは備えている。そしてかつてボルドーに所属し、フランス代表として大活躍したビシャンテ・リザラズがバイエルン・ミュンヘンからマルセイユへ移籍してきた。リザラズにとって9年ぶりのフランスリーグ復帰である。そして復帰先はかつての宿敵、しかも復帰初戦での相手は古巣である。リザラズの出場に期待が寄せられたが、結局リザラズは出場せず、フランスリーグ復帰はお預けとなった。試合はマルセイユが終了間際に決勝点を入れて1-0と勝つ。
 第1節終了時ではオセールを2-0で下したリールが首位になっているが、長丁場のシーズン、今年も多くのドラマが待っているに違いない。(この項、終わり)

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