第448回 リヨン、3試合残してリーグ4連覇を達成

■首位を独走したリヨン

 昨年までリーグ3連覇を果たしている王者リヨン。今シーズンもリーグ戦では安定した成績を残し、開幕以降無敗を保ち、前半戦の成績は10勝9分である。第10節でカーンに4-0と大勝して首位に躍り出てから首位をキープしてきた。リーグ戦での初黒星は1月23日にアウエーで戦った第22節のリール戦、唯一のホームゲームでの敗戦は4月17日のパリサンジェルマン戦であり、4月末に行われた第34節を終了した時点で、19勝12分3敗の勝ち点69という成績である。2位リールの勝ち点は58(15勝13分6敗)、3位モナコの勝ち点は57(14勝15分5敗)であり、第35節の結果によっては3節を残して優勝を決めることも可能である。
 第35節は5月6日の金曜日から8日の日曜日まで3日間にわたって行われた。この段階でリヨン以外に数字の上で優勝の可能性を残すのは2位のリールと3位のモナコだけである。7日の土曜日にリールはパリサンジェルマンを迎え、モナコはレンヌに遠征する。この土曜日の試合でリール、モナコとも引き分け以下に終われば、土曜日の夜の段階でリヨンがリーグチャンピオンとなる。また、土曜日にリール、モナコが意地を見せたとしても、日曜日の21時から本拠地ジェルラン競技場にアジャクシオを迎える試合で勝利をあげれば、4連覇を達成する。

■リールは辛勝で望みをつなぐが、モナコはドローで脱落

 土曜日のリール、モナコの試合は20時にキックオフされた。両チームともリヨンの優勝を阻止することもあるが来季のチャンピオンズリーグの出場権を目指し、2位に入りたいところである。一方、対戦相手のレンヌは勝ち点51で5位、パリサンジェルマンは勝ち点47で7位と上位に位置しており、チャンピオンズリーグあるいはUEFAカップと言う欧州へのチャレンジ権もまだ残っており、意欲満々である。そのような上位勢の対戦とあって、リール、モナコとも緊迫した試合が続き、無得点が続いた。時計の針はすでに21時半を過ぎても、リールでもレンヌでもゴールネットを揺らすシーンは見られなかった。このまま引き分ければ、リヨンの優勝が決まると言う試合終了5分前、意地を見せたのはホームで戦っているリールであった。85分にリールの17歳のベルギー人ケビン・ミララスが地元ファンの期待に応える決勝点で首の皮一枚残り、スコアレスドローのモナコは優勝が消えたのである。

■地元の重圧の中での勝利、4連覇達成

 そして翌日、ジェルラン競技場はファンで満員になった。前日に他力優勝を決めた方が精神的に楽という選手もいたが、ファンは地元で目の前で勝利で優勝することを期待するものである。3連覇を振り返ると、2002年は最終節にジェルランでのランスとの直接対決での勝利で優勝を決め、2003年と2004年はいずれも最終節を迎える段階でリヨンは首位に立ち、2位のチームと勝ち点3差であったが、得失点差の差が二桁と言う状況であり、ほぼ優勝を手中にしていた。最終節の地元の試合で2003年は負け、2004年は勝っている。今年は最終節ではないが、勝てば優勝と言う状況を迎えることのできる選手、ファンは幸せである。
 そして試合は昨年の最終節勝利の立役者シドニー・ゴブーが先制点を決め、前半を折り返す。後半に入り、52分にアジャクシオが追いつくが、64分にCKからのチャンスを主将のクラウディオ・カサパがヘディングで決勝点を決める。試合はそのまま2-1でリヨンが勝利し、4連覇を達成するとともに、その4連覇の達成がいずれも本拠地であったことはリヨンという都市の歴史に残るであろう。そして4連覇は過去にサンテエチエンヌ(1967-70)、マルセイユ(1989-92)しか達成していない偉業である。

■久しぶりとなる3試合を残しての優勝

 さらに、これまでの優勝はいずれも最終節であったが、今季は3試合残して優勝したことは評価できる。このところフランスリーグの優勝は最終節あるいはその前節に決まっていたが、これまでのフランスリーグの歴史の中で3試合以上残して優勝を決めたのはわずかに5回、4試合残して優勝が1968年、1970年のサンテエチエンヌと1977年のナント、そして3試合残しての優勝が1960年のランス(Reims)と1966年のナント、いずれも当時の強さがいまだに語られるチームばかりである。リヨンは初優勝が2002年であるが、それ以来4連覇を達成し、フランスのサッカー史上に残るチームとなったのである。(この項、終わり)

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