第511回 リヨンが独走するリーグ戦(3) 大混戦の2位争い

■2位、3位のチームに与えられる欧州頂点への道

 前々回、前回の連載ではリヨンの圧倒的な強さを紹介してきた。前半戦が終わった段階で2位チームとの勝ち点差が12、すなわちリヨンが4連敗し、2位チームが4連勝してようやく勝ち点で並ぶと言う数字である。この段階でリヨンの優勝を確信しているのはリヨンの関係者だけではなく、他チームの関係者も同様に考えているであろう。
 リーグ優勝を逃しても、2位に入ればチャンピオンズリーグへの出場権が与えられ、3位にとどまっても予備戦から欧州の頂点を狙うことが可能である。今回はリヨンを追う各チームを紹介したい。

■7チームが勝ち点3差の中にひしめく大混戦

 実は前半戦を終了した時点で2位争いは熾烈な争いとなっている。首位リヨンの勝ち点は44、それに続くチームの勝ち点は32であり、勝ち点32にランス、ボルドー、オセールが並び、続く勝ち点31にはモナコ、パリサンジェルマン、マルセイユが並んでいる。さらに勝ち点30にはリールが控えている。つまり、1勝分にあたる勝ち点3差の中に2位から8位までの7チームがひしめきあっているのである。

■得失点差で優位に立つランスとリールの北部勢

 混戦気味の2位以下のチームの中で得失点差に秀でているのがランスとリールである。前半戦を終了して13勝5分1敗、勝ち点44というリヨンの得失点差は+17であるが、2位ランスは勝ち点こそ12もリヨンに離されているが得失点差は+13である。またリヨンとランス以外で唯一の二桁の+11という得失点差を誇るのが8位のリールである。ランスもリールはベルギー国境の近くのノール・パ・ド・カレー地方のチームである。リヨンとサンテエチエンヌを抱えるローヌ・アルプ地方も鉱工業に従事する労働者がサッカーを支えてきたが、ノール・パ・ド・カレー地方の場合も炭鉱労働者がこの地域のサッカーを支え、サッカーの盛んな地域である。同じサッカーどころであるリヨンに対する北部勢の意地、さらにはキタのダービーといわれるリールとランスのライバル心には注目したい。

■監督を交代させたパリサンジェルマン

 前々回の本連載で紹介したとおり、リヨンは第5節が終了した次点で首位に躍り出たが、それ以来2位のチームはしばしば入れ替わり、2位になったことがあるのはパリサンジェルマン、オセール、ボルドー、ランス、ルマンの5チームである。この中でもっとも長く2位の座を占めたことがあるのはパリサンジェルマンであり、合計して7節で2位につけていた。第15節のホームゲームでランスに3-4と敗れ、2位の座から転落し、前半戦を折り返した時点では6位になっているが、2位争いの有力候補であるとみたい。その理由は監督の交代にある。シーズン開始時の監督はOB選手でもあるローラン・フルニエが勤めていたが、前半戦を終了した段階でパリサンジェルマンは順位を落としてきており、新監督を探していた。元モナコのディディエ・デシャン、元リヨンのポール・ルグアンなども候補に上ったが、結局は昨季までソショーの監督としてUEFAカップにソショーを導いたギ・ラコンブを新監督にすると暮れに発表、1月から新監督が指揮をとっている。ラコンブ監督の初戦の相手は奇しくも古巣のソショーとなったが、3-1と幸先のよいスタートを切っている。前半戦終了時で6位とはいえ、2位との勝ち点はわずかに1、このポジションで新監督を模索するところが、パリサンジェルマンの執念を感じるところである。昨季、フランスでは大量の監督が解任されたが、今季は逆に前半戦を終了した時点でデシャンがモナコの監督を辞した以外で解任となったのはこのフルニエだけであり、他のチームが動かない中で、あえて動いたありサンジェルマンに期待したい。
 また、パリサンジェルマンの名が出てきた段階でこのところ低迷を続けてきたマルセイユの存在も要注意であろう。前半戦をパリサンジェルマンと同じ勝ち点31で折り返した。パリサンジェルマンの成績を上回ることは欧州の舞台へ大きく踏み出すことを意味している。その他、欧州カップの常連であるオセール、ボルドー、モナコの存在も忘れてはならないだろう。(この項、終わり)

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