第543回 リヨン、リーグ5連覇に王手(1) 偉業達成前にまたも準々決勝で敗退

■フランスリーグはリヨンが独走、追うボルドー

 欧州の頂点への挑戦は3年連続での準々決勝敗退と言う結果に終わったリヨンであるが、国内での戦いぶりに目を転じてみたい。前回の本連載で紹介したとおり、リヨンはミラノで敗れる直前にリーグ戦第33節をトロワとアウエーで戦い、1-0と勝ち、来季のチャンピオンズリーグの出場権を確保した。そして、ミラノでの敗戦のショックのさめやらぬ4月8日に、リヨンはニースを迎えた。
 フランスリーグは20チームで構成されるため、各チーム38試合行って優勝を争う第34節を迎える段階での上位の順位を確認すると、1位リヨン(21勝9分2敗、勝ち点72、得失点差+34)、2位ボルドー(16勝12分4敗、勝ち点60、得失点差+15)、3位リール(14勝12分7敗、勝ち点54、得失点差+22)、4位レンヌ(17勝2分14敗、勝ち点53、得失点差-1)、5位ランス(12勝16分5敗、勝ち点52、得失点差+12)、6位オセール(15勝7分11敗、勝ち点52、得失点差+7)、7位マルセイユ(14勝10分9敗、勝ち点52、得失点差+3)、となっている。1位のリヨンと2位のボルドーは32試合しか行っていないが、これは天候により延期となった試合があるためで、リヨンは第24節のモナコでの試合が、降雪で延期となっている。試合数が少ないにもかかわらずリヨンとボルドーが上位を占めていることは両チームの力が抜きん出ていることを物語っている。

■残り5試合で優勝に王手をかけたリヨン

 リヨンはトロワで試合を支配されながらも、数少ないチャンスを逃さず1-0という最少得点で勝利し、勝ち点を75に伸ばす。優勝にかすかな望みをつなぐ2位のボルドーはパリサンジェルマンとアウエーで対戦する。人気チームのパリサンジェルマンは今季は中位に低迷し、身売りもしばしば話題になる始末。しかしながら、このボルドー戦では奮起し、3-1と勝つ。この結果、1位リヨンと2位ボルドーの勝ち点の差は15となり、両チーム残り5試合ということから、次節にも優勝が決まることになった。第35節は15日のリール-ボルドー戦でリールが引き分け以上ならば5連覇達成となるが、ボルドーが勝てば16日のパリサンジェルマン-リヨン戦でリヨンが引き分け以上ならば自力で偉業達成となる。

■3週連続で平日に試合があるリヨン

 優勝に王手をかけたリヨンは、次の週末のリーグ戦までの平日にもう1試合戦わなくてはならない。前週はチャンピオンズリーグのACミラン戦を戦ったが、この週はフランスカップの準々決勝を戦うことになっている。リヨンは3週連続で平日に準々決勝を行うことになったのである。フランスカップ準々決勝の相手はマルセイユ、ホームのジェルラン競技場にマルセイユを迎えた。リヨンに残されたタイトルは国内のタイトルのみ、リーグカップは敗退してしまっており、国内リーグはほぼ手中、唯一モチベーションをもって戦うタイトルがこのフランスカップである。

■新旧4連覇チームの戦いはマルセイユに軍配

 新旧の4連覇チームがフランスカップで対戦することになったが、マルセイユも4連覇中にはフランスカップには縁が薄く、リーグ制覇初年の1989年に勝者となっただけである。1991年は決勝のロスタイムにモナコのジェラルド・パッシに決勝点を許し、続く1992年は決勝に進出したものの、準決勝のバスティア戦で仮設スタンドが倒壊し、決勝が中止されている。フランスカップとフランスリーグの二冠は1989年のマルセイユ以降は1996年のオセールが記録しただけであり、国内最強チームのリヨンはそろそろ二冠が欲しいところである。一方のマルセイユも久々のタイトル獲得と来季のUEFAカップ出場を狙っている。この試合、先手を取ったのはマルセイユ、17分にリヨン守備陣の乱れを突いてトワフィル・マウリダが先制、リヨンも22分にジュニーニョのCKをフレッドが決め、ブラジルコンビが試合を振り出しに戻す。ところが後半に入って65分にマルセイユは見事なワンツーからママドゥ・ニアンが勝ち越し点をあげて、準決勝進出を決める。
 リーグ5連覇目前のリヨンはわずか1週間の間に2つのトーナメントから姿を消したのである。(続く)

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