第594回 2006-07フランスリーグ開幕(2) リヨン、大量の欠場者にもかかわらず開幕戦勝利

■リーグ開幕後も話題となるフランク・リベリーの移籍

 前回の本連載ではフランスリーグ開幕を前に戦力補強を注目を集めるリヨンとマルセイユを紹介した。フランスリーグは8月最初の週末に開幕したが、実力ナンバーワンのリヨンと人気ナンバーワンのマルセイユは特別な扱いを受けて開幕戦に臨んだ。
 今回のワールドカップに出場したフランス人選手あるいはフランスリーグに所属する選手の中でもっとも大会を通じて株を上げたのがマルセイユの若手FWのフランク・リベリーであることは万人が認めるところである。そのリベリーはマルセイユからリヨンへと移籍を噂され、リヨンの首脳陣も獲得に触手を伸ばしている。リベリーの去就の落ち着かないままにシーズン開幕を迎えたが、フランスにおいて選手の国外移籍がシーズン開幕後も話題になることはあるが、国内のクラブ間の移籍で話題となった事例は極めて珍しい。これはリヨンが欧州レベルのクラブになったということの表れといえるであろう。

■リヨンとマルセイユが土曜日以外に試合

 フランスリーグの第1節は8月最初の週末に行われ、ほとんどの試合は8月5日の土曜日に行われたが、リヨン戦とマルセイユ戦は土曜日以外に試合が行われた。金曜日の8月4日にナント-リヨン戦がナントのボージョワール競技場で行われ、日曜日の8月6日にスダン-マルセイユ戦が行われた。これらが通常の土曜日ではない他の曜日に試合が行われる理由はテレビ中継があるからである。つまりテレビ中継があるような人気チームは土曜日以外に試合が行われる。土曜日以外に試合が行われることは人気チームの証である。かつては首都のパリサンジェルマン、サッカーの都のマルセイユ、観客動員が見込めないモナコが土曜日以外に試合が行われるチームの常連であったが、近年はここにリヨンが加わった。

■ワールドカップ組の大半がバカンス中のリヨン

 フランスを代表するビッグクラブとなったリヨンはシーズン開幕戦の栄誉を担う。昨年はパリサンジェルマンがこの金曜日に戦ったが今年はその座を奪回した。リヨンは前回の本連載で紹介したとおり、今回のワールドカップに出場した選手が移籍してきた選手も含めて11人いる。しかしながら、その多くはワールドカップ後の休息期間になっており、グレゴリー・クーペ、シルバン・ビルトール、エリック・アビダル、フローラン・マルーダ、シドニー・ゴブー、ティアゴ、ジュニーニョなどワールドカップ組の大半がバカンス中という中でリヨンはナントに乗り込んだ。

■先制点を許すが、すかさず同点、後半に突き放す

 本家カナリア軍団ナントであるが、近年のリーグ戦での成績は振るわない。今季も大型補強をして、先発のほぼ半分が移籍組の選手である。そして記念すべき今季最初のゴールはこのナントに移籍してきた選手が決めた。開始早々の4分、アヤックス・アムステルダムから移籍してきたモロッコ代表のヌルダン・ブカリがFKのチャンスを得て、ゴールを直接狙う。イヨンのゴールを守るのはクーペの控え選手のレミー・ベルクートル、昨季はリーグ戦にわずか2試合しか出場経験がない。その経験の少ないGKはモロッコ代表のFKをとめることができず、王者リヨンは先制点を許す。しかし、その1分後にリヨンは同点に追いつく。大量のワールドカップ組の不在の中で先発出場のチャンスを得た18歳のカリム・ベンゼマが同点ゴール、リヨンの層の厚さを再認識する。
 前半は対スコアで折り返し、勝ち越し点はモナコからリヨンに新加入したセバスチャン・スキラッチである。63分に勝ち越しゴールを決めると、終了間際には終盤に交代出場してきたブラジル代表のフレッドが追加点を決める。終盤の交代出場、そして試合終了間際の追加点というとワールドカップのグループリーグ第2戦の豪州戦の再現である。ワールドカップでの出場機会はわずかであったが、1得点というフレッドの集中力はリヨンに戻ってきても脅威である。
 試合はリヨンが3-1と勝利し、6連覇に向けて好スタート、そして多くのワールドカップ組を欠く中での勝利はチャンピオンズリーグと国内のリーグ戦、カップ戦と日程が重なった時にもリヨンが戦力的に十分に対応できることを示しており、国内外での活躍が楽しみである。(続く)

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