第707回 リヨン、輝くリーグ6連覇を達成

■欧州の主要リーグには例のない6連覇

 リーグ戦で圧倒的な強さを誇るリヨンが6連覇を達成した。4月21日に行われたリーグ戦第33節でリヨンを追う2位のトゥールーズがレンヌに2-3と敗れたために、この夜試合のなかったリヨンが優勝を決めた。
フランスのサッカーの歴史を振り返ると、5連覇を達成したチームはリヨンだけであったが、マルセイユも5連覇目の優勝が八百長疑惑によって取り消されている。したがって6連覇は文句なしのフランスで最多連続優勝記録となる。
 また、欧州の他国の例を見てもノルウェーリーグでローゼンボリが1992年から2004年にかけて記録した13連覇、スコットランドリーグで1967年から1975年にセルティック・グラスゴーが記録した9連覇、1990年から1997年にかけてのグラスゴー・レンジャーズの8連覇などがこれを上回る数字であるが、欧州の主要リーグ(イングランド、スペイン、イタリア、ドイツ、フランス)では6連覇を果たしたチームはこれまでにない。スペインでは1961年から1965年、1986年から1990年にかけてのレアル・マドリッドの2回の5連覇、イタリアでは1931年から1935年のユベントス、1943年から1949年のトリノ(途中2回は第二次世界大戦のため中断)の5連覇が最高であり、リヨンはこれらの名門チームの記録を抜き去ったのである。

■初優勝から6連覇、6試合残して優勝

 しかもリヨンの場合は初優勝から立て続けに6連覇しており、これまでにはないケースであろう。
 さらに、昨季も独走して優勝し、第34節で優勝を決めているが、今年はそれをさらに上回る第33節での優勝となっている。実際には第33節でリヨンが試合を行う前に優勝しており、6試合を残しての優勝となる。初優勝から6連覇、そして6試合を残して優勝と、近代の欧州サッカーにおいて、これらの数字は驚異的としか言いようがない。

■年明け後に失速、他のタイトルも軒並み逃す

 しかし、このリヨンの優勝が順風満帆だったわけではない。本連載第657回でも紹介している通り、リーグ前半戦を16勝2分1敗という成績で乗り切り、勝ち点50と言う驚異的な成績で折り返した。この時、2位のランスは10勝5分4敗で勝ち点35と勝ち点で15も差があった。ところが、年が明けてからリヨンは急に失速してしまったリーグ戦が再開した第20節でトゥールーズに敗れると。次のボルドー戦でも敗れ、ニースと引き分け、1月はリーグ戦で勝ち星を記録することなく、2月最初の試合もトロワに負け、再開後1分3敗と言う成績で、2月4日の第23節終了時点で2位との勝ち点の差は11に縮まってしまった。
 さらにフランスカップは本連載第683回で紹介したようにベスト8決定戦でマルセイユに敗れ、チャンピオンズリーグでは第690回と第691回の本連載で紹介しており通り準々決勝でイタリアのASローマに敗れている。そして本連載ではまだ紹介していないが、3月31日の決勝に進出したリーグカップでもボルドーに敗れている。1966年のセルティック・グラスゴー以来欧州で40年ぶりの四冠を目指したリヨンであるが、1月にフランスカップを落とし、3月初めにチャンピオンズリーグから脱落、そして3月末にリーグカップも逃し、国内リーグが唯一獲得可能なタイトルになってしまった。

■追うランスも息切れ、トゥールーズも及ばず

 リヨンにとって幸運だったのは折り返し時点で2位だったランスもまたリヨン同様失速したことである。ランスも1月は勝利することなく、2分1敗で終える。一時は盛り返したものの、3月中旬から4月初めにかけて3連敗を喫し、昨年12月以来保ってきた2位の座を一旦明け渡している。
 ランスに代わってリヨンを猛追してきたのが、後半の開幕戦でリヨンに2-0と勝利したトゥールーズである。後半戦の第32節までの成績は8勝3分2敗(勝ち点27)であり、20チーム中トップである。ちなみにリヨンは5勝5分3敗(勝ち点20)であるが、前半戦終了時でトゥールーズの勝ち点はリヨンの半分の25であり、この貯金が物を言った形である。
 昨季に続き、2位チームが土曜日の試合で敗れたために日曜日に試合のあるリヨンに優勝が転がり込んできた。リヨンは結果に甘んじることなく、この後の試合も王者らしい戦いを見せて欲しいものである。6連覇を果たしたばかりのリヨンがまず戦うのがオセールである。リヨンの5連覇中の期間の成績が最も良いチームがオセールなのである。(この項、終わり)

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