第721回 2006-07フランスリーグ・フィナーレ(4) 3度目の1部時代は1年で終わったスダン

■アマチュアチームの歴史が長かったスダン

 前回と前々回の本連載ではナントの2部陥落について紹介したが、今回からはナントとともに2部に陥落したチームについて紹介しよう。ナントは4月1日の第30節でスダンに敗れて最下位に陥落したが、それまで最下位だったのがスダンである。スダンは1919年創立と長い歴史を誇るが、そのほとんどはアマチュアチームとしての活動である。しかし1950年代の半ばから1970年代の半ばまでほぼ20年間プロチームとして活躍し、1部リーグに在位していた。1974年に2部に転落し、1976年にはプロのステータスを放棄し、アマチュアチームとなるがその後は長い低迷のトンネルに入り込んでしまう。ようやくプロとして再起動したのが1985年のことであるが、その成績は芳しいものではなく、1996年には再びアマチュアチームに戻ってしまう。

■目覚しい活躍をした2度目の1部時代

 そして2部に昇格した1998年にはプロチームになり、1年で1部に昇格、1999-2000シーズンからはトップのリーグで戦うことになった。また、1部昇格を決定したのとほぼ同じ時期にフランスカップでも決勝に進出している。フランスカップではこれ以外に2005年に決勝進出、2002年には準決勝進出を果たしている。2度目の1部には4シーズン在籍し、初年度は7位、2年目はシーズン半ばで首位に立つなど目覚しい活躍をして5位、しかし3シーズン目は14位、4シーズン目に当たる2002-03シーズンは19位で2部に転落してしまう。2部では5位、6位、そして2位となり、今季は3度目の1部復帰となったのである。

■前半戦を最下位で折り返し、常に降格圏内

 4年ぶりの1部での開幕戦ではマルセイユとドロー、まずますのスタートとなったが、その後はナント同様に初勝利は遠く9月30日の第8節のレンヌ戦に1-0で勝利したのが今季初勝利となった。その後もまた連敗街道が続き、11月には最下位に転落、結局前半戦の最終戦まで勝つことができず、前半戦終了時で2勝7分10敗、勝ち点13で新年を迎えることになったのである。
 後半戦になっても状況は変わらず、スダンは低迷し、ナントがそれ以上に成績を落とし、4月1日の直接対決で勝利して最下位から脱出したが、降格圏内に常に低迷した。そして勝ち点34で19位のまま5月9日の第36節を迎えた。この段階で16位のバランシエンヌが勝ち点39、17位ニースの勝ち点は38、18位トロワの勝ち点は35である。残り3試合であるからバランシエンヌ、ニースが勝利し、スダンが敗れるとスダンの18位以下が決定してしまう。

■リールに敗れ、ライバルが勝利したため2部降格が決定

 スダンはアウエーでのリール戦である。一方、バランシエンヌはサンテエチエンヌ、ニースはパリサンジェルマンが相手のホームゲームであり、これら3試合は同時刻にキックオフされた。まずこの3試合のうちで一番初めに試合が動いたのがニースの試合であり、開始1分でニースが早くも先制する。
 そして次にゴールネットを揺らしたのが降格の危機に瀕するスダンであった。スダンの相手のリールはリーグ終盤に順位を落としたが、UEFAカップ目指す勝利への意欲は変わらない。スダンのプジョルが13分に先制点をあげて、これでスダンは一安心かと思われた。しかし、29分にPKを与え、追いつかれ、前半終了間際には勝ち越し点を許してしまう。
 前半を終了した時点でニースはリード、バランシエンヌはタイ、スダンはリードされると言う展開であった。このままのスコアであれば、スダンは生き延びることができたが、後半に入って53分、バランシエンヌがゴールを奪った。当然スダンのイレブンもこの状況を知り、ゴールを目指したが、結局追いつくことができず、敗れてしまう。16位のバランシエンヌ、17位のニースはそれぞれ最少得点を守りきり、勝ち点3を上乗せした。19位スダンと17位ニースの勝ち点差は7となり、残り2試合では追いつくことができなくなった。スダンはわずか1シーズンで3度目の1部生活を終えたのである。(続く)

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