第749回 2006-07フランスリーグ開幕(2) 開幕戦でマルセイユはドロー、リヨンは勝利

■シーズン前の練習試合で6勝1分のマルセイユ

 今季もフランスリーグ背優勝候補の最右翼であるリヨン、そしてそれを阻止する可能性のあるマルセイユ、この2チームが開幕の段階から注目を集めた。
 1部リーグ10試合は8月4日から始まったが、通常の試合が20時キックオフであるのに対し、ストラスブール-マルセイユ戦は17時10分に行われ、関心の高さをうかがわせた。
 このカードが注目を集めたのはもちろんマルセイユが、戦力を補強し、リヨンの独走を止める可能性のある一番手と目されているからである。マルセイユの戦力補強については前回の本連載で紹介したが、その効果があり、シーズン開幕前の練習試合では6勝1分と安定した成績を残している。勝利した中にはベルギーの強豪アンデルレヒト戦やギリシャのアリス・サロニカ戦も含まれ、唯一勝利を逃したのがモンペリエ戦である。練習試合での好調さからも評価が高い。

■ユニフォームを新調したマルセイユ

 また、マルセイユについて特筆すべきは今季からユニフォームを新調したことである。マルセイユのチームカラーはマルセイユの町のカラーである水色、ホームで使用するユニフォームは白が基調で水色が所々に入っており、これまでとは大差はない。一方、これまでセカンドユニフォームは水色が中心であったが、今年は水色と白の縦じまとなり、アルゼンチン代表と同じデザインになり、注目を集めた。 マルセイユの開幕戦はストラスブールでのアウエーゲームである。本来ならばアルゼンチン代表と同じデザインのセカンドユニフォームの出番であるが、相手のストラスブールのチームカラーはマルセイユと同じ青と白、したがって、マルセイユはファーストユニフォームもセカンドユニフォームも着ることができず、オレンジ色のサードユニフォームでストラスブールに乗り込んだ。

■2部から復帰したストラスブールとドロー

 一方のストラスブールは今季2部から昇格して来たチームであるが、この2部優勝の原動力となったのが監督のジャン・ピエール・パパンである。かつてマルセイユのストライカーとして活躍したパパンは現役引退後まず5部リーグに相当するチームの監督を歴任し、4部に昇格させた手腕を見込まれて、2006年に2部のストラスブールの監督に就任する。就任初年で3位に入り、わずか1年で1部昇格を果たした。昇格した1部リーグでの試合の最初の相手が古巣マルセイユと言うことで期待が高まったが、パパンは自分の使命はストラスブールを1部に昇格させることと言うことでチームを去ってしまったのである。
 そしてストラスブールは昨年チーム創設100周年を迎えている。このチーム創設100周年を記念して昨年10月にマルセイユを迎えて試合を行い、マルセイユに勝利を譲っている。
 このような背景もあり、注目を集めた試合であったが、両チームとも攻め手を欠き、ノーゴールで90分が終わってしまった。マルセイユは負傷者を抱えており、ベストメンバーではなかったが、ストラスブール相手にノーゴールで勝ち点1は不本意な結果であろう。

■負傷者を抱えながらも選手起用があたり開幕戦勝利のリヨン

 一方、その翌日、1部20チームのしんがりとして日曜日の21時に地元ジェルラン競技場に登場したのが王者リヨンである。リヨンは前回までの本連載で紹介したとおり、移籍による戦力ダウンに加え、負傷から復帰していない選手も多数存在する。負傷して開幕戦に間に合わなかった選手はGKのグレゴリー・クーペ、DFではセバスチャン・スキラッチ、FWのフレッドと多数の選手がグラウンドを離れている。
 リヨンの対戦相手はオセールである。近年精彩を欠くものの、決して侮ることのできないチームである。リヨンのペラン監督にとってこれがリヨンでの公式戦初采配となる。ベストメンバーからは程遠い陣容でピッチにイレブンを送り出したが、GKは控えのレミ・ベルクートル、ストッパーはクリスとパトリック・ミューラーと不安の残る陣容、さらに注目の攻撃陣であるが、カリム・ベンゼマとミラン・バロシュが2トップを組み、両サイドにはシドニー・ゴブーとカデル・ケイタが控える。この試合、大活躍したのが守備的MFに起用したジェレミー・トゥーラランであった。当ぅーらランが攻撃の起点となり、33分にはバロシュが先制点を決める。さらに後半にはベンゼマが追加点と、起用した2トップがそれぞれ得点をあげて、リヨンは2-0と勝利し、開幕戦ではマルセイユと明暗が分かれたのである。(この項、終わり)

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