第905回 フランスのクラシコ、マルセイユ-パリサンジェルマン戦(1) 首位リヨンにマルセイユ肉薄

■チャンピオンズリーグの影響で今季初黒星を喫したレンヌ戦

 10月11日のルーマニア戦を最後に代表チームは年内のワールドカップ予選を終え、年内の公式戦はクラブレベルだけになった。国内リーグと並行して行われる欧州カップの本戦にはチャンピオンズリーグにリヨン、ボルドー、マルセイユが進出し、UEFAカップにはパリサンジェルマン、サンテエチエンヌ、ナンシーが進出し、グループリーグを戦っている。
 国内リーグでは8連覇を狙うリヨンが第5節に首位に立つ。開幕から第7節まで負け知らずの6勝1分、今年も独走かと思われたが、9月中旬から始まった欧州カップがリヨンの快走に影響を与えた。9月17日のホームのフィオレンチーナ(イタリア)戦、9月30日のアウエーでのバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)戦と引き分けが続き、この結果が精神的にも肉体的にもリヨンのイレブンにダメージを与え、10月5日のリーグ第8節のレンヌ戦は思わぬ結果となった。レンヌはUEFAカップに参戦し、1回戦でオランダのトウェンテと対戦し、ホームの第1戦は2-1と勝利したものの、10月2日のアウエーでの第2戦は0-1と敗れ、アウエーゴールルールによって敗退している。レンヌはフランスから欧州カップに出場したチームで唯一この段階で敗退したのである。レンヌがこの悔しさを晴らすために、ホームにリヨンを迎えることは、もし勝つことができれば最高の舞台設定であろう。そして満員のロリアン通り競技場で、UEFAカップ敗退の悔しさを取り戻すべく、レンヌはリヨンに立ち向かい、今季リーグ戦では無得点だった35歳のベテランのミカエル・パジスが大活躍し、ハットトリックを決めてリヨンを3-0と下す。

■首位奪回のチャンスを迎えたマルセイユ

 この敗戦が尾を引き、続くホームでのリール戦も引き分けてしまい、第9節を終えた段階で、6勝2分1敗で勝ち点20、首位はキープしたものの、2位マルセイユが5勝4分の勝ち点19であり、その勝ち点差わずか1、マルセイユにとっては久々の首位奪回のチャンスとなった。
 さて、第10節は10月25日と26日に行われた。リヨンはアウエーでオセールと25日に戦い、マルセイユはその翌日にパリサンジェルマンをホームに迎える。リヨンもマルセイユも直前にチャンピオンズリーグのグループリーグ第3節を戦ったばかりである。リヨンはアウエーでステアウア・ブカレスト(ルーマニア)を5-3と下し、今季のチャンピオンズリーグで初勝利を上げ、今季は欧州カップ出場を逃したオセールと戦う。そしてマルセイユとパリサンジェルマンは直前の欧州カップでは振るわず、マルセイユはチャンピオンズリーグのグループリーグでPSVアイントホーヘン(オランダ)に敗れて3連敗、そしてパリサンジェルマンはUEFAカップのグループリーグでシャルケ04(ドイツ)に敗れている。

■オセールで相性のいいリヨン

 欧州の舞台で初勝利を上げて意気上がるリヨンはオセールの本拠地アベ・デシャン競技場に乗り込む。リヨンがこの競技場に来るのは今年の5月17日以来のことである。前回オセールで試合を行ったのは昨季のリーグ最終節、2位ボルドーとの勝ち点差2で優勝をかけてオセールと対戦した。この模様は本連載第847回で紹介しているが、重圧のかかる中でカリム・ベンゼマが開始24秒に先制点を奪い、3-1でリヨンは勝利し、7連覇を達成している。またこの試合を含めてリヨンはこれまで過去8年間はオセールで7勝1分と抜群の相性のいい遠征先となっている。

■オセールとドローのリヨンは2年ぶりに3試合連続で勝ちなし

 したがって、今回もリヨン優勢の前評判であり、キックオフ直後からリヨンが試合を支配する。ボール支配率、シュート数ともリヨンがオセールを圧倒する。しかし、一方的な試合内容であったが、リヨンの誇る攻撃陣はオセールのゴールネットを揺らすことができず、ノーゴールに終わる。一方のオセールもゴールを上げることができず、スコアレスドローとなる。リヨンはこれで第8節から3試合連続で勝ちを逃す。リヨンがリーグ戦で3試合連続で勝つことができなかったのは、2006-07シーズンの折り返しの第19節から第21節、そしてその前は2002-03シーズンの第7節から第9節と、7連覇中には2回しかないのである。
 リヨンは勝ち点を1しか上積みすることができず、翌日のマルセイユ-パリサンジェルマン戦の結果を待つことになったのである。(続く)

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