第1105回 マルセイユ、18年ぶりのリーグ優勝 (6) 地元で勝利して9回目の優勝を果たす

■第36節で優勝が可能なマルセイユ

 4月最後の試合となったマルセイユ-オセール戦はスコアレスドローとなり、いよいよ大詰めの5月を迎えた。5月1日はメーデーであり、フランスではこの日にすずらんを送る風習がある。今年のメーデーはフランスカップの決勝が行われ、パリサンジェルマンがモナコを下してたくさんのすずらんがパリジャン、パリジェンヌの間で受け渡された。そしてその翌日の5月2日には第35節の残りの7試合が行われた。
 第36節は週の中盤の水曜日の5月5日に行われる。この段階での順位と勝ち点を確認すると1位マルセイユ(勝ち点72)、2位オセール(67)、3位リール(64)、4位リヨン(62)であり、残り試合が1試合多いリヨンまで数字の上では優勝の望みがある。そしてこの第36節は9試合が19時キックオフで、1試合だけが21時キックオフである。その唯一日没してから行われる試合がマルセイユで行われるマルセイユ-レンヌ戦なのである。 もしもこの日、19時からの試合で2位オセールが引き分け以下の結果に終われば、21時からの試合でマルセイユが勝利すれば、マルセイユの18年ぶりのリーグチャンピオンが決まる。

■かすかな望みをつないだリヨン

 そして19時からの試合の組み合わせであるが、2位オセールは4位のリヨンとのアウエーでの対戦である。リヨンは残り全試合に勝利し、マルセイユが残り試合に全敗するとマルセイユを勝ち点で上回ることができる。もちろんマルセイユ以外のライバルチームを最終勝ち点で上回ることも必要であるが、チャンピオンズリーグで準決勝に進出したことはフランスのクラブにとって久しぶりの朗報である。残り4試合のうち3試合はホームでの戦いとなる。昨季ボルドーに奪われたリーグ覇者の座を奪回するかすかな可能性にかける。
 リヨン-オセール戦はマルセイユ追撃の一番手であるオセールが、15分に先制したが、リヨンは前半ロスタイムにPK を得て、リサンドロ・ロペスが決めて追いつく。そして後半も無得点が続き、リヨンの望みが途絶えるかに思われた85分、ボスニア・ヘルツェゴビナ代表のミラレム・ピャニッチが勝ち越し点を決め、ジェルマン競技場は奇跡に向けて歓喜の夜となったのである。

■マルセイユ、レンヌに地元で勝利し、優勝決定

 ところが、そのリヨンの喜びもわずか2時間しか続かなかった。21時にベロドロームでマルセイユ-レンヌ戦がキックオフされる。オセールが勝ちを逃したことにより、マルセイユは勝てば優勝である。ベロドロームはマルセイユの優勝を信じるファンで満員となる。マルセイユは4分、ガブリエル・ハインツがFKからのチャンスをゴールに結びつけ、幸先よい先制点を決める。ところがレンヌは38分にジミー・ブリアンのゴールで同点に追いつく。11日に発表されるフランス代表の候補であるブリアンにとってこのデモンストレーションは効果的であった。
 同点で折り返した後半、なかなか得点が生まれなかったが、勝ち越しゴールを決めたのはマルセイユの主将ママドゥ・ニアンであった。セネガル代表のニアンはワールドカップ予選で敗れ、シーズンが終われば通常よりも長いシーズンオフが待っている。その主将の意地の一撃で目が覚めたのはマルセイユの攻撃陣である。続く77分にはアルゼンチン代表のルチョ・ゴンザレスが追加点をあげる。終盤の2得点差を守り、マルセイユが3-1で勝利、2試合を残してマルセイユは優勝を決めたのである。

■パリサンジェルマンとタイトルを分け合ったマルセイユ

 マルセイユの優勝は4連覇を果たした1992年以来18年ぶりのことである。この1989年から1992年までの4連覇はすべて地元ベロドロームで勝利して優勝を決めたが、今回も地元で勝利して優勝を決めたのである。通算優勝回数も9回であり、リーグの最多優勝のサンテエチエンヌの10回優勝まであと1回である。
 これで今季のフランスの三大タイトルはリーグとリーグカップをマルセイユ、そしてフランスカップをパリサンジェルマンとライバルチームが分け合う形となった。この2チームでタイトルを分け合うのはフランスサッカーの歴史の中で初めてなのである。(この項、終わり)

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