第1396回 フランスリーグ、フィナーレ(2) 首位攻防戦はドロー、パリサンジェルマンが首位をキープ

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■シーズン序盤から首位争いをするパリサンジェルマンとモンペリエ

 今年になってからはリーグ戦、フランスカップでもともに7戦無敗というパリサンジェルマンとモンペリエ。両雄はパリサンジェルマンが勝ち点1リードしている中で2月19日の第24節で対戦する。
 この両チーム、シーズン序盤から首位争いを続け、9月下旬以降、いずれかのチームが首位で、もう一方が2位という二強状態が長く続いてきた。モンペリエは開幕直後から首位あるいは2位であったが、一瞬だけ4位に落ちたことがある。それはモンペリエにパリサンジェルマンを迎えた9月24日の第8節の直後である。それまで首位だったモンペリエはパリサンジェルマンに0-3と敗れ、4位に落ちる。敵地で勝利したパリサンジェルマンは首位に躍り出る。モンペリエは次節で2位に上昇して以来、パリサンジェルマンとの長い首位争いを続けているのである。

■豊富な予算で大型補強をしたパリサンジェルマン

 その両チームが勝ち点1差でパルク・デ・プランスで対戦する。今季のパリサンジェルマンはカタール資本の参画により、ビッグクラブとなり、大型補強によってチーム力をアップさせた。パリサンジェルマンの年間予算はモンペリエの4倍以上の1億5000万ユーロ、そして昨年夏と今年冬の移籍に関しての支出は1億ユーロを超え、150万ユーロしか支出しなかったモンペリエとは文字通り桁違いである。
 9月のアウエーでの戦いは勝利したパリサンジェルマンであるが、本拠地のパルク・デ・プランスでモンペリエ相手に苦戦している。過去10回の対戦成績は2勝4分4敗、最後の勝利は2004年2月のことであり、今から8年も前のことである。9月のモンペリエでの大戦時のパリサンジェルマンの監督はチームのOBであるアントワン・コンボアレ、そして冬の移籍時期にイタリア人のカルロ・アントネッティ監督を迎え、就任以来無敗を続けてきたアントネッティ監督にとってもこのモンペリエ戦は腕の見せ所である。

■攻撃サッカーがセールスポイントのモンペリエ

 一方のモンペリエは攻撃的なサッカーがセールスポイントである。ここまで23試合で45得点、攻撃の起点となるのはモロッコ人のユネス・ベルアンダ、21歳の若者である。そして1トップは前回の本連載でも紹介したオリビエ・ジルー、この2人の出来がリーグ最少失点のパリサンジェルマンの守備陣(23試合で19失点)を崩すことができるかどうかであろう。また、モンペリエの45得点のうち、4分の1の12得点はペナルティエリア外からのシュートによるもので、最終ライン以外の守備の品質も問われるであろう。

■スリリングな展開、ギヨーム・オラオの今季初ゴールでドローに終わる

 満員に膨れ上がったパルク・デ・プランス、スタンドにはパリ市のベルトラン・ドラノエ市長、パリサンジェルマンのオーナーであるカタールの王族、柔道の世界王者テディ・リネールの姿も見える。
 パリサンジェルマンが優勢ながら両チームゴールを狙うシーンの多い好ゲームとなった。まず先にゴールネットを揺らしたのはホームのパリサンジェルマンである。41分にネネからのパスをアレックスがシュート、モンペリエの守備陣は止めることができず、パリサンジェルマンが先制点を奪う。これに対し、前半のロスタイムにモンペリエはジルー、ビトリーノ・ヒルトンとつないで最後はベルアンダがヘディングでゴールを決め、同点に追いつく。
 後半も両チームとも拮抗した戦いが続き、引き分けかと思われたが、82分、モンペリエはジルーからのパスを今度はジョン・ウタカがヘディングで逆転ゴールを決める。このままだと年末以来保ってきた首位の座を奪われるパリサンジェルマンは総攻撃をかける。モンペリエが首位に立った6分後の88分、ジェレミー・メネスとハビエル・パストーレがワンツーパスをかわし、メネスからのパスをこの日途中出場のギヨーム・オラオがゴールに結びつける。フランス代表でもあるオラオのゴールにより、試合は引き分けとなる。
 値千金となったオラオの今季初ゴールのおかげでパリサンジェルマンは勝ち点1差で首位をキープしたのである。(続く)

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