第1402回 フランスリーグ、フィナーレ(8) モンペリエとパリサンジェルマンの優勝争いは最終節に

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■モンペリエとパリサンジェルマンの争いは5月決戦に

 首位モンペリエ勝ち点73、得失点差+30、2位パリサンジェルマン勝ち点70、得失点差+29という緊迫した状況でフランスリーグは残り3節、5月決戦である。
 5月決戦第一幕は大統領選挙の決選投票日の5月6日とその翌日の7日に行われた。日本では国政選挙のある日のイベントの開催に影響があるのは競馬くらいであろうが、フランスの場合はそれがサッカーに当たる。投票日の前日はサッカーの試合が行われず、投票日の夕方からサッカーが解禁された。

■敵地でバランシエンヌに大逆転劇、暫定首位となったパリサンジェルマン

 これまではモンペリエが先に試合を行い、2位パリサンジェルマンとの暫定的な差を広げ、それからパリサンジェルマンが差を詰めるという展開が多かったが、この第36節は逆になり、まず6日の夜にパリサンジェルマンがバランシエンヌと試合を行い、翌日の7日にモンペリエがレンヌと試合を行うことになった。
 今季のバランシエンヌは上位陣にはホームで強く、モンペリエ、リール、リヨンに勝利している。その大物食いがこのパリサンジェルマン戦でも見られるかどうか。満員の観衆の注目の中、バランシエンヌは8分にバンサン・アブバカールが先制点、さらに11分にもレミ・ゴミが追加点、早々と2点のリード、他のビッグチーム同様、パリサンジェルマンもこのエノー競技場で沈むか思われた。しかし、パリ市の紋章にある「漂えど沈まず」の標語通り、パリサンジェルマンは反撃、15分位ネネが反撃の1点、さらに40分にマクスウェル、45分にブレーズ・マツイディがついに逆転ゴールをあげてハーフタイムを迎える。そして後半もジェレミー・メネスが4点目をあげて、バランシエンヌに1点を許したものの、4-3と競り勝つ。アウエーゲームで2点をリードされて逆転勝ちしたのは、今季このパリサンジェルマンが最初である。
 そして、パリサンジェルマンは勝ち点を73としてモンペリエに並び、得失点差も+30と並ぶ。そして総得点はパリサンジェルマン70得点、モンペリエ63得点であり、総得点で勝るパリサンジェルマンがついに暫定首位となったのである。

■レンヌに勝利して首位を奪い返したモンペリエ

 追う立場となったモンペリエ、一夜明けてレンヌとのアウエーゲームである。リーグで4位となってヨーロッパリーグ出場を狙うレンヌであるが今季モンペリエ、パリサンジェルマン、リールという上位陣には勝てず、バランシエンヌとは対照的である。上位チームに苦手意識を持っているレンヌ相手にモンペリエが試合を支配する。モンペリエは26分にスレイマン・カマラが先制点をあげ、後半の52分にレンヌのGKがボール処理を誤ってオウンゴール、敵地で2-0と勝利したのである。
 この結果、パリサンジェルマンの首位は一夜で終わり、勝ち点で3差をつけたモンペリエは次の第37節にも優勝が決まるというゴール前にたどり着いたのである。

■パリサンジェルマンはネネがハットトリック、モンペリエはロスタイムに決勝点

 第37節は10試合全部が5月13日21時キックオフ。モンペリエはリール、パリサンジェルマンはレンヌといずれも上位チームをホームに迎え、ホーム最終戦となる。この第37節でモンペリエが勝利してパリサンジェルマンが引き分け以下、あるいはモンペリエが引き分けてパリサンジェルマンが負ければ、モンペリエの初勝利が決まる。得意の地元での優勝を決めたいモンペリエにとっては厳しい試合となった。
 パルク・デ・プランスでのパリサンジェルマンの途中経過も気になる中でキックオフ。3位リールは2位パリサンジェルマンと勝ち点の差は2、モチベーションの高いリールにボールを支配される厳しい展開となった。前半はモンペリエもリールもチーム無得点、パルク・デ・プランスの試合もスコアレスで後半を迎える。  ところが、後半になってパルク・デ・プランスでの試合は大きな動きがあった。ネネが47分に先制点を入れ、58分に追加点、さらに65分にはPKをネネが決めてハットトリックを達成し、3-0と大きくリード。
 焦るモンペリエであったが、最後の最後、ロスタイムに入った94分、途中出場のカリム・アイト・ファナがオリビエ・ジルーのアシストで決勝点。終盤に強いパリサンジェルマンのお株を奪う勝利となった。
 優勝の行方は最終節にもつれ込んだのである。(続く)

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