第1498回 競り合う3強、勝ち点38で折り返す(5) パリサンジェルマン、リヨンを倒して首位奪還

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■パリサンジェルマンとリヨンが直接対決

 12月15日、ついにマルセイユが勝ち点を35とし、得失点差で及ばないもののリヨンと並んだ。11月から12月の初めにかけて、不調にあえいでいたマルセイユがすっかり息を吹き返した。
 勝ち点で並ばれたリヨン、さらにライバルに一歩先を越されたパリサンジェルマンはこのマルセイユの復調に気が気でないはずである。両チームにとって次の試合はぜひとも勝ち点3の欲しいところであるが、なんと12月16日、両チームはパルク・デ・プランスで対戦する。したがって、リヨンはこの試合で勝ち点3を奪えば、マルセイユ、パリサンジェルマンに差をつけることができるが、逆に引き分けあるいは負けた場合は、マルセイユ、パリサンジェルマンとの混戦が続く。そしてパリサンジェルマンが勝利すれば、リヨン、マルセイユと勝ち点35で3チームが並ぶことになる。

■豪華メンバーのパリサンジェルマンが先制点

 パルク・デ・プランスで行われた一戦は凍てつくような寒さの夜であったが、観客のボルテージは高まった。この日のパリサンジェルマンは2トップ、スウェーデン代表のズラタン・イブラヒモビッチとフランス代表のジェレミー・メネスが最前列に並ぶ。そして攻撃的MFは両サイドに開き、右にハビエル・パストーレ、左にエセキエル・ラベッシとアルゼンチン代表のコンビである。また守備的MFもイタリア代表のチアゴ・モッタとフランス代表のブレーズ・マツイディ、DFラインもフランス代表のクリストフ・ジャレとママドゥ・サコ、ブラジル代表のチアゴ・シウバ、マクスウェル、GKはイタリア代表のサルバトーレ・シリグ、すなわち現役の代表でないのは左サイドDFのマクスウェルだけという豪華なメンバーである。
 このような豪華メンバーを率いるのはカルロ・アンチェロッティ監督である。2011年12月に就任してから常にプレッシャーとの戦いであり、このところ噂されている監督交代の話題を打ち消したいところである。そしてイタリア人監督らしい試合展開をリヨン相手に進める。
 パリサンジェルマンがやや優勢に試合を進めたがどちらにゴールが生まれてもおかしくない展開である。そしてこの試合初めてゴールネットが揺れたのは前半のロスタイム、右サイドにいたイブラヒモビッチからのパスを守備的MFのマツイディがヘディングで決めてパリサンジェルマンが先制する。なおもロスタイムにパリサンジェルマンは追加点のチャンスもあったが、前半はこの1点だけであった。

■リヨンのGKとして注目集めるレミ・ベルクートル

 リヨンのGKは、フランス代表のウーゴ・ロリスがイングランドのトットナムへ移籍したため、若手の選手を獲得したが、結局レギュラーとして活躍しているのは、昨年までは控えであった32歳のレミ・ベルクートルである。リヨンに所属して10年以上になるが、ロリスの前はグレゴリー・クーペというフランス代表のGKがおり、クーペが負傷した2007-08シーズン以外は出場機会に恵まれず、昨季も3試合しか出場していなかった。しかし、今季はほぼフル出場、この日も再三好セーブを見せ、ロリスの陰にこれほど素晴らしい選手がいたことに驚くばかりである。
 そして、リヨンのサイドバックは右にアントニー・レベイエール、左にミッシェル・バストス。レベイエールは定位置であるが、ミシェル・バストスは本来は攻撃的な選手である。この起用によりリヨンはサイドから再三攻撃を仕掛ける。

■直接対決を制したパリサンジェルマンが得失点差で首位に立つ

 しかしながら、パリサンジェルマンはリヨンの攻撃をしのぎ切る。イタリア人監督率いるパリサンジェルマンは1-0とイタリア人が最も好むスコアで首位リヨンを本拠地パルク・デ・プランスで下す。前節の戦、前々節の戦と連続して4-0とスペクタクルなスコアで連勝してきたパリサンジェルマンであるが、天王山ともいうべきこの試合、1-0と手堅いスコアで勝利する。
 この勝利によってパリサンジェルマンは勝ち点3を獲得、パリサンジェルマン、リヨン、マルセイユが勝ち点35で並ぶ。そして得失点差で+21のパリサンジェルマンが首位奪還、2位にリヨン(得失点差+13)、3位にマルセイユ(+3)となり、前半戦最後の第19節を迎えることになるのである。(続く)

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