第1550回 パリサンジェルマン、19年ぶり優勝(2) スタッフの死に奮起、パリサンジェルマン首位奪還

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■首位を奪ったリヨン、エビアン相手にスコアレスドロー

 勝ち点38で折り返したパリサンジェルマン、リヨン、マルセイユの3強のうち、後半戦最初の試合で勝利したのはリヨンだけであった。パリサンジェルマンは引き分け、マルセイユは敗れ、リヨンが首位を奪回し、パリサンジェルマンは2位に転落した。
 この3強の首位争いは第21節以降も続いた。第21節も第20節同様、金曜、土曜、日曜と3日間にわたって行われた。3強はそれぞれ別の日に出場する。前節に首位に立ったリヨンは金曜日の18日に登場、18位のエビアンをホームに迎える。リヨンにとってはここで勝ち点3を奪って首位固めをしたいところであったが、圧倒的に攻めるものの、バフェタンビ・ゴミス、リサンドロ・ロペスといった攻撃陣が振るわず、スコアレスドローに終わり、勝ち点1を上積みするにとどまった。

■マルセイユ、後半ロスタイムに得点、今季初の逆転勝利

 翌日の土曜日にはマルセイユがモンペリエを迎える。前年度リーグチャンピオンのモンペリエもこの段階で9位、ここで勝てば首位リヨンとは勝ち点1差、そして暫定的ではあるがパリサンジェルマンを勝ち点で上回る。両チームともアフリカ選手権で2人ずつ主力選手を欠くが、アフリカ選手権のメンバーから外れた選手が活躍した。マルセイユは14分に先制、モンペリエもその直後の16分に同点に追いつく。さらに後半に入ってモンペリエは56分にアフリカ選手権のメンバーから外れたナイジェリアのジョン・ウタカが逆転ゴール、このままモンペリエが勝利するかと思われたが、マルセイユは79分にアンドレ・アユーからのパスをジョルダン・アユーが決めるというガーナ代表の兄弟の活躍で同点に追いつく。さらにロスタイムの91分、アンドレ・ピエール・ジニャックが決勝点をあげて、3-2と勝利し、今季初の逆転勝利をおさめ、期待通り勝ち点3を獲得する。この時点でマルセイユが2位浮上、パリサンジェルマンは3位に沈んだのである。

■ロースコアの戦いの多いボルドー

 20日の日曜日、3試合が行われたが、パリサンジェルマンは最後に登場、21時キックオフである。ボルドーとのアウエーでの戦いとなる。パリサンジェルマンと勝ち点で7の差のあるボルドーは前節まで4位であり、前日にロリアンが勝利したため、順位を1つ落として5位になっており、パリサンジェルマン相手に勝利し、3強の争いに割って入りたいところである。両チームともリーグ戦では過去5試合負けなしであるが、ボルドーは1勝4分、パリサンジェルマンは4勝1分、と対照的である。今季のパリサンジェルマンの強さは守備の堅さである。もちろん、攻撃にかける時間が多いので結果として失点が少なくなるが、これまで20試合で失点はリーグ最少の12、すなわち1試合当たり0.6点しか失点をしていない。ちなみに得点は36得点でリーグ最多、1試合当たり1.8得点をあげている。
 一方のボルドーであるが、得点も失点も少ないのが特徴であり、ここまで20試合で得点は23、失点は14、得失点の和の37はリーグ最少である。さらにホームのシャバン・デルマスではこの傾向が強く9試合で得点9、失点は6、すなわちボルドーのファンは15回しかゴールシーンを見ていないことになる。逆に言うならば、ボルドーはロースコアの戦いでパリサンジェルマンから1点を奪って勝ち点3を獲得したいところである。

■得点王争い独走のズラタン・イブラヒモビッチのゴールで首位奪還

 首位奪還を目指すパリサンジェルマンもこの試合は特別なものであった。アウエーのパリサンジェルマンはセカンドの赤いユニフォーム、そして選手の腕には黒い喪章がつけられている。パリサンジェルマンのパフォーマンスマネジャーであり、栄養管理など行っていたニック・ブロードが交通事故で38歳の若さで亡くなったのである。ブロードはチェルシー時代からカルロ・アンチェロッティ監督を支えてきた。
 試合は、これまでシャバン・デルマスで繰り広げられてきたような展開となった。なかなか得点が生まれない中で、この試合唯一のゴールを奪ったのはズラタン・イブラヒモビッチ、得点王争いを独走するエースの今季19得点目でパリサンジェルマンはマルセイユ、リヨンをかわし、再び首位に立ったのである。(続く)

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