第1553回 パリサンジェルマン、19年ぶり優勝(5) リヨン-マルセイユ戦、負けに等しいスコアレスドロー

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■直接対決に望みを託すリヨンとマルセイユ

 昨年の12月1日の第15節ニース戦以来、フランスリーグでは敗戦も失点も無縁という盤石の強さを誇ってきたパリサンジェルマンであるが、2月8日の第24節のバスティア戦で9試合ぶりに失点、続く2月17日の第15節のソショー戦で10試合ぶりの敗戦を喫した。
 第25節はライバルのリヨン、マルセイユとも勝利しているが、パリサンジェルマンとの勝ち点差は2位リヨンが3、3位マルセイユは5である。残り10試合あまりであるが、この3強はまだ後半戦になってから直接対決をしていない。直接対決の結果によっては順位が入れ替わる。その直接対決の第一幕はパリサンジェルマンが久しぶりに敗れた直後の第26節、パルク・デ・プランスでのパリサンジェルマン-マルセイユ戦である。

■マルセイユ、パリサンジェルマンとの直接対決で連敗

 このカードはフランスを代表するクラブ同士の戦いであること、独走かと思われたパリサンジェルマンが前節で敗れ、マルセイユが勝ち点差を詰めたことに加え、本連載の第1541回でも紹介している通り、ロサンゼルス・ギャラクシーから移籍してきたデビッド・ベッカムがデビューするのではないかということで注目を集めた。パリサンジェルマンは前半にオウンゴールでリード、そして後半ロスタイムにはズラタン・イブラヒモビッチが2点目をあげてパリサンジェルマンが2-0と勝利し、3位マルセイユとの勝ち点差を8に広げた。パリサンジェルマンはその3日後に同じくパルク・デ・プランスで行われたフランスカップのベスト8決定戦でもマルセイユを2-0と下す。
 なお、このマルセイユとの連戦の中で、リーグ戦ではベッカムが途中出場しフランスリーグにデビュー、そしてフランスカップ戦ではベッカムが先発出場を果たす。峠を過ぎたとはいえ、大スターの存在は今季のパリサンジェルマンの後半戦を精神的にも技術的にも支えることになるのである。

■マルセイユ戦の反動か、スタッド・ド・ランス戦で完封負けしたパリサンジェルマン

 宿敵マルセイユとの連戦でエネルギーを使い果たしたのか、マルセイユ戦連勝のあとに迎えた3月2日のスタッド・ド・ランス戦では動きに精彩を欠き、スタッド・ド・ランスの選手の退場により終盤の30分間数的優位に立ったものの、スタッド・ド・ランスは1人少なくなった直後に得点を決める。パリサンジェルマンは今季初めての完封負けを喫する。
 一方、リヨンはブレストと引き分けて勝ち点1を獲得し、パリサンジェルマンとの勝ち点差を2に詰める。パリサンジェルマンに連敗したマルセイユはベロドロームに戻ってきてトロワと対戦、70分に先制を許したが、残り10分で2点を奪って逆転勝ち、勝ち点3を獲得し、パリサンジェルマンとの勝ち点差は5、リヨンとの勝ち点差を3とした。

■リヨン、地元ジェルランで優勢に試合を進めるもドローに終わる

 パリサンジェルマンを追うリヨンとマルセイユはパリサンジェルマンがスタッド・ド・ランスに敗れた翌週の第28節にリヨンのジェルラン競技場で対戦する。第28節は土曜日の3月9日にパリサンジェルマンは19位のナンシーをパルク・デ・プランスに迎える。チアゴ・モッタとクリストフ・ジャレを負傷で欠くパリサンジェルマンは先制を許し、0-1とリードされてハーフタイム。しかし、後半イブラヒモビッチが59分、62分と連続ゴールを決め、2-1と逆転勝利、これでこの第28節でのリヨンの首位奪還はなくなった。
 その翌日の3月10日、リヨンはマルセイユと対戦し、満員のジェルランのファンはリヨンに声援を送り、リヨンはボールを支配するが、なかなかマルセイユからゴールを奪うことができない。一方のマルセイユは守勢一方でゴールチャンスも少なく、両チームの戦いはスコアレスドロー、両チームとも勝ち点1しか上積みすることができず、首位を追うリヨン、マルセイユにとっては負けに等しい引き分けになったのである。(続く)

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