第1554回 パリサンジェルマン、19年ぶり優勝(6) 連勝街道を走るパリサンジェルマン

 一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■リーグ戦の分水嶺となった第28節

 パリサンジェルマンが古豪スタッド・ド・ランスに敗れ、2位リヨンと3位マルセイユは、勝ち点を増やし、首位と2位以下の差が狭まった3月初めの第27節、その翌節の第28節に2位リヨンと3位マルセイユが直接対決したが、結局スコアレスドローで両チームとも勝ち点1しか獲得することができなかった。
 この第28節が今振り返ってみれば今季の分水嶺であったと言えるであろう。この第28節でフランスリーグの覇権の行方は決まった。

■スタッド・ド・ランス戦以降、PK負け以外は負けのなかったパリサンジェルマン

 パリサンジェルマンは年が明けて2013年になってから第25節のソショー戦と第27節のスタッド・ド・ランス戦で敗れている。そしてこのスタッド・ド・ランス戦がパリサンジェルマンになって今季PK戦以外で敗れた最後の試合となったのである。本連載で紹介している通り、パリサンジェルマンは2013年を迎えた段階で国内リーグ戦以外にフランスカップとチャンピオンズリーグ決勝トーナメントを戦うわけだが、フランスカップについては第1503回、第1540回、第1541回の本連載で紹介したとおり、ベスト32決定戦、ベスト16決定戦、ベスト8決定戦と勝ち進み、チャンピオンズリーグについては決勝トーナメント1回戦でスペインのバレンシアに1勝1分である。
 そしてスタッド・ド・ランス戦で敗れた後、パリサンジェルマンはリーグ戦では再び快進撃を続けた。フランスカップでは本連載の第1543回で紹介したようにエビアンにPK負け、チャンピオンズリーグは優勝候補筆頭のバルセロナにホーム、アウエーとも引き分け、アウエーゴールの差で敗退している。4月にフランスカップとチャンピオンズリーグで敗退したが、その戦いぶりは勝者と差はなく、まさに無念の涙であるが、リーグ戦では無敗を続け、スタッド・ド・ランス戦以降のリーグ戦は6勝1分と無敗を続け、首位の座を譲ることなく5月を迎えたのである。

■パリサンジェルマンとマルセイユに絞られた優勝争い

 5月にはフランスリーグは最後の4節が行われる。5月を迎えた段階の順位と勝ち点は首位パリサンジェルマン勝ち点73、2位マルセイユ勝ち点64、3位リヨン勝ち点60である。すなわち残り4試合でパリサンジェルマンと3位リヨンの勝ち点差は13、したがってリヨンは優勝の可能性がなくなり、優勝はパリサンジェルマンとマルセイユに絞られた。
 フランスリーグは最後の2節だけは全10試合が同時にキックオフされるが、第36節まではテレビ中継などの理由によりキックオフの日時が他の試合と異なる試合がある。第35節は5月3日の金曜日から5月5日の日曜日にかけて行われた。この段階で首位パリサンジェルマンと2位マルセイユの勝ち点差は9、すなわち、この第35節でパリサンジェルマンの獲得した勝ち点がマルセイユより大きければ、パリサンジェルマンの優勝が決まる。第35節でマルセイユは4日の土曜日、パリサンジェルマンは5日の日曜日にそれぞれホームに登場する。

■ベロドロームで驚異の得点力、アンドレ・ピエール・ジニャック

 先に登場するマルセイユにとって、ベロドロームにバスティアを迎える試合、勝たなくてはならない1戦である。この試合でマルセイユはマチュー・バルブエナからのパスからアンドレ・ピエール・ジニャックが12分に先制点を奪うが、後半の立ち上がりの46分にバスティアに得点を許し、追いつかれてしまう。マルセイユはボールを支配し、面白いようにパスがつながり、次々とシュートを放つが、ゴールに2回も当たるという不運にも見舞われ、なかなか得点を奪うことができない。ベロドロームに重い空気が流れる中で、ファンを歓喜させたのはこの試合のホットラインであった。バルブエナの右からのクロスをジニャックがゴールに突き刺す。ジニャックはベロドロームで驚異の得点力を誇り、今季12点目となる。ジニャックの2ゴールでマルセイユはパリサンジェルマンの5月初めの地元での優勝を阻止したのである。(続く)

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