第1703回 フランスリーグ、フィナーレ(2) 後半戦のモナコ-パリサンジェルマン戦もドロー

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■後半戦は過密日程と戦うパリサンジェルマン

 前回の本連載では有力なオーナーシップの下で、大型補強を行ったパリサンジェルマンとモナコがリーグ戦で首位と2位の座を占め、年末の段階で首位パリサンジェルマンを勝ち点3の差で2位モナコが追っていることを紹介した。
 この段階で勝ち点3のリードというのはないに等しいと言えるであろう。なぜならば、パリsなジェルマンはこの連載でしばしば紹介している通り、チャンピオンズリーグの決勝トーナメントに進出しているだけではなく、国内でもリーグカップに勝ち残っている。対するモナコは2部から復帰したばかりでチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグには出場せず、リーグカップは10月末に行われた初戦で敗退している。すなわち、パリサンジェルマンは過密日程が待っており、年明けはフランスカップやリーグカップ同様にチャンピオンズリーグもノックアウト方式になり、精神的な圧力のかかる試合の連続となる。

■満員の観衆が集まったモナコのルイ二世競技場

 後半戦が再開した第20節以降、モナコもパリサンジェルマンも負けることはなく勝ち点を積み重ね、2月9日の第24節、モナコで両チームは対戦する。この時点でパリサンジェルマンは勝ち点54、モナコは勝ち点49、折り返し時点とは若干水が開いたが、モナコにとっては地元ルイ二世競技場で首位追撃のチャンスである。通常は空席が目立つこのモナコの近代的な多目的競技場、この日は1万6000人の観衆が集まった。もちろんパリからのファンもいるが、ほとんどはモナコのファンであり、ここまで観衆が集まったのは大物ビジネスマンであり、外交官でもあるパトリック・メディサン駐日モナコ大使の手腕によるところが大きい。メディサン大使は本国駐在であり、メディサン大使の地元での影響力は計り知れないものがある。

■パリサンジェルマン、苦手モナコ相手に先制点

 現在首位のパリサンジェルマンであるが、ここモナコでの試合を大の苦手としている。過去37回の対戦でパリサンジェルマンはわずか3勝、11の引き分けと23の敗戦という苦い数字が残っている。パリサンジェルマンの最後の勝利は2007年、閑散としたスタジアムが苦手なのか、鬼門と言えよう。満員の観衆の前でキックオフのセレモニーが行われ、モナコで活躍し、その後パリサンジェルマンに移籍し、20年前の優勝に貢献したリベリアの怪人ことジョルジュ・ウエアの登場にスタジアムは沸く。パリサンジェルマンのキックオフで試合は始まり、満員の観衆の中での試合は得意とばかりに立ち上がりから試合を支配する。序盤のパリサンジェルマンの猛攻がゴールネットを揺らす。8分にパリサンジェルマンはチアゴ・モッタがCKを蹴り、アレックスがヘディングで合わせ、ファーにボールが流れる。そこにハビエル・パストーレがこのチャンスボールをゴールにたたき込む。3シーズン目を迎え、相次ぐ大型補強で影が薄くなりつつあるパストーレにとって今季初のゴールとなった。
 1点取られたところでようやくモナコのエンジンがかかる。試合はパリサンジェルマンが優勢に進めながらもモナコも好機を生かし、両チームがゴール前でスリリングなシーンを演出するスペクタクルなものとなったが、前半はモナコはシュートがことごとく枠に入らず、パリサンジェルマンが1点をリードし折り返す。

■主将チアゴ・シウバ、痛恨のオウンゴール

 後半に入っても両チームが積極的に攻める展開は変わらないが、ボール支配率で上回っているのはパリサンジェルマンであったが、77分、思いもかけぬシーンが待っていた。モナコが攻め上がり、ファビアーノがクロスを入れる。このクロスの処理を主将の名手チアゴ・シウバがコントロールミスし、ボールは自ゴールに吸い込まれてしまう。モナコは終盤に追いつき、首位攻防戦は前半戦のパリでの戦い同様引き分けとなる。
 勝ち点差は5のままで両チームは残り14試合、3か月間の戦いを続けるのである。(続く)

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