第2321回 パリサンジェルマン、リーグ王座奪回(1) 優勝決定戦はモナコとの直接対決

 7年前の東日本大震災、一昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■モナコに5連覇を阻止され、キリアン・ムバッペを獲得

 前回までの本連載ではフランスカップの決勝にパリサンジェルマンとナショナルリーグのレゼルビエが進出することを紹介した。すでにリーグカップでも優勝したパリサンジェルマンであるが、フランスカップで決勝進出を決める前に、リーグ戦を制覇した。  昨季はモナコにリーグ優勝の5連覇を阻止されたパリサンジェルマン、今季はそのモナコからキリアン・ムバッペを獲得した。巨額の移籍金がUEFAのフィナンシャルフェアプレーに抵触したため、今季はレンタルとし、シーズン終了後に完全移籍というテクニックを使って獲得した。モナコではCFとして起用されていたムバッペであるが、パリサンジェルマンではエディンソン・カバーニにその位置を譲り、ネイマールとともにサイドアタッカーに位置した。

■爆発的な得点力のエディンソン・カバーニ、ネイマール、ムバッペ

 今季のパリサンジェルマンはカバーニ、ネイマール、ムバッペの3人がFWを形成し、それ以外にもアンヘル・ディマリア、ハビエル・パストーレ、ユリアン・ドラクスラーが控え、チャンピオンズリーグにも十分に対応できる厚い選手層で、得点を重ねていった。連勝スタートで迎えた第3節のトゥールーズ戦で6-2と勝利したのを皮切りに、第5節のメッス戦、第8節のボルドー戦、第12節のアンジェ戦と5点以上の得点を次々と記録した。またチャンピオンズリーグのグループリーグでもアンデルレヒト(ベルギー)戦、ホームとアウエーのセルチック・グラスゴー(スコットランド)戦で5点以上の得点を記録している。

■1試合平均3得点、失点もリーグ最少

 後半戦になってもパリサンジェルマンの得点力は衰えることなく、年明け最初の試合となるフランスカップのベスト32決定戦のレンヌ戦で6-1と大勝し、リーグ戦でも1月17日の第21節のディジョン戦で8-0と現時点で今季の最多得点、最多得点差を記録している。攻撃陣が第32節までに記録した得点は96点、すなわち1試合平均3点ということになる。この数字を牽引しているのが得点ランキングリーグトップのカバーニの24点、2位のネイマールの19点、そしてムバッペが13点、ディマリアが11点を記録している。
 一方、守備陣についても32試合で失点はわずかに22、リーグ最少である。もちろん攻撃に時間をかけていることから失点は少なくなるが、今季はこれまでのケビン・トラップに代わってアルフォンス・アレオラがゴールを守り、実に15試合でクリーンシートを記録している。
 得失点差は+74であり、得失点差で2位のモナコは+43であることから、パリサンジェルマンの際立った強さが読者の皆様はよくお分かりであろう。今季の公式戦で敗れたのはわずか4回、そのうちの2回がチャンピオンズリーグの決勝トーナメントのレアル・マドリッド(スペイン)戦というのが悔やまれる。

■ホームで2位モナコに勝利すればリーグ優勝

 このように得点と勝ち点を積み重ねてきたパリサンジェルマンは4月6日に行われた第31節のアウエーのサンテチエンヌ戦では序盤に得点を奪われ、前半のうちに退場者が出るという苦しい展開となる。しかしながら後半のアディショナルタイムにサンテチエンヌのオウンゴールで追いつき、勝ち点1を加えて84とする。2位のモナコもその翌日にナントに勝利し、勝ち点を70とするが、両チームの勝ち点差は14で、残り試合数は6試合となった。パリサンジェルマンがあと1勝し、モナコがあと1敗すれば、パリサンジェルマンの2年ぶり7回目のリーグ優勝となる。
 パリサンジェルマンにリーグ優勝の可能性のある第33節は4月13日から15日にかけて行われるが、パリサンジェルマンは最終日の日曜日の21時に本拠地パルク・デ・プランスに姿を現す。そしてそのパリサンジェルマンの相手は2位のモナコ、すなわち、パリサンジェルマンがモナコに勝利すれば、優勝という信じられないカードが待っているのである。(続く)

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