第2504回 フランスリーグファイナル (6) 2部からメッスとブレストが1部に昇格

 8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■開幕6連勝で首位をキープしたメッスが2部優勝

 前回までの本連載ではフランスリーグの終盤戦を紹介し、上位のチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグへの出場チーム、下位の降格チーム、入替戦出場チームについて紹介してきた。今回は2部から1部への昇格について紹介しよう。  2部から1部への昇格は上位2チームが自動昇格となり、1チームが入替戦となる。今季の2部は終始メッスが首位をキープし続け、トップでゴールインする。メッスはフランス東部のロレーヌ地方の名門チームであり、20世紀は1部の上位チームであったが、21世紀に入ると1部と2部を往復することになる。2部では圧倒的な強さを発揮するが、1部では全く振るわないというパターンが続いている。今世紀に入ってから2部での優勝はこれが3回目であるが、1部での最高成績は14位にとどまっている。前年1部で最下位となり、2年在籍した1部から2部にメッスは降格したが、開幕から7戦で全勝という2部の新記録を樹立した。今季1部ではパリサンジェルマンが開幕14連勝というとてつもない記録を打ち立てたが、2部でもこれまでのRCランスの6連勝という開幕連勝記録をメッスが塗り替えたのである。メッスは4月26日の第35節のレッドスター戦に勝利して2位以内を決めて1年での1部への返り咲きを決め、その翌週の5月3日にはバランシエンヌに勝利し、ライバルチームが敗れたため、2部の優勝を決めた。過去2回の2部で優勝して昇格したシーズンの順位は20位と19位、いずれも1年で2部に引き返しており、3度目の正直となる来季は1部の中位以上を目指したいところである。

■2位を追走したブレストも1部昇格

 そのメッスを追っていたのがブレストである。軍港の町のチームであるブレストにはかつてダビッド・ジノラを擁し1部でも活躍したが、1991年に財政問題が起こり、プロのステータスを奪われ、5部に相当するリーグまで降格したこともある。しかし、2004年に1人のアマチュア選手がこのクラブの歴史を変える。それがフランク・リベリーである。3部に相当するナショナルリーグに所属していたブレストでリベリーが大活躍、ブレストは2部に復帰した。2009-10シーズンには2部で2位となり、19年ぶりに1部に復帰した。しかし、1部での3季目の2012-13シーズンに最下位となり2部に降格する。2部で6季目の今季、初戦は優勝することになるメッスとホームで戦い、0-1と敗れたが、9月からは勝ち星を重ね、11月からは首位メッスを追う2位が定位置となる。結局、第37節に2位を確定し、うれしい1部復帰となる。

■2部の3位チームから5位チームまでにチャンスのある入替戦

 自動昇格となる2チームはシーズンのほとんどで順位の変動がなかったが、入替戦出場チームは最後まで争いとなった。2部で3位のチームから5位のチームまでにチャンスがある。リーグ戦4位チームが5位チームをホームに迎え1回戦制で争う。その勝者が3位チームのホームで1回戦制で戦い、この勝者がホームアンドアウエー方式で1部18位のチームと入替戦を行う。

■入替戦出場を目指す3位トロワ、4位パリFC、5位RCランス

 さて、最終節を迎える段階で3位は1部から降格してきたトロワが確定していたが、4位と5位を3チームが争った。4位はパリFC(勝ち点62、得失点差+13)、5位はRCランス(60、+18)、6位はロリアン(60、+9)である。
 パリFCはGFCアジャクシオ相手に前半に得点をあげて、これを守りきり、4位を確定する。RCランスはワールドカップや欧州選手権も行われたフェリックス・ボラール競技場にオルレアンを迎え、3万2000人の地元のファンの前で前半からゴールを重ね、5-2と勝利し、5位をキープする。6位のロリアンはアウエーでルアーブルを3-2と破ったが、得失点差で及ばず、かつてのフランス代表GKのミカエル・ランドロー率いるロリアンは3年ぶりの1部復帰への道を閉ざされたのである。(続く)

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