第2535回 2019-20 フランスリーグ開幕(4) リール、パリサンジェルマンも白星スタート

 8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■主力がビッグクラブに引き抜かれた昨季2位のリール

 フランスリーグの第1節、最終日の8月11日の日曜日には昨季リーグ優勝のパリサンジェルマン、2位のリール、そしてリーグカップ優勝のストラスブールが登場した。  15時にリール-ナント戦、17時にストラスブール-メッス戦、21時にパリサンジェルマン-ニーム戦が行われた。
 リールは3季前と2季前はリーグで二桁順位であったが、昨季は2位に躍進した。躍進したチームの宿命として主力選手がビッグクラブに引き抜かれる。今季のリールも例外ではなく、昨季のアシスト王のニコラ・ペペがイングランドのアーセナルに移籍、そしてレギュラー級の選手ではチアゴ・メンデスとユスフ・コネがリヨンに移っている。一方、新加入であるが、パリサンジェルマンからティモシー・ウェア、ベルギーのシャルルロワからビクター・オシメーンが加わった。ウェアは19歳の米国代表、オシムヘンは20歳のナイジェリア代表である。この2人はそろって先発した。
 一方のナントは昨季はエミリアーノ・サラの飛行機事故という痛ましい事件に見舞われ、12位に終わっている。日本代表の監督を務めたバヒッド・ハリルホジッチが去り、クリスチャン・グルクフが指揮を執っている。

■新加入のビクター・オシメーンの2ゴールで勝利したリール

 16分には負傷退場者がナントに出るという展開となったが、先制点はリールであった。リールは自陣のゴール前でナントからボールを奪い、スピードのあるカウンターアタックで新加入のオシメーンが19分にグラウンダーのゴールを決める。幸先良いスタートを切ったリールであるが、試合はナントが優勢に進める。後半に入って51分、ナントの強烈なシュートを守備陣がコントロールミスし、オウンゴールで同点に追いつかれる。劣勢のリールを救ったのはまたしてもオシメーンであった。右サイドからのクロスを強烈なシュート、見事にネットを揺らし、リールは20歳の新戦力の2ゴールで開幕戦を飾ったのである。
 ストラスブールはヨーロッパリーグの予備戦3回戦の第1戦をリーグ開幕の直前の8月8日に戦い、ブルガリアのロコモティフ・プロブディフにアウエーで1-0と勝利している。リーグ開幕戦はホームに2部から昇格してきたメッスを迎え、東部のチーム同士の対戦となった。ストラスブールが前半に1点をあげて先行したが、後半の立ち上がりに追いつかれ、そのまま1-1のドローで初戦を終える。

■パリサンジェルマンから移籍の噂の流れるネイマール

 そして今季もフランスリーグで最も注目を集めるのは、パリサンジェルマンである。第1節も最後に登場する。その中でシーズンオフの注目を集めたのがネイマールである。2年前にスペインのバルセロナから移籍してきたネイマールであるが、パリサンジェルマンの一員としてチャンピオンズリーグ優勝も、個人としてのバロンドール獲得も成就していない。欧州一を組織としても個人としてもなしえず、本人が不満であるという噂は絶えず流れていた。シーズンオフの間は古巣のバルセロナが再獲得をするのではないかという憶測の中で、ネイマールはピッチの上に姿を現すことなく、リーグ開幕戦のニーム戦もベンチ入りメンバーから外れている。

■満員の観衆の前でニーム相手に完勝したパリサンジェルマン

 パリサンジェルマンの攻撃陣は右にユリアン・ドラクスラー、中央にエディンソン・カバーニ、左にキリアン・ムバッペとなっている。新加入で開幕戦の先発メンバーとなったのはパブロ・サラビアとアブドゥ・ディアロの2人である。パリサンジェルマンがバカンス中の観客動員に苦労したのは昔の話、この日も4万7000人の観客が集まった。パリサンジェルマンはニームを圧倒し、24分にカバーニがPKで先制する。後半に入って56分にはフアン・ベルナトからのクロスをムバッペが左足でシュートし、追加点となる。さらに後半途中から出場したアンヘル・ディマリアが3点目をあげ、パリサンジェルマンはニームを3-0と下し、今年もリーグの主役の座であることをアピールしたのである。(この項、終わり)

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