第2673回 2019-20フランスリーグ回顧 (9) 入替戦を戦う18位にとどまったニーム

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、昨年の台風15号、19号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■順位アップを狙うメッスと対戦したニーム

 2部との入替戦を行う18位争い、第28節を迎える時点での候補は16位サンテチエンヌ、17位ディジョン、18位ニーム、このうち下位のディジョンとニームは3月7日20時にキックオフを迎える。勝利してサンテチエンヌを勝ち点で逆転したいところである。ニームはアウエーでメッス、ディジョンはホームでトゥールーズと対戦する。
 先に試合が動いたのはメッスの試合であった。メッスもこの時点で15位、この試合で降格圏内に落ちる可能性はないが、少しでも順位をあげておきたいところである。18位のニームが相手とあって、勝てる試合と期待したファンがサンサンフォリアン競技場に集まる。メッスの右サイドDFのファビアン・サントンズがこの試合は出色のパフォーマンスを見せる。7分には相手のパスをインターセプトし、ゴール前に正確なクロスを上げる。オパ・エングエットがヘディングで先制点を決める。サントンズはこの後もシュートを放ち、決定的なパスを供給するなど、右サイドを完全に制した。

■最下位のトゥールーズを迎えたディジョン

 一方、最下位のトゥールーズを迎えたディジョンは優勢に試合を進めるがゴールがなかなか生まれない。ようやくゴールネットが揺れたのは40分、左サイドDFのアムザ・マンディルがフレデリック・サマリターノからパスを受けてシュート、これが決まってディジョンは先制する。しかし、その1分後、トゥールーズは同点に追いつく。
 前半を終えた時点で、ニームはリードを許し、ディジョンはタイスコア、引き分け以下であれば、サンテチエンヌを追い越すことも追いつくこともできない。

■ホームで強いディジョンは勝利、メッスに敗れたニームは18位にとどまる

 後半に入り、ギアをあげたニームは前節のマルセイユ戦で得点をあげたばかりのドーが同点ゴールを決める。
 ニームが同点に追いついたことがディジョンのイレブンの耳に入ったのか、ディジョンはゴール前に上がっていたストッパーのナエフ・アグエが53分に勝ち越し点を決める。このままディジョンは勝利し、ホームでの無敗記録を12に伸ばし、勝ち点を30として、29のサンテチエンヌを暫定ではあるが上回ったのである。
 一方のニームは終盤の81分にメッスに決勝点を許す。メッスは2-1で勝利し、2月2日以来の勝利となったのである。メッスは、この後は下位のチームとの対戦を控え、ここから順位を挽回しようというところであったが、これがシーズン最終戦となった。
 ニームは勝ち点を獲得することができず、第28節終了時点での18位が確定したのである。

■フランスカップ決勝進出を決めたサンテチエンヌもリーグ戦では苦戦

 その翌日にサンテチエンヌがボルドーと対戦する。サンテチエンヌは、3日前の3月4日にフランスカップの決勝進出を決めたばかりであるが、リーグ戦ではディジョンに抜かれて暫定の順位が17位に落ちた。フランスカップのファイナリストとなったサンテチエンヌであるが、最も重要な戦いはリーグ戦であり、一番優先順位が高い、とクロード・ピュエル監督も表明している。
 しかし、第27節を終了した時点の勝ち点は29にとどまっている。サンテチエンヌがこれだけ悪い成績になるのは10年ぶりである。2009-10シーズンの同時点の勝ち点は27、最終成績も17位に終わっている。また、現時点で13試合連続失点、失点については第28節を迎える時点で44、トゥールーズ、アミアンについで3番目に悪い数字である。フランスカップでは勝利したが、前節はリヨンとのダービーマッチ、アウエーゲームではあったが、0-2と敗れており、ファンはフランスカップの決勝進出を機に流れが変わることを期待している。
 試合は両チーム無得点で折り返す。先制点は遠来のボルドー、65分にジョッシュ・マジャがゴール前にあげられたクロスを決める。一瞬うなだれるジェフロワ・ギシャールの緑のファンだったが、その3分後にドニ・ブアンガが同点ゴールを決める。勝ち越しを狙うサンテチエンヌはブアンガがボールを持ってセンターサークルに戻る。しかし、75分にサンテチエンヌのマーディ・カマラがレッドカード、サンテチエンヌは1人少なくなったが、15分間守り切り、勝ち点1を獲得したのである。(この項、終わり)

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