第2676回 2019-20フランスリーグ2部フィナーレ(3) 無観客試合で勝利したRCランスが2位に復帰

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、昨年の台風15号、19号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■シーズン最終戦となったRCランス-オルレアン戦

 前々回と前回の本連載ではフランスリーグ2部の最終節となった第28節で金曜日と土曜日に行われた試合を紹介した。残る試合は3月9日の月曜日に行われるRCランス-オルレアン戦だけとなった。
 1部リーグは延期となったストラスブール-パリサンジェルマン戦以外の9試合は前日の3月8日までに行われたため、このRCランス-オルレアン戦が今季のフランスリーグの最終戦となった。

■試合当日に無観客で試合を行うことが決定

 いつも通りの熱戦が繰り広げられたこの週末、新型コロナウイルスの感染拡大に対して大きな動きがあった。金曜日のシャンブリー-ルマン戦が無観客試合で行われ、土曜日の1部のストラスブール-パリサンジェルマン戦が延期となった。
 日曜日の8日に大統領府でエマニュエル・マクロン大統領を中心に国家安全保障会議が行われた。それを受けて連帯・健康大臣のオリビエ・ベランが記者会見を開き、1000人以上の集会は屋内、屋外を問わず禁止すると表明した。その翌日の9日、スポーツ省では9時から会議が行われた。13時にスポーツ大臣のロクサナ・マラシネアヌは記者会見を開き、4月15日まで各種のスポーツの試合は無観客で行うことを宣言した。この影響を最初に受けたのが20時45分にキックオフを迎えたRCランス-オルレアンの試合であり、急遽、無観客で行うこととなったのである。

■新監督、新監督で臨んだRCランスが勝利、2位に返り咲く

 RCランスは昇格圏内にあるが、2週間前のカーンとのホームゲームで1-4と大敗を喫する。それまで10試合ホームで負けなしだったRCランスにとってショッキングな敗戦であった。この敗戦を受けて監督のフィリップ・モンタニエが更迭され、後任はフランク・アイズとなる。アイズの就任初戦はアウエーのパリFC戦、主将をスチーブン・フォルテからヤニック・カウザックに代えて臨み、2-0と勝利する。
 RCランスの本拠地、フェリックス・ボラール競技場には、2週間前のカーン戦には同じ月曜日の夜に2万7000人の観客が集まっていた。新監督、新主将のホーム初試合ということでそれ以上の観客が期待されたが、無観客となった。RCランスにとってはフェリックス・ボラールで初めての無観客試合となった。この試合が無観客になったことにより、55万ユーロの利益を失ったと思われる。
 試合当日には250人の警官が出動する予定であったが、これを30人に減らして警備を行った。
 試合は通常通り行われ、順位通りホームのRCランスが試合を支配する。なかなか得点を奪えないまま後半に入ったが、後半の立ち上がり、オルレアンの選手がペナルティエリア内でハンドを犯し、RCランスはPKを獲得する。このPKをフローリアン・ソトカが右足で決めて先制点、この1点で十分とばかりにRCランスは、その後は守りを固める。90分のホイッスルが無人の巨大スタジアムに響く。これはフランスリーグ打ち切りの知らせともなったのである。RCランスは勝ち点3を獲得し、順位を4位から2位へと戻したのである。

■目まぐるしく順位が変わった第28節、調子を落とした首位ロリアン

 リーグ打ち切り以降の混乱についてはこれまでの連載で紹介した通りであるが、この混乱には伏線がある。
 2部に関しては3日間にわたって行われた第28節では、首位のロリアンは変動はなかったが、2位から5位までの順位が毎日目まぐるしく変わっている。第28節を迎える段階で2位RCランス、3位トロワ、4位ACアジャクシオ、5位クレルモン、金曜日を終えた段階で2位トロワ、3位RCランス、4位クレルモン、5位ACアジャクシオと入れ替わる。土曜日の試合を終え、ACアジャクシオが5位から2位に上昇、3位トロワ、4位RCランス、5位クレルモンとそれ以外のチームは1つずつ順位を落とす。最終的には2位RCランス、3位ACアジャクシオ、4位トロワ、5位クレルモンとなった。
 また、首位のロリアンであるが負けが込んでおり、このままリーグ戦を続けていたら首位の座を守ることは厳しかったであろう。このような状況から、2部リーグの打ち切り後の順位等の決定の議論は激しいものとなったのである。(この項、終わり)

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