第2834回 リール、10年ぶりにリーグ優勝(5) 最後の4強直接対決はリヨンがモナコを下す

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■最後の4強対決、第35節のモナコ-リヨン戦

 前回の本連載は4月下旬に行われた第34節で首位リールが4位のリヨンに逆転勝ちし、2位のパリサンジェルマンと3位のモナコが勝利したことを紹介した。フランスリーグは残り4試合となり、この時点での勝ち点は、首位リールが73、2位パリサンジェルマンが72、3位モナコが71、4位リヨンが67となった。リヨンが一歩後退したかに見えたが、続く第35節でモナコがホームにリヨンを迎える。この試合は今季のリーグ戦で上位4チーム同士の最後の対戦である。 この試合は第35節で最後にキックオフされる。この試合の前にリール、パリサンジェルマンとも試合を終え、勝ち点3ずつを上乗せし、リールは勝ち点を76、パリサンジェルマンは75に伸ばしている。ここでモナコが勝利すれば、リール、パリサンジェルマンの3チームの優勝争い、リヨンが勝利すれば、モナコが優勝争いから脱落し、リールとパリサンジェルマンの争いとなる。

■モナコのウィッサム・ベン・イェデルがアシスト、ケビン・フォランドが先制点

 このカード、前半戦のリヨンでの試合はリヨンが4-1と勝利しているが、10日前に行われたフランスカップの準々決勝ではモナコが2-0と勝利して雪辱を果たしている。モナコはホームでの成績が全チームの中で一番よく、今年になってから1敗しかしておらず、フランスカップでも勝ち進んでおり、モナコが優勢かと思われたが、やはり何が起こるかわからない。試合はアウエーのリヨンが立ち上がりからボールを支配し、次々とモナコのゴールを襲う。先制点はリヨンかと思われたが、25分にモナコはケビン・フォランドがウィサム・ベン・イェデルのパスを受けて、先制点を上げる。6月には欧州選手権のグループリーグで敵味方として戦うフランス代表からドイツ代表へのアシストであった。モナコには追加点のチャンスはあったものの、前半はモナコの1点リードで折り返す。

■メンフィス・デパイのゴールでリヨンが追いつき、マルセロのヘディングで逆転

 後半に入っても両チーム、攻撃的な試合を進めたが、57分にリヨンはオランダ代表のメンフィス・デパイがモナコの選手をかわし、20メートルのところからシュート、このデパイの個人技でリヨンは同点に追いつく。追いついたリヨンであるが、70分にマクサンス・カクレがチュアメニに対してファウル、2回目の警告となり、退場となってしまう。凍あたりから両チームのファイルが多くなり、リオデジャネイロオリンピックの日本-ナイジェリア戦を裁いたクレマン・トゥルパン氏もゲームコントロールに苦労する。そして試合は1人少ないリヨンが、勝ち越し点を奪う。77分、デパイの蹴ったFKはファーポストに流れ、マルセロがヘディングでゴールを決める。デパイはこれが10アシスト目、19ゴールをあげているため、得点もアシストも二桁という今季初めての選手となった。

■決勝点はリヨンの17歳のラヤン・チェルキ

 数的有利なモナコはゴール前にボールを放り込む。83分にリヨンのGKのアントニー・ロペスはハイボールをパンチングで防ぐ。この際にロペスの腕がモナコのペレグリに当たっているのではないかということで、VARとなる。その結果、モナコにPKが与えられ、ロペスにイエローカードという決定となる。このPKを蹴るのはフランス代表のベン・イェデル、守るのはポルトガル代表のロペス、これもまた欧州選手権の前哨戦である。ベン・イェデルがパネンカで決めてモナコが同点に追いつく。これがベン・イェデルにとってフランスリーグでの通算100ゴールとなった。大台に乗せたのは現役ではジミー・ブリアン、キリアン・ムバッペに次ぐ3人目となる。
 この試合の決勝点は伏兵が決めた。89分にリヨンのラヤン・チェルキが右からのクロスを左足絵決める。17歳のチェルキはこれが24試合目の出場であり、初のゴールとなった。後半のアディショナルタイムは6分、しかしながらモナコは追いつくことができず、今季最後の4強の直接対決は数的に不利なリヨンが3-2で勝利する。試合後に両チームの選手がもみ合い、それぞれ2人ずつの退場処分が科された。
 残り3節、優勝争いはリールとパリサンジェルマンに絞られたようである。(続く)

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