第3047回 2022-23フランスリーグ開幕(1) 小規模だったシーズン前の移籍

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ワールドカップの秋開催により、開幕が早まった欧州

 2か月のシーズンオフをはさんで、8月6日にフランスリーグが開幕した。今年はワールドカップイヤーであるが、11月に開催されるため、シーズンオフにワールドカップはなく、昨年より1週早い開幕となった。そして、これまではフランスリーグは他国のリーグに先駆けてスタートしたが、今季は他国のリーグも開幕を早め、イングランドとドイツはフランスと同時にリーグ開幕、スペインとイタリアもフランスの翌週に開幕する。
 そしてシーズン開幕というと各チームの移籍が話題となるが、今年はワールドカップというサッカー界のショーケースがなかったためか、欧州全体を見渡しても選手の大規模な動きは目立たない。

■例年ほどではないが、補強を行ったパリサンジェルマン

 フランスについては、カタール資本の参入後、毎年のように大規模補強を繰り返してきたパリサンジェルマンが今年はおとなしい。日本ツアーでフランスを離れていたこともあるが、それでもパリでは選手獲得に励んだ。今季のパリサンジェルマンはイングランドのウルバーハンプトン・ウルブスからポルトガル代表に入ったばかりのビティーニャを獲得し、早速日本ツアーに帯同し、中盤の底のポジションをマルコ・ベラッティとともに任されている。そして日本ツアー中に、ドイツのRBライプチヒからフランス代表のノルディ・ムキエレを獲得するというニュースが入った。ムキエレはパリの東部にあるモントルイユ出身であるが、両親はコンゴ民主共和国出身、アンダーエイジのフランス代表で活躍したが、フル代表もコンゴ民主共和国ではなくフランスを選択した。また、リールのレナート・サンチェスもパリサンジェルマンに移籍した。
 パリサンジェルマンから去っていった選手もいる。契約満了となったアンヘル・ディマリアはユベントス(イタリア)に旅立った。パリサンジェルマンで7年間プレーしたディマリアはクラブ最多記録の111アシストを記録している。また、オリンピック代表チームに招集されながら、チーム事情で東京行きを果たせなかったコラン・ダグバもストラスブールにレンタル移籍している。失意の中でパリサンジェルマンを去ったのがオランダ代表のジョルジニオ・ワイナルドゥムである。昨季イングランドのリバプールから移籍してきたが、ほとんど貢献できず、契約半ばにしてイタリアのASローマにレンタル移籍することとなった。ワイナルドゥムは日本ツアーのメンバーから外れたが、ASローマは今秋、日本ツアーを予定しており、日本のファンの皆様はリバプール時代の輝きを目にするかもしれない。

■チャンピオンズリーグに備えるマルセイユ

 数的に選手の入れ替えが激しかったのが昨季リーグ2位のマルセイユである。今季はチャンピオンズリーグにも参戦することから選手層を厚くする必要がある。スペインのグラナダからコロンビア代表のルイス・スアレスを獲得、RCランスからはジョナタン・クロースが加わった。ASローマからはフランス代表のジョルダン・ベレトゥがフランスに戻ってきた。また、マルセイユは現在所属している選手のうち、レンタル移籍から今回正式移籍となり、移籍金を支払うことになったマテオ・ゲンドウジ、アルカディウシュ・ミリク、ジェンギス・ウンデル、パウ・ロペスのようなケースがあり、資金的にはつらいところであるが、昨季の好調な成績を支えたメンバーをそのままキープすることになった。

■日本のファンが注目する南野拓実と伊東純也

 そして昨季リーグ3位のモナコはオーレリアン・チュアメニがレアル・マドリッド(スペイン)に移籍したが、これで手にした移籍金で獲得したのが南野拓実(イングランド、リバプール)とカメルーン生まれのスイス代表、ブレール・エンボロ(ドイツ、ボルシア・メンヘングランドバッハ)である。
 そして日本人選手で忘れてはならないのがスタッド・ド・ランスに移籍してきた伊東純也である。日本のワールドカップ予選突破の立役者が、第1回のチャンピオンズカップのファイナリストに加わり、名門復活へオールドファンの期待は高まるのである。(続く)

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