第3127回 年末のリーグ戦再開 (1) ワールドカップ終了直後に再開するリーグ戦

 読者の皆様、あけましておめでとうございます。連載を開始して22回目の新年を迎えました。
 本年もよろしくご愛読のほどお願いいたします。

■後々まで語られるフランスの大健闘

 1月にわたって開催されたワールドカップ、フランスはワールドカップイヤーになってからは思うような結果が残せず、3バックと4バックの間を模索しながら本大会を迎え、さらに大会前になって負傷による離脱者が続出した。さらに、本大会に入ってからも負傷者が出たにもかかわらず、決勝トーナメント進出、さらには決勝ではアルゼンチンと延長になっても譲らず、PK負けという結果は、後々まで語られることになるであろう。
 そのワールドカップは中東のカタール開催ということで、初めて欧州のシーズンを中断して開催された。ワールドカップに出場した多くの選手が欧州のクラブに所属しており、欧州をはじめとして世界のサッカーカレンダーは変更を余儀なくされた。

■決勝戦の10日後の12月28日に再開するフランスリーグ

 フランスリーグは11月12日に第15節を終えて中断に入り、12月28日の第16節で再開する。これは他の欧州の主要リーグに比べて短い中断期間と言えよう。また、フランスではリーグ以外にフランスカップが戦われているが、2部以下のチームが参戦する8回戦まではワールドカップ開幕前に終えており、1部勢が参戦するベスト32決定戦(9回戦)は1月7日に行われる。
 すなわち、1部勢はリーグ戦が再開して2試合行った後、フランスカップの初戦を戦うことになり、ワールドカップ明けのコンディション調整に苦心するところである。このコンディションの調整には2つのパターンがある。まず、ワールドカップに出場した選手たちは通常とは異なる状態の中でタフな戦いをしてきたので、心身のリカバリーが必要である。他方はこの1月半、実戦での試合から遠ざかってしまった選手たちの存在がある。そして全く異なる2つの集団を短期間に融合させることである。これまでのワールドカップでは大会後に長期間のバカンスがあり、ワールドカップに出場した選手のリカバリー、チームの再編成には十分な時間があった。今回はワールドカップが終了して10日ほどの時間しか与えられておらず、誰もこのような経験をしておらず、チームのマネジメントは過去にない難しさがある。

■シーズン中に代表の試合が行われるラグビー

 他の競技と比較すると、今回のワールドカップと似ているのがラグビーである。6月と11月がウインドウマンスと言って代表の国際試合の期間となるが、11月は欧州ではシーズン中である。4年に1回、秋に行われるワールドカップもシーズン中である。さらに欧州の主要国は1月から3月にかけて6か国対抗が行われるが、これもまたシーズン中である。欧州では代表の試合とクラブの試合を並行して実施している。例えば、ワールドカップについてはグループリーグに相当するプールステージの間は各国のリーグ戦を中断するが、決勝トーナメントに入ってからはリーグ戦を再開し、プールステージで敗退した国の選手は所属チームに合流する。
 一方、6か国対抗については代表の試合がある日はクラブの試合はないが、代表の試合のない週にはクラブの試合があり、代表選手は所属クラブに戻って試合をしている。これはサッカーでもかつては週末のリーグ戦の間の週の半ばに代表戦が行われていたのと同じパターンである。

■シーズン後に行われる代表戦の見直し議論につながる今回のワールドカップ

 ラグビーがサッカーと似ているのは6月のウインドウマンスであろう。北半球の代表チームが南半球に遠征するが、欧州のクラブのシーズンが終了してから代表チームの試合があり、遠征終了後は長期間のバカンスがあり、秋からのシーズン再開に備える。ただ、この6月の代表の試合は、各国リーグのシーズンの長期化によってベストメンバーが組めないケースが増えてきた。逆に若手の登竜門としてシーズン中には代表だけではなく所属クラブでも出場機会の少なかった選手が抜擢されるケースも少なくない。シーズン終了後の代表の試合は見直しが必要な時期が来ているのかもしれない。
 そういう点では、今回のワールドカップ後のリーグ戦の状況は今後のワールドカップの開催期間を考えるうえで重要なことであろう。(続く)

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