第3205回 2022-23フランスリーグフィナーレ(1) 残留争いをするオセールとナント

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■カタール資本になってから9回目の優勝を果たしたパリサンジェルマン

 前回、ご紹介した通り、フランスリーグは第37節でパリサンジェルマンがストラスブールと引き分けて単独最多となる11回目の優勝を決めた。これまではサンテチエンヌと並んでいたが、サンテチエンヌの最後の優勝は1981年のことである。この時点でパリサンジェルマンは一度もリーグ優勝を果たしていなかった。パリサンジェルマンのリーグ初優勝は1986年のこと、それから40年弱で10回の優勝を果たしたわけであるが、11回の優勝のうち9回は2011年にカタール資本となってからのことである。

■降格争いから脱出したストラスブール

 さて、終盤戦の見どころは優勝争いだけではなく、欧州カップ出場権争い、残留争いにも各チームのファンは一喜一憂する。まずは1部残留について終盤戦の模様を紹介しよう。第37節を迎える時点の下位の状況は最下位がアンジェ(勝ち点15)、19位がACアジャクシオ(23、得失点差-49)、18位がトロワ(23、-35)とここまでがすでに降格が決定しており、降格の可能性があるのが、17位ナント(33、-18)、16位オセール(34、-26)、15位ストラスブール(39、-7)の3チームであった。この3チームの中で最上位のストラスブールは前回の本連載で紹介した通り、パリサンジェルマンと引き分けて勝ち点1を獲得して1部残留が決まった。

■欧州カップ出場を争うリール相手にナントが先制点

 4番目の降格チームはオセールとナントに絞られた。第37節でオセールが勝利し、ナントが敗れれば、オセールは1部残留となる。5月27日21時にオセールはトゥールーズと、ナントはリールとそれぞれアウエーでキックオフの時を迎えた。
 オセールの相手はフランスカップ優勝のトゥールーズ、この時点でリーグ戦は13位であるが、カップウィナーとして来季の欧州カップ(ヨーロッパリーグ)出場を決めている。今季1部に昇格してきたのは2部で1位のトゥールーズと2位のACアジャクシオ、そしてリーグ戦では3位でプレーオフを勝ち抜いたオセールである。トゥールーズは残留とヨーロッパリーグ出場が決まり、ACアジャクシオは2部降格決定と明暗が分かれている。オセールの最終節の相手はすでにチャンピオンズリーグ出場を決めた2位のRCランスである。RCランスもまだ2位を確定しているわけではなく、オセールはトゥールーズ戦で勝ち点を稼いでおきたい。オセールはトゥールーズとは前半戦はホームで対戦し、0-5と大敗している。
 ナントの相手のリールは5位、欧州カップ出場権を死守するとともに、4位のモナコとは勝ち点2差、逆転して4位になれば、ヨーロッパリーグ出場となる。
 2つの試合で最初にゴールネットが揺れたのはリールの試合であった。何とか降格を免れようとするナントはチーム生え抜きのカンタン・メルランのチップキックが先制点となる。ナントは4月16日のオセール戦以来の得点となった。これで暫定的ではあるがオセールと順位が入れ替わり、残留圏の16位になる。

■ナントは逆転負け、トゥールーズと引き分けたオセールが、勝ち点2のリード

 当然この情報はランスにも伝わる。オセールは24分にラヤン・ラバソンが20メートルのミドルシュートを決める。これで順位は元に戻る。しかし、トゥールーズは前半終了間際にオセールのゴール前に迫り、最後はザカリア・アブクラルが44分に同点ゴールを決めて追いつく。これでオセールとナントの順位は入れ替わった。
 ヨーロッパリーグを目指すリールはナントにホームで負けるわけにはいかない。ボールを圧倒的に支配しながらなかなかゴールが生まれない。逆に前半終了間際にはナントに追加点を奪われるか、というシーンがあったが、GKのルカ・シュバリエがよく反応してCKに逃れた。
 後半開始時点でリールは選手交代、後半から入ってきたアダム・ウナスが48分にペナルティエリア内で倒され、リールにPKが与えられ、ジョナサン・デイビッドが決めて同点となる。ナントはまた降格圏内に落ちる。さらに80分、ナントはGKのアルバン・ラフォンがリールの選手を倒してしまい、PKとなる。このPKの判定を巡ってはもめて、結局PKが蹴られたのは88分、デイビッドが決めてリールが2-1と勝利した。
 もう1試合のトゥールーズ-オセール戦は後半は両チーム無得点で1-1のドローとなる。オセールはナントに勝ち点2差をつけて最終戦を迎えるのである。(続く)

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